前代未聞の治外法権ムービー、上陸。『ガーディアンズ』バレあり。感想。
ビジュアル以上のド直球さ!!
その迫力にヒーロー映画好きも初心者も同じく失神する!!
今冬、治外法権が映画界を支配する!!
全世界に果たし状が叩きつけられた!!
世界よ。これがロシアだ。
舐めてかかるな!!死ぬぞ!!!
ネタバレなし感想。
ポスターや予告は話にならないほどの王道さ。
予習復習が面倒な人にこそおすすめ!!
年始はこれでキメろ!!
めちゃくちゃ面白いから安心して劇場へ!!
数年前。
ロシアからとんでもない動画が全世界に叩きつけられた。
GUARDIANS Official Domestic Trailer (2017) Russian Superhero Movie HD - YouTube
明らかにどこかで見たことがあるような超人達が好き放題やっているその動画。
一部でバズったのも記憶に新しい。
まぁどこぞの学生が身内だけで楽しんでいるインディーズ映画だろうと高を括っていた。
しかしどうにもそうではない。
むしろロシアが本気出したらしい。
いろんな意味で観たくて仕方なかったのだが、某最大手アメコミ企業への喧嘩祭のような作品。
興味はあったのだが題材的にもDVDがリリースされれば御の字と思っていた。
それがなんとこの度、狂気の全国ロードショーが決まった。
このセンスが良すぎるともキマっているとも言える英断。
おそらく『ラ・ラ・ランド』の成功で担当者が出世し、新人がその席に就いたのだろう。
まぁ節操がないと言ってしまえばそれで終わりだが、この手の映画を劇場公開できるようにあれこれ動き回ってくれたことにはとにかく感謝しかない。
当然観たい映画リスト入りしていたのだが
ありがたいことに試写会が当たった。
新年一発目に相応しいかどうかはわからんが
相手にとって不足はないのは確かだった。
カフェインを大量摂取して臨んだのであった。
そして90分後。
劇場は異様な雰囲気に包まれていた。
一言で言えばどうかしている映画だった。
相手にとって不足がないどころかお腹いっぱいになった。吐き気を催すほどに!!
10週して褒めるところしかない超傑作でもあった。
ちなみに総製作費は3億ルーブル。
日本円でいくらかは知らん!!
とりあえずそんな洗練されたあらすじ。
冷戦下のソヴィエト。
全世界の予想通りのテンプレとして人道をガン無視した超人兵士計画「パトリオット」を推し進めていた。
しかしあるあるネタのように研究所が大爆発。
その責任者でもある博士が被害にあった。
当然なにもないわけがない。
その事故により超能力を得ることになった博士であった。クラトフ。電磁波を自在にコントロールし、目につく全ての電子機器を意のままに操れる万能能力獲得。
もちろん「はい、そうですか」と落ち着けはしない。
自分をこんな目に遭わせた世界を許してはおけない、と完璧に自業自得な逆恨みを決意!!
復讐と自己顕示欲丸出しになにやらヤバい衛星を乗っ取りに動き出すのであった。
そんな未曾有の危機を政府が放っておけるわけがなかった。
「超人には超人ぶつけよう」とヒーロー脳に毒された考えで急遽、対抗チームを組むことにする。司令塔。エレナ。ロシアン美女。
もちろん一般兵などではお話にならない。
都合のいいことに「パトリオット」の被験者が4人いるじゃないの!!と書類手続きがスルーされた勧誘が始まる。
レア。念動力で鉱物を操る賢者。
サイコキネシスで岩を飛ばしたりアーマーにしたりする落ち着いたおっさん。しかし終盤では電撃鞭使いに電撃転職する柔軟さも兼ね備える。
ハン。超音速を誇る剣の達人。
蝶の羽ばたきが止まるほどの速度で移動し、カッコいい独特刀で一閃する。おそらくクール担当。普通にめちゃくちゃ強い。
本気出すときは白目を剥く癖がある。
アルスス。獣のパワーを持つ天才科学者。
その気になれば熊になれる。理性は半々。怒りの矛先を銃撃するガトリング砲を背負って戦う。
一応リーダー的な立ち位置な雰囲気もある。
ちなみに終盤には完全に熊化する。鬼に金棒以上な熊にガトリング砲!!
クセニア。擬態能力で忍び寄る美女。
身体を透明化することができる。温度変化にもかなり強い。あと不老。人間辞めかけな体術で闘う。
以上、急遽招集がかけられた4人。
それぞれバラバラに思い思いに田舎暮らししていたものの、祖国の危機に悩む余地はなかった。
ある者は自分探しのため。ある者は復讐のため。ある者は暇つぶしのため。
手を貸すことを4人全員が即決!!あらかじめ決められていたチーム名「ガーディアンズ」として頑張ることを胸に誓うのであった。やったるで!!
…というもの。
ひとつ言えることはこの映画、近年でも稀に見るほどに内容がない。
王道を超えた王道さで90分間ひたすらに突き進む。
「ヤバい敵を超人がチーム組んで迎え撃つ」
近年のヒーロー映画はいろいろ要約するとこうなるが、本作は冗談抜きでそれ以外言うことがない。
もう200km/hのど真ん中ストレートな勢いだ。
ここまでの豪速球を投げられると観ている側としてはもう笑うしかない。
もう正直言ってしまえばぶっちゃけMARVELのガンパクりだ。挑戦状というより果たし状。
今や天下のディズニー傘下なのによくぞここまで!と賛辞を送りたくなるほどに!!
例えば登場キャラ達。
皆それぞれ一桁の足し算で成り立っているようなキャラクターだ。
説明するのもあれだが!!
クラトフ=マグニートー+ドクター・ドゥーム
『X-MEN』より。
磁界王。磁力を操るヴィラン。
『ファンタスティック・フォー』より。
天才科学者なヴィラン。
レア=ザ・シング+ウィップスラッシュ
『ファンタスティック・フォー』より。
岩男さん。
『アイアンマン』より。
電撃鞭使いな天才科学者。
ハン=バッキー+クイックシルバー
『キャプテン・アメリカ』より。
ソ連が生んだ最強の暗殺者。
『X-MEN』より。
超高速で走り抜けるナイスガイ。
アルスス=ロケット+ハルク
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』より。
遺伝子操作されたアライグマ。重火器使い。
『アベンジャーズ』より。
内に獣を飼う哀しき天才科学者。
クセニア=インヴィジブル・ウーマン+ブラック・ウィドウ
『ファンタスティック・フォー』より。
透明化できるスーパーレディ。
『アベンジャーズ』より。
ロシアの美女スパイ。体術はピカイチ。
…このように言ってしまえば『X-MEN』で『アベンジャーズ』で『ファンタスティック・フォー』な方々。
奇しくも最近『X-MEN』と『アベンジャーズ』の合流が噂されているが、それよりも早く融合を果たしている。
もはやアメコミに詳しくなくても既視感しかないが
別にそれを隠すこともない清々しさ。
普通はどこかにアレンジを加えたくなるものだが
そんな誤魔化しは一切しない無垢さ。
というか序盤から明らかにアレな多脚戦車が出てくるあたりもうそういうことだろう!!ここまでやられたら怒る人間はいなくなるだろう!!おそらく!
しかしそんな全方位既視感しかない中でも
他に類を見ない圧倒的オリジナリティが本作にはある。
もうとにかく異常なほどにテンポが良いことだ。というか良すぎるほど!!
敵の正体は開始3分で明かされ
チームメンバー達も一声かけただけで二つ返事でなんなく了承する。
そして気づかないうちにチーム「ガーディアンズ」が結成され、気づかないうちにモスクワが火の海と化している。
いつのまにか専用装備が開発されていて
近年ありがちなチーム内でのいざこざは一切ないままに、ヒーロー達のバックボーンは一言二言で済まされる。
そして軽いセラピー後に最終決戦。
普通はドラマの1つや2つ入れたくなるものだがそれもないという徹頭徹尾筋が通った潔さ。
ラストには近年のヒーロー映画において必須である合理さを全て排除した合体かめはめ波で幕を下ろす始末。一切の誇張なしでこれ。
ご都合主義なぞとうに超えた!!
確かに丁寧にドラマパートを積み重ねるのは映画的にも正しいかもしれない。なにより感情移入もしやすくなる。
それでもこのインタビューと前戯をすっ飛ばした総集編AVのようなつくり。
「なんとなく察せ!!」
「もうお前らの観たいとこだけ観せてやる!!」と言わんばかりの開き直りっぷり。
こちらも「確かにそうだ!!」と頷かざるを得ない。
もはや大手企業には逆立ちしてもつくれないだろうこの無我の境地さ。
アクションやビジュアルは大真面目なだけに何処かシリアスな笑いに包まれるが決してそれらは嘲笑ではない。
好きすぎて真似しちゃった感がそこら中から漂ってくるせいでどこか俺らの仲間のような気がしてくるからだろう。
なんというか、大作映画を観た後の寝際にベッドでする妄想の集合体のような。
クレイジーではあるが引くことはない。
「むしろもっとやれ!!」と応援したくなってくる。
とにかく全編多大なるオマージュにまみれた最高な映画だ。
近年、複雑膨大化するアメコミ文化。
まずはあれ見てこれ見て〜といちいち予習復習が当たり前になっている現状。
もちろんそれも嫌いではないがそんな中、手ぶらで気楽に見られるヒーロー映画が出てきた。
それも超大作の傑作として。
むしろこれを見ずして何を見るのか!という禅の境地にも達しかねない本作。
エンドロール後に当然のように差し込まれる次回作への引きも混みで愛に溢れた作品だ。
ヒーロー映画を観たことがない人。
ヒーロー映画に詳しい人。
どちらも気絶しかねない衝撃が待っているが
とにかくぜひ劇場に行ってほしい!!
全てが吹き飛ぶぞ!!!俺はもう一度行く!!!
余談。
上映後にアメコミライターである杉山すぴ豊さんと
アメコミフィギュア最大手の豆魚雷さんのトークショーがあった。
試写会参加条件がアメコミファン(自称可)ということもあり、全編「わかる」話ばかりだった。
帰る際にはA1サイズのポスターまでプレゼントしてくれて大満足だった。
それだけ本作にはいい歳した大人を突き動かす「何か」があるということだ。
良い試写会始めだったなぁ!!
口コミで褒めまくる他ない!!
油断できない予告↓
1/20(土)公開『ガーディアンズ』予告編 - YouTube
天空にガトリング砲を放ちたいTwitter↓