高速回転する方舟の片隅で。

勢いしかない駄弁り映画ブログ。

SYNCHRONIZED "KILL"ING.『ハードコア』感想。ネタバレあり。

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同期(シンクロ)しろ。

殴れ!イチャつけ!!ブチ殺せ!!

主人公は紛れもなく観客本人だ!

実験作にして完成系な極限&ハイテンション&ジェットコースター&アドレナリンムービー!!

「ヤバい」以外の語彙力が向こう一週間は行方不明になる超傑作!観ろ!!

 

数年前。

いつものように映画情報サイトを徘徊していたところ「全篇FPS!!映画界の革命児!」という触れ込みの製作中映画が目に留まった。

面白そうではあるもののの、大抵この手の実験作は革命失敗に終わるのが世の常。

それでもどこか気にながら完成を待ち望んでいた。

そしていよいよ打ち出された予告。

HARDCORE HENRY Official Trailer (2016) First Person Action Movie HD - YouTube

そこには「これはマジでヤバい」以外の言葉が存在しない圧倒的熱量があった。

もう観たくて仕方がなく悶々とするしかない日々を送ることとなった。

しかし相手どる客層はごく限られているために日本での公開は期待薄。

「まぁDVDがリリースされれば儲けものか…」と思っていたところなんと日本でも公開。

本国より一年遅れではあるが!!

それでも全国で幅広くはロードショーされなかったために機会を見失っていた。

「もうDVD待つか…」と再び諦めかけていた。

しかしなんと都内某所にて二本立て上映があるとのこと。

それもあの『ナイスガイズ!』と!!

どちらも好きなジャンルの映画だったために有無を言わさず劇場へ駆け込んだのであった。

最終日に!!

 

結果。

一言で言えば「劇場で観れてよかった」というより

もはや「生まれてきてよかった…!」レベルの超傑作だった。

製作陣、配給会社、二本立てを教えてくださったブログ、アクション映画が好きな自分、そしてこの時代に生まれてこられた奇跡…

ありとあらゆるものに感謝しまくる意識高いマルチな人間になっていた。

まぁ映画自体は全く逆ベクトルだが!

とりあえずそんな偏差値が二桁もないあらすじ。

 

サイボーグな主人公。

目覚めるとそこには美女がいた。

f:id:berserkun:20170725184002j:imageエステル」

マグニフィセント・セブンにて全男子のハートを作風とは別の意味で奪いさったヘイリー・ベネットだ。

どうやら彼女。

主人公の改造医にして嫁さんでもあるらしい。

羨ましいったらないな!!

ひとまず和やかにいちゃつくのも束の間。

謎の組織の襲撃を受けてしまう。

f:id:berserkun:20170725163834j:image「エイカン」

そこのボスにして本作の悪役。

サイコキネシスを使いこなすV系な現場筆頭。

とりあえずパラシュートが開かない脱出ポッドで2人して逃げるも

用意周到だったエイカンは地上にも部隊を配置していた。

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あえなく主人公はボコられエステルは拉致られてしまう。

目覚めて5分で驚天動地すぎる状況にうろたえている主人公の元に1人の男が現れる。

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あっ!!

シャールト・コプリーだ!!

彼の名は「ジミー」

どうやら主人公の味方らしい。

共に逃避行&反撃を開始するが

なんとジミーは敵のスナイプを受けてしまう。

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出会って1分。即死!!

「えっ!そんな贅沢な使い方すんのかよ!!?」

という観客の声もそこそこに

なんとか言われた通りに自身の動力源のバッテリーを探す主人公。

すると…

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あっ!!?

またシャールト・コプリー!?

なんとそこには頭を即死スナイプされたはずのジミーがいた。

全く状況が掴めない中、言われた通りのお使いミッションを言い渡される主人公。

果たしてミッションをこなし、復讐を終えることはできるのか?

そしてシャールト・コプリーは何者なのか!?

もはやこの映画はなんでもありなのか?!!

とにかくヤバいことになりそうだ!!!

というかなってるな!すでに!!

 

とにかくこの映画での最大のオリジナリティでもある「視点」を語らないことには始まらない。

近年のシューティングゲームのトレンドのひとつにFPS(ファースト パーソン シューティング)」というものがある。

いわゆる文字通り「主人公目線」で話が進んでいく、というものですな。

ゲームには疎い俺だがいわゆるCall of Duty』シリーズがそれにあたる。

今までの映画でも一場面でスパイス的に使われてきた手法であるそのFPS

「愉しいから全篇それでいこう!!」

狂ったGOサインでつくられたのが本作だ。

言ってしまえば『Call of 俺!!』な作品。

もう製作陣がゲーム大好きであることは全く想像に難くない。

しかもそのスピリットは全篇損なわれることなく加速していく。

オリジナリティ溢れる作風を筆頭に

・全く喋らない主人公

本作の主人公は声帯装置が故障しているせいで一切話すことができない。

しかしおかげで物語への没入感へ一役買っている。

せっかく主人公気分になれているのに思っていることと別の台詞を言われたらたまったものではない。

「マリオ」ドラクエから培われてきた無口主人公のある種の到達点とも言えるだろう。

お色気シーンではよくある主観もののAVを見ている気になれるし!!

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ヘイリー・ベネットとイチャつけるのは本作だけ!!

 

・なんでもありな世界観

良く言えば「バラエティに富んでいる」

悪く言えば「節操がない」

この手のジャンルが好き観客へ向けてか、例を挙げると

主人公は死体を利用してつくられたサイボーグ兵士

ラスボスはサイコキネシスの使い手

仲間のジミーはクローン軍団

とにかくキャラ設定からしブッ飛んでいる。

特にジミーに至っては

「本物は車椅子生活だけどリア充ライフを満喫したい!!

そんな欲望丸出しの理由で大量のクローンをつくっていた!という痺れる設定。

そしてこれらの細かい背景などは最後まで語られることはない。
この「なんで?」じゃなく「そうだから!」で押し切る圧力。

今さら映画でわざわざスマホの説明をするやつはいないだろう。それと同じだ!!

ちなみに本体や数々のクローンを演じるのは前述した通りシャールト・コプリー

今まで散々、奇人役をやってきた印象があるが

本作ではそれに負けるとも劣らない変幻自在っぷり。

f:id:berserkun:20170725164132j:imageラリったコプリー。

f:id:berserkun:20170725164141j:image兵隊コプリー。

f:id:berserkun:20170725164145j:image紳士コプリー。

f:id:berserkun:20170725164152j:imageモヒカンコプリー。

コプリーファンにはたまらんなぁ!?

 

・お使いミッションの存在

とにかく主人公は観客同様、ほぼなにも知らない状況で幕を開ける本作。

「なにしていいかわからない」とは自由度が高すぎる昨今のゲームの弊害でもある。

それを補うように登場するシャールト・コプリー

強引にスマホを手渡し

「マップのこの場所に行ってこれしてこい!」

との説明を受け話が進んでいく。

これによりギリギリのラインで観客の意識を繋ぎ留めることに成功している。

下手したら他人事に思えてしまうほどのアクションな連続なだけにこの設定は素晴らしい。

そしてまるでステージクリアのごとく次々と押し寄せる多種多様なアクションをこなしていくわけだ。

その精神は「全篇主観」という斬新さだけに腰掛けない謙虚さとサービス精神が満載。

さらに本作はR15指定。

そう、エグさも山盛りだ!

ハードな銃撃戦に始まり

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ジョン・ウィックを彷彿とさせる命中精度引き金の軽さ。

そしてそれを主観で楽しめる愉快さ。

パルクールな追跡戦。

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命が惜しくないのか、製作陣!

さらにどう撮っているのかさっぱりなカーチェイス

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この後、車体ごと貫通します。

何言ってるかわからんと思うが!

そして当然のごとく素手格闘も。

f:id:berserkun:20170725164635j:image未知の迫力。

無論、爆破も山盛りだ。

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景気、良し!!

その中でも必見なのがラストバトル。

なんと100人組手だ!

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マジでこいつら全員と闘います。 

それも1人として同じ殺し方はなし!

今までの総決算のような大血祭りが開催される。

さらに終盤では致死量ギリギリのアドレナリン注射を打ちながら、予告でも流れていた

Don't Stop Me Now』に乗せて

最後の大殺戮が幕を開ける。

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敵味方、共にほぼゾンビ状態。

ここでノらないのは人間じゃない!

無条件で体温が10°cアガる親切設計だなぁ!

 

とにかく枚挙に暇がないこのサービス精神。

あくまで観客を飽きさせないこの配慮。

そしてこれらをすいすいクリアしていく爽快感。
ゲームとしてもアクション映画としても満点だ。

そのアクションの合間に話が進むストーリーモード的に展開される物語も正にゲームさながらと言えるだろう。

「なにしたいのかよくわからんがとにかく腹が立つ敵」の存在もゲームあるあるだろう。

もうここまで振り切られていると清々しくなってくる。

とにかく良い意味で雑!!な要素の数々。

しかし観客の目当てはゲーマーとおなじく「アクション」なわけだから

この方向性は圧倒的に大成功だ。

もはや映画というより熟練者によるゲームプレイ動画を見ているような感覚に陥る。

もう全篇恐ろしいほど痒いところに手が届く俺好みな要素まみれなのだが

最も特筆すべきはそのラストだ。

 

死の100人組手をなんとか終えるも満身創痍な主人公。

さらにはイカンの念力攻撃を喰らい絶命寸前に。

追い討ちのように実はエステルはエイカンの女だったことも判明。

どうやら主人公は擬似記憶を植え付けられただけだった。

「もはやここまでか…」

ガラスに映った自分の顔を眺める主人公。

頭に過ぎるは走馬灯。

思い出すのは少年時代。

いじめられていたトラウマが蘇る。

しかしそこにある漢が電撃登場する。

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あっ!? ティム・ロスだ!!!

どうやら主人公の父親らしい。

まさかの配役に驚愕しつつも、それだけでは終わらずにシビれる言葉を放ってくれる。

「流れた血を呑み込むか、相手に血を流させるか」

お前が決めるんだ」

このあまりにも漢すぎる教育方針。

しかしティム・ロスにこう言われて血を呑み込むのは漢じゃない。

歯を食いしばりながらも立ち上がる主人公。

有刺鉄線を拳に巻き、そのままの勢いでエイカンに猪突猛進!

サイコキネシスを気合いで克服する、というポケモンも真っ青な漢気を発揮!

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強引に鉄線にてエイカンの顔を分断。

当然、こうか は ばつぐん だ!!

その煮え滾った感情はそのままにヘリにて逃亡を図るエステルの元へ大ジャンプ。

そんなキレッキレな主人公を前に震えに震え上がるビッチ、エステル。

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銃が暴発するハプニングもあり、ヘリの淵にぶら下がって命乞いをする始末。

「やめて、助けて!自分に正直になって!」

などととにかく必死なビッチ。

ここで生半可な男なら邪な考えに囚われて手を差し伸べてしまうかもしれない。

しかし本作の主人公は

ティム・ロスの息子。

そして究極のサイボーグ兵士。

さらにアドレナリン注射を過剰なまでに摂取済み。

もう役満に裏ドラが乗ったかのような確変状態な漢だった。

「正直に?オッケー!!!

と言わんばかりにヘリの扉を腕力にて強制シャットアウト!

なんの躊躇もなくビッチを殺害するのであった。

まさにレザーフェイスジグソウか!な「GAME OVER」感。

それをまさかの主人公がやってくれる。

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個人的な映画界二大ドアマン。

本作では三人目が観られるぞ!!

 

そしてその絶頂のままエンドロール。

この完璧な幕引き。

美女との熱烈なキスや子どもとの感動的ハグもなし。

腹立つやつを殺して終わり!!というサバサバ感。

これだ!!求めていたのは!

兎にも角にも宣伝通り映像革命が大成功した本作。

構成の斬新さ、派手なアクション、そしてビッチへの対処法とどれをとっても超傑作な出来。

正直、未だに興奮が冷めやらない。

確かに「全篇主観」「R15指定」この上なく人を選びまくる作品ではある。

しかしどちらも好きなある種、悪趣味な人間にはこれ以上ないほどに魂に響くはずだ!!

実際その日は『ハードコア』そのままな夢を見るほどに気に入ってしまった次第だ。

強豪揃いな昨今の洋画バブルな中でも文句なしに頭ひとつ抜けてると言える。

一切の迷いなしで今年ベストだ。

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語彙力は相変わらず行方不明!!

 

ちなみに本作を撮るキッカケとなったMV↓

こちらも必見だ!!!

Biting Elbows - 'Bad Motherfucker' Official Music Video - YouTube

もはやこれの映画化!!拍手!!

 

全力で語彙力ゼロなtwitter

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