高速回転する方舟の片隅で。

勢いしかない駄弁り映画ブログ。

ラ・ラ・ライアン・ゴズリング。『ナイスガイズ!』感想。バレあり。

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駄目人間×暴力人間の最悪タッグ!

終始する脱線に次ぐ脱線!!

話の8割は本筋関係なし!!

ハリウッドNo.1の監督、シェーン・ブラックが送る最高級の人間賛歌!!

これぞ男子向けな「裏・ラ・ランド」だ!!

 

今年頭。

とあるミュージカル映画が世界を席巻した。

f:id:berserkun:20180110163908j:imageラ・ラ・ランド

公開されるや否やアカデミー賞最有力候補となり、世界はその歌と踊りに魅せられた。

アカデミー賞最多ノミネート数を誇るその傑作さにやられたのか、女性だけでなく野郎共も取り憑かれたように世界規模の「踊ってみた」が投稿されたのも記憶に新しい。

片や俺はというと

映画好きではあるものの、その脳内は「暴力」「銃火器」「爆発」で占められているためにそこまで興味はなかった。

「主演のライアン・ゴズリング史上最高傑作!」と謳われていたところで

俺のNo.1はL.A. ギャングストーリーだと信じて疑わなかった。

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個性的な刑事達がマフィアよりマフィアすぎる手段でマフィアと闘うLA版七人の侍な傑作。

ジョシュ・ブローリンアンソニー・マッキーマイケル・ペーニャと密かなアメコミ役者勢揃い。

その中でもT-1000役で有名なロバート・パトリックが演じる二挺マグナムを操る「次元」さながらな老刑事は必見だ。

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痺れるカッコよさ!!

そのうち書こう!!当ブログでも!!

 

その他にもライアン出演のラブロマンスで言えばラブ・アゲイン驚くほどの名作だったためにハードルが上がっていた。

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3組の男女によるラブコメディ。

余裕綽々に観賞していると終盤のミステリさながらな怒涛の伏線回収に呑み込まれるぞ!!

そんなわけで劇場に足を運ぶまでには至らなかったのだが、ありがたいことにとあるミニシアターの鑑賞券が当たった。

ちょうどその時期にこちらも名作の美女と野獣との2本立てがやっていたので、早朝から突撃したのは以前も書かせていただいた。

魔法の沙汰も"愛"次第。『美女と野獣(2017年版)』ネタバレあり。感想文。 - 高速回転する方舟の片隅で。

 

…まぁ結論から言わせてもらえばこちらも超傑作だった。

というか観始めて数分後に気がついたのだが

主演はライアン・ゴズリング&エマ・ストーン

上記した2つの作品でも恋仲役を演じていた2人。

f:id:berserkun:20180110164029p:imageL.A. ギャングストーリーより。

f:id:berserkun:20180110164031j:imageラブ・アゲインより。

ピースがハマっていくようにどんどん好きになっていく俺がいた。

元来ミュージカルが嫌いでもない。

むしろ音楽は好きなだけに今やiPodにサントラぶち込んでノリノリになっているほどにハマってしまった。

ぜひ筆をとろうかと思ったのだが、ミュージカル映画を文章化できるほどの文才が俺にはない。

美女と野獣は得意のアベンジャーズステイサムでお茶を濁せたが、こちらはド直球のラブミュージカル映画

「とにかく観てくれ!!」に終始してしまうことは目に見えている。

 

さて。前置きが長くなってしまったが

今回は変わりにこちらを紹介させていただく。

f:id:berserkun:20180110171440j:image『ナイスガイズ!』 

まずビジュアルからし無骨なおっさんと腑抜けたライアンというラ・ラ・ランドからのご新規さんを徹底的に拒む気満々な素晴らしさ。

あちらは性別を超えて惚れる空気感を醸し出していたがこちらは全てを諦めたかのようなダメ人間さ。

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オープニングからしてスーツのまま入浴した状態で爆睡しているこの愚かしさ。

しかし日本ではこの2つがほぼ1週間違いで公開された奇跡。

ちなみにこちらも2本立てで観賞したのだが、もう1本は『ハードコア』だった。

SYNCHRONIZED "KILL"ING.『ハードコア』感想。バレあり。 - 高速回転する方舟の片隅で。

奇しくもこちらはこちらで「美女と野獣」と言っても差し支えない内容だった。

こちらの「野獣」はサイボーグ化された殺戮兵士だが!!

ラインナップからして脳細胞が死滅した男子向けであることは確かだ。

そんな間違っても教育には良くないあらすじ。

舞台は1970年代のロサンゼルス。

f:id:berserkun:20180110172459j:imageホランド・マーチは探偵とは名ばかりのダメ人間だった。

今日もエリート様は死んでもやらない洗濯も兼ねた入浴スタイルで目を覚ます。

仕事はあるものの、それは老人を騙すギリギリのライン。

シングルファーザーなだけに手段を選んでいる場合ではなかった。

f:id:berserkun:20180110172515j:imageその一人娘。ホリー。

今回のお仕事はとあるお婆さんから依頼された「とある少女を探して」というもの。

とりあえず探偵らしく怪しげなBARに侵入しようとするもガラスで手首を切るなど全方面ダメダメな捜査を開始するのであった。

f:id:berserkun:20180110172534j:imageジャクソン・ヒーリーは腕っ節ひとつで仕事する示談屋。

今日も未成年をハッパ中毒にしていたロリコン有無を言わさずブン殴る豪快極まりない仕事をしていた。

そんな有能さが巷では評判なのか、とある少女から新たに仕事が舞い込む。

それは「私を嗅ぎまわっている連中をブチのめして」というもの。

割と雑な捜査の末に数分でマーチの元へたどり着くヒーリー。

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「はじめまして」の挨拶がわりに顔面にパンチを打ち込んだ後に左腕を開放骨折させるデキる男っぷりを見せつけるが、こんな無能にあそこまで依頼人が怯えるのもおかしな話。

とりあえず金1割脅し9割な交渉の末に手を組むこととなったアウトサイダー×2。

f:id:berserkun:20180110174545p:image嫌々感と渋々感満載。

父親よりよっぽど有能なホリーも加わり3人で捜査を開始することにするが…

そこには国家を揺るがす壮大な陰謀が隠されていた!!

狙ってくるのは最凶の殺し屋。

敵は警察すら掌握している強大な権力者。

こちらの武器は口先意地のみ!!

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呑まなきゃやってられない絶望珍道中の幕が上がる!!

 

「人生はクローズアップすると悲劇。ロングショットでは喜劇」とは誰かの名言だが、正にその通りな本作。

細かく見ればこれだけ詰んでいる状況もない。

マーチは嫁に逃げられ酒とタバコの毎日。

中盤ではとうとう家まで失う。

仕事は詐欺まがいなもので決して胸を張れるようなものではない。

一人娘には論破される日々。

ヒーリーは暴力でしか生きられない切なさがある。

正しいことをしようにも染み付いた癖はなかなか抜けない。

出会った探偵は無能中の無能。

そんな状況で相手は国家的な権力者。

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全員目が死ぬのも無理はない。

その精神は全篇失われることはない。

とにかく口を開けば悪態か愚痴しか出てこないような八方塞がりな状況。

を使う精神的余裕もない。

とにかく2人して上映時間の9割は喋り倒す。

さらにそれだけでは飽き足らないのか少年少女の口からも下ネタがガンガン飛び出す始末。

f:id:berserkun:20180110173113j:image下ネタしかない寄り道。

そんな道中は当然穏やかではない。

流れ弾で無関係の人間も軽々と死んでいく。

特に終盤はピタゴラスイッチばりに各方面に多大なる損害を及ぼしていく。

そんなことも「即死だからセーフ」理論でなんなくかわしていく2人。

f:id:berserkun:20180110171921j:image見て見ぬ振りは基本。

言ってしまえばもう全編「不謹慎」で構成されているようなものだが、監督を見ればそれも腑に落ちる。

f:id:berserkun:20180110171559j:imageシェーン・ブラック

聞き馴染みがない方も多いかもしれないが

低偏差値映画をこの上なく愛する映画ファンからしたら高校時代のツレのような安心感がある。

リーサル・ウェポンラスト・アクションヒーローの脚本を書いたことでも有名だが

なにより特筆すべきはその監督業。

f:id:berserkun:20180110171615j:imageキスキス,バンバン

『アイアンマン』シャーロック・ホームズで世界的大ヒットを飛ばす前のロバート・ダウニー・Jr.主演。

ダメな役者がひょんなことから泥棒デビュー。

「役作りのために探偵と行動を共にしてたらとんでもない大事件に巻き込まれる」という筋書き。

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世界一の天才社長史上最高の名探偵とは違い、こちらは人生に迷いまくりのダメ人間を好演。

めちゃくちゃ面白いのでおすすめ。

 

f:id:berserkun:20180110171637j:imageアイアンマン3

単体作完結編にして最高の盛り上がり。

絶妙に雰囲気が過去作と違うがそれがたまらなく素晴らしい。

片腕片脚のみアーマー装備での闘い社長の頭の回転全開の素手での死闘、さらには絶頂間違いなしの「ホームパーティ・プロトコルまで。

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興奮しかないラストバトル。

その男子のツボを連打しまくったつくりには鳥肌が立ちっぱなしになること請け合い。

シリーズで一番観ているくらいには好きだ!!

こちらも書こう!!いつか!!


そんな信頼できるが撮った本作。

今まで以上に人間賛歌な側面がある。

主人公達は決してスーパーヒーローではない。

共感できるところも多いダメ人間だ。

寄り道に次ぐ寄り道をかまし、ときには逃げ出すことすらある。

それでも必死に立ち上がり挑戦し続ければラストのマーチのように「たまには勝つこと」もある。

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俺は泣いたよ!!このラスト!!

思えばラ・ラ・ランドは「夢」「ダンス」「涙」で構成されていたが

こちらは「現実」「暴力」「笑い」で成り立っている。

外側だけ見れば真逆とも言える要素の数々。

しかしどちらも本質は一緒とも言える。

届く客層が大幅にズレているだけで!!

確かに一から十まで「最高にどうしようもねぇ」有様ではある。

オチも「頑張っても何も変わらなかった」という酷いものである。

合理的か否かで言えば圧倒的に「否!!」な作品だ。

しかしその悲劇を笑い飛ばすラストは人生のひとつのアンサーでもあると思えてならない。

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これが人生!と言わんばかりの!!

ラ・ラ・ランドを観た後は「踊ってみた」くなるかもしれんが

本作を観た後には「あがいてみた」くなる。

そんな最低で最高の傑作だ。

観よう!独りの夜にでも!!

酒とタバコ片手に!!!

 

余談。

監督のシェーン・ブラックは俳優としても活躍しているのだが、そのデビュー作はプレデターだ。

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これだけでも十分応援するに足りるのだが

なんと次回の監督作は『The Predator』だ!

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リブートでもあるこの作品。

どうあがいても傑作になる予感しかない。

人の出世には興味ない俺でもこれは素直に応援したくなる!!

これからもよろしく頼むぞ!!

シェーン・ブラック!!

 

ダメさフルスロットルな予告↓ 

ラッセル・クロウ、ライアン・ゴズリング共演!映画『ナイスガイズ!』予告編 - YouTube

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