高速回転する方舟の片隅で。

勢いしかない駄弁り映画ブログ。

第二世怪獣大戦。『パシフィック・リム:アップライジング』感想。ネタバレあり。

f:id:berserkun:20180528181250j:imagef:id:berserkun:20180528175231j:image次世代組、大暴動(uprising)。

怪獣vs巨大ロボ、再び。

今度はロボvsロボもあるよ!!

前作の良さ? 知らん!!

有象無象を蹴散らせ!!

 

ネタバレなし感想。

前作にあった「独自の魅力」は半減。

それでも俺は大傑作と言いたい。

大画面でロボと怪獣が取っ組み合う。

これ以上ないほど期待に応えてくれました。

こだわり少なめの方は是非。

前作未見の方はむしろ本作からどうぞ。

 

「怪獣映画」

前回の記事でもいろいろ書かせていただいたので割愛するが

猛獣、巨獣、怪獣、ロック様。『ランペイジ 巨獣大乱闘』感想。ネタバレあり。 - 高速回転する方舟の片隅で。

昔以上にヒートアップしているジャンルである。

その一端を確実に担っているのが

f:id:berserkun:20180518144301j:imageパシフィック・リム

巷に世界を滅亡に導く巨大怪獣が出現。

それに対抗すべく人類は巨大ロボを製造。

そして正面からガチ喧嘩を果たす!!

という中学生男子の夢を叶えたような作品。

近々記事アップ予定。

 

当然そんな傑作に続編の話が出ないわけもない。

しかし製作延期のニュース鬼才監督「ギレルモ・デル・トロ」の降板など不穏な空気が漂っていた。

全世界が諦めムードになりかけていたが

なんとか無事に公開まで漕ぎ着けた経緯がある。

f:id:berserkun:20180528181824j:image

世界規模で熱狂ファンがいるジャンル、そんな中での超傑作の続編。

無骨さよりもスマートさを重視したようなビジュアル。

嫌な予感がしなかったといえば嘘になる。

そしてやはりというべきか

公開されると賛否の嵐。

「独特な魅力を持った作品」の続編は鬼門。

傑作だからこそ続編の話が出る。

そしてそれは大抵の場合、失敗する。

「やらかしたか…」と一瞬失望しかけたが

なにより俺は体験主義者。

一も二もなく劇場へ駆け込んだのであった。

観賞中。

俺は何度も「面白ぇじゃねぇか!!」と叫びたくなった。

確かにファンの方々の否定的意見もわからなくはなかったが

スクリーンには俺の理想そのものが映っていた。

むしろテーマそのものが作品の背景とも重なって泣きそうになったほどだった。

前作とベクトルこそ微妙に違うが

あの圧倒的熱量は健在だった。おそらく!

そんな160km/hのスライダーのようなあらすじ。

前作から10年。

怪獣大戦の余波で廃墟が広がっていたものの

世界は平和になっていた。

そこで「ジェイク」は人生を謳歌していた。f:id:berserkun:20180528131244p:image我らがジョン・ボイエガ

主な仕事は超技術の塊、世界を救った巨大ロボ「イェーガー」部品を盗んで横流しすること。

今日も元気に危ない集団と手を組みレアパーツを盗みに出かけたが、そんな愉快な怪盗生活は終わりを告げる。

お目当てのパーツは一足先に盗み出されていた。

当然「話が違う」とキレられるジェイク。

そこは機転の良さ、そして黒人特有のトークスキルでなんなく躱すがこのままではロハススローライフが送れなくなってしまうのも事実。

すっかり我が物顔で盗まれたパーツを取り返そうと犯人を追いかけると

そこには小型の「イェーガー」があった。

f:id:berserkun:20180528175523j:imageその製作者「アマーラ」

ジェイクを出し抜いた当人でもある。

やいのやいの言い争いをしているうちに

撒いたはずのそこに追っ手達が迫る。

残された逃げ道は目の前のロボしかなかった。

初起動がマフィアや警察からの逃亡劇、という寝起きドッキリにも動じることなく

無事にド派手に暴れ回る「スクラッパー」f:id:berserkun:20180528131354p:image街中を跳ね回る景気の良さ。

しかし政府警察は黙っていなかった。

役人特有の大人気なさで

「イェーガーにはイェーガーだ!」とばかりに大型機を出動。f:id:berserkun:20180528131337p:image「ノーベンバー・エイジャックス」

対イェーガー取締用イェーガー。

小回りの良さで翻弄するが、やはり体格の壁には抗えない。

あっさり捕まり刑務所にぶち込まれてしまうジェイクとアマーラであった。

しかしそこには顔馴染みがいた。

f:id:berserkun:20180528131424j:image「マコ」前作のメインキャラ。

ジェイク「姉貴…!」

そう、ジェイクは10年前に世界を救った英雄「スタッカー・ペントコスト」の息子であった。f:id:berserkun:20180528131722j:image合衆国大統領になってほしい漢、第1位!!

つまりは義理の娘のマコとは姉弟

どうやら話を聞くにジェイクは名の知れた前科者でもあるらしい。

マコ「昔は真面目だったのに…」

f:id:berserkun:20180604095618j:imageジェイク「あんたはいいよな、親父に大事にされてて」

どうやら娘ばかり可愛がられるのはこの世界でも例外ではなかったようだ。

しかしそんなグレきった弟でもマコは決して見捨てることはなかった。

自らも所属している「環太平洋防衛軍 (Pan Pacific Defence Corps)」通称「PPDC」にコネで職を斡旋!

ジェイクも過去に所属していたが、肌に合わずにバックれたらしい。

「あのブラック企業かよ…」とは言うものの、何年も牢屋の中は気が滅入るのも事実。

ちゃっかりスカウトされたアマーラと共に気まずい現場復帰を果たすのであった。

一応職歴はある。

なによりここは実力主義な世界。

履歴書よりも人脈の広さが重要視され飛び級的にジェイクは教官として働くことになるが

そこの同僚は一悶着ありそうな相手だった。f:id:berserkun:20180528175729j:image「ネイサン」スコット・イーストウッド

ジェイクとは腐れ縁で犬猿の仲。

とはいえまぁお互いそこそこ大人になった。

口喧嘩しつつも早速共に現場に出るが

教え子たちも二癖あるような連中ばかりだった。f:id:berserkun:20180528175822j:imageアマーラもここに所属。

中でも一際オーラを放っていたのはf:id:berserkun:20180528175845j:image「リョーイチ」我らが真剣佑。

共に生活をする仲でそこそこ雰囲気も良いのだが

そこはティーンエイジャーの集団。

アマーラが入ってきたことにより歪みが生まれてしまう。

まぁ一緒に生活しているとはいえ人種もポリシーも違う面々。

10年前なら共通の目的で1つになれたはずだが

平和ボケしている世界では無理もなかった。

その証拠に今日のお仕事も怪獣退治などではなかった。

今、株価がうなぎのぼりな企業「シャオ社」による

初の無人型イェーガー」のお披露目会がシドニーで行われる。

それにPPDC代表として出向いたマコの護衛だった。

あまり相性は良くことは棚に上げて生徒たちへの見本となるべく出動するジェイクとネイサン。

乗り込むはf:id:berserkun:20180528181419p:image「ジプシー・アベンジャー」

会議終了までビル外でずっと立ってるだけの簡単なお仕事…のはずだった。

そこにけたたましいアラームが鳴り響く。

「数年ぶりに怪獣か?!」と慌てる面々。

しかし今回は違った。

まさかの未確認イェーガーだった。f:id:berserkun:20180528131754p:image「オブシディアン・フューリー」

こちらの生温い警告はガン無視。

それどころか平和ボケしたPPDCに「喝!」とも言える攻撃をかましてくる。

当然、やられっぱなしでは終われない。

捕縛を秒で諦めたジェイクは殺意100%なビームソードを携え 迎撃準備、完了!

かくして街のド真ん中で

「イェーガーvsイェーガー」の殴り合いが開催されるのであった。

f:id:berserkun:20180528181452j:image盛大にビル群を破壊しながらも互角な死闘を演じる両機。

しかしこちらは現場復帰直後、おまけにパイロットコンビはブランクありの犬猿の仲。

攻撃にばかり意識がいってしまい後手後手にまわる。

おかげで被害は甚大だった。

それはPPDCも例外ではない。

逃げ遅れたマコが死亡してしまう。

なんとか敵を追い払うことだけはできたが

すっかり意気消沈なメンバー。

唯一の家族を失い落ち込むジェイク。

板挟みで疲労困憊なネイサン。

我が強く一匹狼なアマーラ。

生徒たちは八つ当たり的にバラバラ。

しかし落ち込んでばかりもいられなかった。

今度は「シャオ社」開発の無数の無人機が世界各地で大暴走する。f:id:berserkun:20180528181531p:imageもうお手上げ状態だった。

しかしマコが命を張ってまで最後に遺してくれたものがあった。

それは今回の大騒動の鍵となるもの。

前作でも登場した「プリカーサー」の真の狙いだった。

世界各地の無人機を乗っ取り

前作で封じられた「時空の裂け目」を抉じ開けること。

そして火山帯の起点でもある「富士山」「怪獣」を向かわせ、世界を滅亡させることだった。

完全に四の五の言っている場合ではなくなった。

これ以上人生から逃げてはいられない。f:id:berserkun:20180528182401j:image面白黒人から漢気黒人にトランスフォームしたジェイク。

さらには出撃前に亡き親父の意志をこれでもかと引き継いだ「名演説」をブチかます!

f:id:berserkun:20180528131543p:image

「俺は親父ほど演説は上手くない」

「それでもここにいる"ファミリー"ならわかってくれるはずだ」

「覚悟はいいか?」

「世界を救うぞ!!」

その熱意は十分に「家族」に伝わった。

狙いはある意味での「怪獣」のホーム。

皆、イェーガーに乗り込み「東京」へ降り立つ。

それぞれの悩みや甘えはもう完全に吹き飛んでいた。

決戦の地は我らが「TOKYO」

バックには鎮座する「Mt.FUJI」

敵は最大最強の「KAIJU」

闘う仲間は最大最高の「Family」

皆の想いは1つに完全ドリフト!!

f:id:berserkun:20180518155620j:image

「世界を、救ってやる!!」

地球最大の殴り合い、再開幕!!

 

公開前にあれこれ言われていた杞憂は半分当たっていたかもしれない。

前作の布陣を鑑みると

監督がギレルモ・デル・トロf:id:berserkun:20180528134339j:imageハリウッド筆頭、オタク特攻隊長。

主演がイドリス・エルバf:id:berserkun:20180528134406j:imageハリウッド筆頭、漢気特攻隊長。

「いや、これ超えるのは無理だろ…」という声が出てくるのも頷ける。

事実、巷での評価も賛否分かれている。

しかしこの不景気とも言える昨今のご時世に

「怪獣とロボが大乱闘する」アッパームービーが大画面で観られたことには感謝する他ない。

なにより本作のテーマは

「偉大な先代を超えられるか?」

ジェイクの父親が「スタッカー」ということもそうだが、それ以上に作品外。

監督と主演は上記のグレイトな漢達。

さらに現実では

スコットの親父はf:id:berserkun:20180528131452j:imageクリント・イーストウッド

真剣佑の親父はf:id:berserkun:20180528131512j:imageサニー千葉

と、それぞれ偉大すぎる先代を持つ。

その状況はある意味、作中のキャラクター達とこれ以上ないほどにリンクしている。

言ってしまえば本作には終始「二世の重圧」が立ち込めている。

そしてそれを真正面から崩すのは只事じゃない。

そこで本作が下した結論は

「先輩方は偉大だ」

「リスペクトはして当然」

「でもそれはそれ!これはこれ!

「俺らは俺らでやれることやろう!」

見習いたくなるほど潔い開き直りの境地だった。

それを「思ってたのと違う」と感じてしまうファンの方々がいるのも理解できる。

だが今は前作から5年、作中では10年が経過している。

「もう割り切っていこう!」

という気概も別の正解だろう!!

何も前作がおざなりにされているわけではない。

ジェイクが「過去のイェーガー」からパーツを盗んで生活している様は

本作の企画でもある「過去の遺産を食い潰している」暗喩ともとれる。

しかし最終的には自分の口で、自分の足で正々堂々と怪獣と真っ向からぶつかるまでに成長する。

これは個人的な話になってしまうが

俺にも偉大な両親、そして兄姉がいる。

そんな皆の栄光にすがって暮らしていた過去も少なからずあった。

だからこそ本作の主人公達の「悪あがき」とも言える大暴れには胸が熱くなった。

考えすぎかもしれんが!!

 

確かに本作は「理想的な続編」というよりは

「マイナーチェンジ版」に近い。

よりパワーアップした作品を期待すると肩透かしを食らうかもしれないのもまた事実。

しかし同じレールの上を走ったところで勝ち目がないなら違うレールを敷いてみるのもまた一つのアンサー。

「怪獣」に居場所を奪われた者達がそれぞれ仲良くなり

最後には自己犠牲の末に「怪獣」そして「己自身」に打ち勝つ。

簡潔にまとめるとラインは前作と同じだが

その角度は少しだけ違っている。

そりゃあ生粋の怪獣オタク「ギレルモ・デル・トロ」には勝てないかもしれない。

だからこそ舵を切って「イェーガーvsイェーガー」や、怪獣映画の聖地「東京」での最終決戦を組み込んだ。

馬鹿か馬鹿じゃないかでいえば圧倒的に馬鹿だが

これぞ正しい馬鹿の在り方だ。

おかしなところを挙げていけば間違いなくキリがない。

しかし本作はそんな大人げない批難を吹き飛ばすような「カッコイイは正義」の連べ打ちがある。

ラストバトルになれば合体するんだぞ!!

怪獣が!!f:id:berserkun:20180528182052p:image天晴れな馬鹿具合。最高だ!!

f:id:berserkun:20180528130507p:image初の現場での異常事態に戸惑うアマーラ。

f:id:berserkun:20180528130546p:imageそれに鬼のような返しをするジェイク。

この暑苦しいまでの根性論。

それも決して理想論で終わることはない。

前作ではラストのキメ技がロケットパンチだったのを受けてか、本作では天空からの「メテオパンチ」f:id:berserkun:20180528182038p:imageまさかのキン肉マンイズム。

パンチは片手より両手の方が強い!!

この純粋とも言える描写の数々。

本作も紛うことなき「パシフィック・リム」だ。

何気に登場するイェーガーが

小型機→中型機→大型機とインフレしていくのもまた正しい少年漫画イズム。

これらを減点方式で「赤点」と見るか

加点方式で「200点!!」と見るかは人それぞれだろう。

個人的には

怪獣とロボが殴り合う +50点

ロボとロボが闘う +30点

主演がジョン・ボイエガ +80点

相変わらず真剣佑がイケメン +60点

富士山の麓に東京がある +80点

ガンダムがお台場に鎮座している +100点

合計で400点は堅い超傑作だと思っている。

誰がなんと言おうとも!!

 

むしろ続編という話は一旦無視して本作から入るのも手かもしれない。

その後に前日譚として前作を観ればまた興奮もひとしおだ。

何か間違っている気もするが!!

 

とにかく批判もわかるが、そんな細かいことは帳消しにするパワーを魅せてくれた本作。

やいのやいの言い掛かりをつけてくるやつには

作中のジェイクのようにf:id:berserkun:20180604100004j:image

「上唇と下唇をくっつけてろ」

「つまりは黙ってろ」

と言いたくなる大傑作だ。

f:id:berserkun:20180528182219j:image

観よう!!!

ハードルと偏差値を下げて!!

f:id:berserkun:20180604100206p:image

 

ちなみに「大張正己」による描き下ろしコラボアートがこれ。

f:id:berserkun:20180604100145j:image最高だ!!

 

余談。

細かくなるが、残念な点があるとするなら2つ。

1つはスカイツリーを使わなかったこと。

せっかく平成の怪獣映画なんだから

ヘシ折るなり突き刺すなりしてほしかった。

 

そしてもう1つ。

ラストバトルで荒らされた東京に佇むお台場UCガンダム

いわゆるサービスカットなのだが

「もしかして動くのか?!」と勝手に期待してしまった。

まぁこれはレディ・プレイヤー1という強豪と公開時期が被った弊害かもしれない。

オタク専用電子ドラッグ。『レディ・プレイヤー1』感想。ネタバレあり。 - 高速回転する方舟の片隅で。

訓練生にダイトウがいればまた違ったかもしれないな!!

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f:id:berserkun:20180525152718p:imageこちらはメカゴジラビームサーベルでシバいてました。

…にしても最近は怪獣映画もそうだが

ガンダムが異様に熱い。

本作や『レディプレ』もそうだが

機動戦士ガンダム THE ORIGINf:id:berserkun:20180528134319j:image言わずと知れた1stリメイク。

 

『劇場版名探偵コナン ゼロの執行人f:id:berserkun:20180528134442j:imageメインキャラに「アムロ」と「シャア」

 

これらがひと月の間に連続公開される狂気。

本当に2018年なのか? 今!?

 

赤い彗星がナレーションする予告↓

『パシフィック・リム:アップライジング』TV SPOT<新世代編> - YouTube

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