終わりの始まり。『貞子vs伽椰子』バレあり。感想。
レジェンドvsレジェンド。
世界を呪った女vs世界を怨んだ女。
最凶×最狂=最強。
今、伝説が劇的に邂逅する。
この闘い、絶対に見逃すな。
ネタバレなし感想。
前半ガチめに怖い。後半非常に面白い。
結果、かなり面白い。
悪ふざけが許せる方にはオススメ。
むしろ浅めのファン、初見の方こそハマるかも。
真面目なファンは回れ右だ!
映画にはいわゆる「vsもの」と呼ばれる
「夢の対決を実現しよう!」という景気の良いジャンルがある。
製作までのハードルは少し高いものの
「双方のファン層が取り込めるゆえに売上も見込める」という大いなる利点からか
古今東西、あらゆる作品がつくられてきた。
近年の有名どころだけでも
「スーパーマン」と「バットマン」が正面からガチで殴り合いを演じる『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』
DCEU2作目にして新生バットマン初登場。
史上最も繊細な「スーパーマン」と
史上最も悩まない「バットマン」が
街のど真ん中でド派手に素手喧嘩する傑作。
あまり評判はよろしくないが!!
そのライバル社のMARVELでは
「アイアンマン」と「キャプテン・アメリカ」が
それぞれ仲間を従えて大運動会を開催する『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
MCU15作目にして『キャプテン・アメリカ』3作目、そして完結編。
社長率いる「パリピ文化系」チームと
キャップ率いる「ガチンコ体育会系」チームが
いよいよ我慢できなくなり本格的に闘う大傑作。
近い将来で言えば
「ゴジラ」と「キングコング」が正面からタイマンを張る予定もある。「モンスター・ユニバース」4作目。
2014年にハリウッドでリブートされた
-地球の番長-「GODZILLA」と
2016年に同じくリブートされた
-最強の自宅警備員-「KONG」が
まさかの正面衝突を果たす。
どうあがいても傑作にしかなりえない注目作。
…などなど。
とにかく人気が衰えないジャンルである。
ホラー映画でも過去には
『13日の金曜日』の「ジェイソン」と
『エルム街の悪夢』の「フレディ」が
割と本気で殺し合ったり『フレディVSジェイソン』
洋ホラーの二大巨頭が夢の邂逅。
-究極なまで現実-「ジェイソン」と
-無上なまで悪夢-「フレディ」が
奇跡の出会いを果たす。
他にもアクション寄りではあるが
人外同士が互いを捕食しあったこともあった。『エイリアンVSプレデター』
-未知の生命体-「エイリアン」と
-宇宙の狩人-「プレデター」が
地球でぶつかり合う迷惑極まりない本作。
その超自然に人間は歯向かうことすら許さない。
そんな中、長年対決を期待されてながらも
実現不可能と思われていた正真正銘「伝説」な2人。
-業の輪廻-「貞子」
-怨の呪縛-「伽椰子」
この邦ホラーの双璧。
もはや恐怖の看板とも言えるご両人。
遂にこの2人が激突する。
これが初めてニュースになったのは今からちょうど2年前。
2015年4月1日であった。出来が良すぎる宣伝ポスター。
当然世間(一部)は沸き立ったもののやはり日時が日時。
ポスターに隠された「映 プ リル フール」の文字通り、一夜の幻と消えた。
しかしあまりに熱狂的なファンの声。
そしてなにより監督の熱意により
本当に2016年夏に公開の運びとなった。素晴らしいなぁ!!
しかし共に散々酷使されすぎた題材。
どちらも「本気で怖かったのは最初の数作だけ」などと言われる始末。
今回も「どうせギャグだろ」と誰もが思った。
パチンコ版。たまらん。
本作も宣伝として始球式が行われたが貞子が投げ!伽椰子が打ち!俊雄が走る!
といった爆笑ものだった。
まぁホラーというものは観すぎてしまうと耐性がついてしまいがち。
「ホラーとギャグとは紙一重」という言葉もあるが
この時代に2人に本気で怖がっている人の方が貴重かもしれない。
それを証明するかのように互いに売り上げも勢いも右肩下がり。会社も倒産してしまった。
延命のための措置も致し方ないが
それでもどこか希望を求め、さらには「対決もの」が好きな俺。
「行こう、試写会も当たったし!」とのことで一足先に観に行かせてもらったわけだが
俺は劇場で1人目を見張った。
「あれ、普通に怖くない?これ」
そう、まさかの逆転ホームランだった。
そこには国民的マスコットになってしまった2人はいなかった。
むしろ対決どころかがっつり手を組み、冷やかし目的の観客を恐怖のドン底に突き落とす怪物がいた。
本作のつくりとしては【貞子パート】と【伽椰子パート】が交互に進んでいき【ラストに合流】という流れ。
ひとまずそれぞれの主人公紹介。
【貞子パート】
友里ちゃん。
まさに今風の女子大生。
清純であり典型的。特筆すべきことはなし。
可愛い。タイプ。
【伽椰子パート】
鈴花ちゃん。
こちらは女子高生。
クールっぽいけどやはり女の子。
可愛い。タイプ。
この2人がそれぞれ「伝説」と邂逅する。
正直キャラとして際立ったところはない。
まぁ、忘れてるだけかもしれんが!
しかしこのパート、共に非常にテンポが良い。
さらには手加減のない容赦のなさ。
シリーズ未見でもわかりやすく話が進んでいく。
友里は「呪いのビデオ」を手に入れる。
鈴花は「呪いの家」の近くに引っ越してくる。
その2人に当然の如く呪いが降りかかる。
不穏な空気を醸し出しながらじわじわと侵食されていく恐怖。
結果的にはお察しの通り2人とも呪いの標的になってしまうのだが
とにかく周りの人間が死んでいく。
「貞子パート」では友人と学校の先生、さらには胡散臭い霊媒師一同。
「伽椰子パート」では父親、近所のクソガキ共。
もうバッタバッタと死んでいく。
「被害者数とホラーの出来は比例する」とは言わないが
これだけ死ぬのはやはり景気が良い。
とはいえ友里と鈴花にとっては文字通りの死活問題。
そんな折、2人の救世主が現れる。
-異端の凄腕霊能者タッグ-
「常盤経蔵&珠緒」
口が悪くチャラチャラしながらも根は優しい経蔵。
盲目ながら霊視能力はピカイチな珠緒。
まるで漫画から抜け出してきたかのようなキャラの立ちっぷりな両人だが
登場と共に「あぁ…なんとかするわ」という安堵感を観客にもたらすほどのオーラがある。
この最高なタッグが2人の主人公を繋ぐ架け橋となる。
その道では非常に有名らしく「最終兵器」としてそれぞれの前に君臨する。
しかし相手はホラー界の大先輩。
やはりとてつもなく呪いが強いらしく
気軽にお祓いはできないことも同時に判明する。
そんな中、天啓とも言える閃きが経蔵の頭をよぎる。
それは開き直りともいえる解決作だった。
「バケモンには、バケモンをぶつけんだよ」
経蔵のキャラ、製作者の都合、なにより観客の願いが見事に一致した瞬間だった。
具体的には「呪いの家で呪いのビデオを見よう!」という無謀極まりないもの。
「なにが解決するんだ!?それで!」と言いたくなるが映画としては100点だ。
有言、即実行。横並びはいいなぁ!
いよいよ最終決戦。
両者お馴染みの降臨で相見える両雄。
画面から貞子。
階段上から伽椰子。怯える2人。
さぁ、役者は揃った!
女子2人の悲鳴をゴングに手加減なしのキャットファイト(呪いあり)が幕を上げる。
両者とも呪いの権化なだけに容赦はない。
手始めにチョロついてた俊雄君を画面に引きずり込み瞬殺する貞子。
それを見て躊躇なく呪いのビデオを握り潰す伽椰子。極道もびっくりな鋭すぎる眼光でメンチを切り合う両者。
そんな問答無用に呪いと暴力でシバき合う伝説達を目の当たりにした経蔵。
さっきまでの勢いはどうしたのか
「これ消滅させんの無理だ、封印しよう!」と
家の裏にあった井戸に封印させることにする。なぜかある井戸。深く考えたら負けだ!!
「生贄が必要」という後出しの問題にも
年上の意地で友里が二つ返事で了承。
井戸の淵に立ち両雄を待ち構える。そこに…左から貞子、右から伽椰子という
「前門の虎、後門の狼」どころではない大惨事。
しかし臆することもなく2人を十分に引きつけ
井戸に飛び込む友里。
そして飛びかかる両者!!そのまま空中で激突!!井戸に落下!!
この後なんやかんやあって融合した両者。
その場にいたメンバーを皆殺しにし
画面に向かって飛びかかってきて、完!!
あっという間の幕引きだがこの潔さ。
「ラストにグダグダやる映画は好きじゃない」という監督の声が聞こえてくるようだ。
俺もだ!! 最高だ!!!
嘘偽りなしの煽り文句。
そしてかかる素晴らしすぎるエンディング曲。
聖飢魔Ⅱ 『呪いのシャ・ナ・ナ・ナ』Dance Ver. - YouTube
残念ながらダンスはなかったが
そのやたらアッパーな曲は観客の放心を煽ること請け合いだ。
もう終わり良ければなにもかも良し。
最高だ!!!
とにかく全編、バカかバカじゃないかで言えば大バカな映画。
しかしこちらからバカにすることは出来ない傑作でもある。
巷では賛否分かれているが、勢いがある映画が好きな方は必見だ。
友人同士でワイワイ観よう!!
余談。
本作で経蔵を気に入った方へ。
同監督作である『カルト』がオススメだ。
中盤まではある意味よくある「モキュメンタリーホラー」だが
極限まで追い込まれた主人公達は1人の「漫画から抜け出してきたような最強霊能者」を頼ることにする。
-最強で最高な霊能者-「ネオ」
おそらく邦ホラー史上最強の能力者。
ここから人類側の100倍返しが幕を開ける。
ホラーにセガールが乗り込んできたような衝撃を味わえる大傑作。
続編かクロスオーバー待ってるぞ!白石監督!!
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最高すぎる本作の予告↓
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