難易度ベリハでおそ松さん。『セブン・シスターズ』感想。バレあり。
「闘うヒロイン特集」第三弾。
七つ子姉妹vs最悪絶望郷。
手加減&情け容赦、一切なし。
絶望のドン底で信じられるのは互いの絆のみ。
加速する絶望に耐えられるか。
一筋の希望を撃ち抜け!!
いきなりだが俺は3人兄弟だ。
6つ上の兄と9つ上の姉がいて俺は末っ子にあたるのだが、この2人がまぁとにかく出来た人間だ。
詳しくは話づらいがどちらも第三者からしたら相当な理想形であることは想像に難くない。
恋人にしたいランキングの1位から10位までを余すことなく詰め込んだ挙句に磨き上げたような真人間とでも言おうか。
身内がここまで褒めるのも気持ち悪い話だが、贔屓目に見てもほぼほぼ完璧であることは認める他ない。
というかうちの家系はどこをとっても全てにおいて90点超えを果たすような方達なのだが、一方でそれを見てきた俺は。
なにをしようが負け戦になってしまう負い目から自堕落な駄目人間となった。まぁバレてるだろうが。
もちろん兄弟に恨みなどは一欠片もないものの、やっぱりどこか羨望に似た嫉妬はあることは否定できない。逆恨みだな、これ!!
2人して今年に入ってから立て続けに結婚したことに関して「ちょっとは遠慮してくれ!」と思ったことは本音だ。
しかし長男である友人などに聞いてみれば「上には上の苦労がある」とのこと。確かに全てにおいて下に抜かれるわけにはいかないというプレッシャーは想像を絶するものがあるだろう。
かと思えばひとりっ子からすれば「兄弟いるのは羨ましい」という意見も出る始末。
結局は隣の芝生は青いということだろう。
しかしそんな議論を全て無に帰す作品が海の向こうからやってきた。
本作の主人公はなんと七つ子姉妹。
姉妹間のギスつきや絆は他の比ではない。
さらにその舞台はひとりっ子至上主義。
2人目以降は政府によって強制冷凍保存される絶望郷。
彼女らからすれば俺らの悩みなんぞ青いどころの話ではない。
こんな世界に生まれなくて本当によかった。
そんなありがたみを痛感するあらすじ。
上記したように主人公達は七つ子姉妹。
産まれたときから実の両親を失くし、代わりにウィリアム・デフォーに育てられていた。1人が事故で指を失えば他の姉妹の指すら落とす漢気満載な育メン。
「7人だしそれぞれ曜日の名前にしよう!」という安直を通り越した清々しさもそのままなんとか大人になるまで成長する。
しかし皆の表情は明るくない。
なぜならこの世界は「人口爆発を抑えるために子供は1人しかつくっちゃだめ。それ以上の子供は政府が隔離して冷凍保存します。」という暗黒すぎる絶望郷だったからだ。
各々不満はあるものの、そこは七つ子。
むしろそれを逆手にとり協力して「カレン・セットマン」という人間に成り済ますのであった。なかなか板についてきたものの大家さんとの会話をシェアし忘れるなどのうっかりもそこそこに今日も仕事に行くマンデーであった。
しかしそこで事件は起こる。
基本的にその性質からバレたら終わりな綱渡り人生。夜遊びなど以ての外なのだが次の日の朝になってもマンデーが帰ってこない。
しかし待っているだけでは埒があかない。
姉妹の身を案じるがあまりに「一度に外に出るのは1人だけ」という鉄の掟を破ってしまう。
「なにより仕事もあるし!」とチューズデーが電撃出勤するも
いつも身につけているはずのGPSの信号が途絶えてしまう。
一体何が起きているのか?
なにかを知っている風な上司。
暗躍する政府の人間。
誰が味方で敵なのか?
信じられるのは姉妹の絆のみ!
全方位真っ暗な暗黒の世界で割と普通めな姉妹達が奮闘する!!滾るなぁ!!!
とにかく目玉は主演の七つ子だ。
演じ分けたナオミ・ラパスのコメントと共に紹介させていただこう。
MONDAY。聡明な野心家。
「子供の頃から常に自分を犠牲にして、家族の期待に応える努力をしてきた。でも恋に落ちて、心の中に嵐が吹き荒れた時、今まで自分が守ってきたルールに疑問を抱き始める。冷酷でわがままなようにも見えるけど、その仮面の下は、愛を追い求める女性なの」
序盤の主役。話の発端でもある。
ぶっちゃけ黒幕なのだがその理由は「恋した男性との間に子供ができたから」というもの。
わがままとも言えるが実際そうなったら姉妹より優先してしまう気持ちはわからなくもない。
TUESDAY。繊細なヒッピー。
「自由な精神の持ち主。繊細で、心を落ち着かせるためにマリファナを吸っている。いつもハッピーで、他の姉妹たちに対して優しく、何事も受け入れるタイプね。外の世界で生きられたらヒッピーになっていたでしょう」
優しい温和なタイプ。
網膜スキャンのために生きたまま目玉をくり抜かれるなどエグすぎる目に遭うも、生き抜く覚悟を決める。
WEDNESDAY。恐れ知らずの戦士。
「恐怖心とは無縁の本物の戦士。トレーニングが大好きで、ボクシングや武術にはまっている。他の姉妹たちは彼女が運動をし過ぎて一人だけ体型が変わってしまうことを心配しているの」
姉妹間での戦闘力は随一。
身体を鍛えることに余念がない。
追っ手との戦闘では一番いいところまで行く。
中盤ではただ1人で政府との闘いに出向くも…
THURSDAY。ワイルドな反逆者。
「子供の頃から常にルールを破り、自分のやり方を押し通すためには権威にも盾突いてきた。月曜とは対照的ね。そんな彼女も戦いの中でリーダーとしての責任に目覚め、大人へと成長していく」
幼少期にスケボーしたさに一度掟を破った経験あり。
わがままではあるが中盤以降の主軸となる。
責任感は姉妹一。イケメン。
FRIDAY。天才肌の理系ブレーン。
「ものすごく頭が切れる、姉妹のブレーンのような存在。ただし自分の世界に生きていて、他人との交流が苦手。他の姉妹は外に出たくてたまらないのに対して、彼女だけは外で人に接することを苦痛に思っている」
大人しめの眼鏡っ娘。ITを駆使し姉妹の頭脳となる。
そしてなにより家族を愛している。
弱気で守られるタイプだが終盤にてその秘められた漢気が大爆発する。
SATURDAY。パーティ好きのロマンチスト。
「セクシーで、女性らしい格好を好み、陽気で、何に対しても積極的で、とてもロマンチックな女性ね。17歳の時に恋に落ちたけれど、祖父から感情的になると弱点を突かれるという理由で反対され、他の姉妹たちのために諦めた経験があるの」
明るめの遊び人。
軽めの発言も目立つ。
しかし中盤で処女ビッチであることが判明する。
その際のベッドシーンは見所のひとつ。
ファッション含めて一番可愛い。
SUNDAY。慈愛に満ちた仲裁役。
「一家の母のような存在。しっかり者で、いつも他の姉妹たちの心配ばかりしていて、自分のことは後回し。姉妹が喧嘩を始めると仲裁に入るのが日曜よ」
大黒柱。一番大人。
しっかりした母親のような立ち位置。
しかしその母性ゆえに…
このように顔以外はバラバラな姉妹。
とにかくこの7人がわいわいやっているだけで楽しい。観賞前は「7人も演じ分けられるの?」と思っていたが、答えは「むしろ同一人物なの?これ?!」だ。
大抵この手の1人何役ものはどこかで冷めた気分になってしまうことも多いが、本作に至ってはそれが全くない。
観ているうちに本気で別人として認識できる。
これぞ演技派実力女優だ。
そのメンバーがあまりに独特で最悪にも程がある世界に立ち向かう。
このオリジナリティだけでももう傑作だ。
さらにその世界観の描き方にも抜かりはない。
終盤にて明らかになるのだが、ひとりっ子以外は強制殺処分される程に人命が軽い。
つまりは当然追っ手の連中も容赦が全くない。
とにかくバッタバタと人が死ぬ。
もう冗談のように!
意味ありげな上司は牛乳飲んでる途中にスナイプされ、一番先に勘づきそうな管理人は挨拶代わりに脳天を撃ち抜かれる。
そして姉妹も例外ではない。
序盤の強制家宅捜査にてサンデーが殺され
武闘派であったウェンズデーは善戦するもののビル間を飛び越えた瞬間に対面から撃ち殺される。
フライデーは家族のメモリーを守るために追っ手を引きつけた後に、漢気満載な大自爆。
サタデーは決死の想いで真相に近づいた直後のテレビ電話にて姉妹の目の前で射殺。
もうとにかく普通に死んでいく。
それにより展開が掴めずに緊張感が加速する。
まぁさすがに七つ子を演じるのがダルくなった可能性も捨てきれんが!
それでもただでさえ全方位絶望しかない世界で唯一頼れる姉妹すら呆気なく殺されていくのは凄惨という他ない。全篇、本気で救いありません。
しかし主人公達はただの一般人女性。
この儚さには妙な生々しささえある。
設定上は一般人な癖にやたら主人公補正がかかるということがない。
作風的にも大正解だ。
ちなみに原作では主人公達は男の七つ子らしい。
それも相まって今回も観ている最中に「これがもしステイサムだったら」ということを考えてしまった。まぁいつもの悪癖だ!
MONDAY。冷酷なトランスポーター。
TUESDAY。アドレナリン全開の自由人。
WEDNESDAY。セイフとは程遠い破壊屋。
THURSDAY。ブリッツ(稲妻)アウトサイダー。
FRIDAY。メカニックなプロフェッショナル。
SATURDAY。ワイルドすぎるスピード狂。
SUNDAY。エクスペンダブルな弟分。
…書いてて思ったが誰が相手になるのか!
エイリアンの大群でも10分持たないな!!
vsガチ米軍くらいじゃないと映画にならん!!
でも面白そうだなぁ!!!
余談だが「登場人物、全てステイサム」 なCMがある。
JASON STATHAM in LG G5 mobile phone commercial 1 APRIL 2016 X2 - YouTube
…なかなか気が狂ってるなぁ!!!
きっと夜中に会議が行われたんだろう!!
とにかく普通のアクションの型に嵌らない本作。
むしろ趣きとしてはサスペンスに近い。
それでも独特の雰囲気を全てプラスに変換し
演技力でゴリ押しする姿勢には批判の言葉を失う。
「伏線が〜」やら「合理的じゃない〜」だの言い出す方には向いてないかもしれない。
しかしそこにはそれ以上に大事な絆がありアクションがあり希望がある。
「兄弟間で喧嘩するくらいなら世界と喧嘩しろ!!」という漢気アンサーを身体を張って明示してくれる傑作だ。
観に行こう!!兄弟で!!!
シリアスさが垣間見える予告↓
七つ子が一人の人間に成りすますSFスリラー 映画『セブン・シスターズ』予告編 - YouTube
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