トム、やる。『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』感想。ネタバレあり。
出来る出来ないじゃない、やるんだ!
抗え!!全てに!!
立ち向かえ!!無謀でも!!!
本作はラジオでも語ってるのでぜひご拝聴を↓
#06『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』とか - 映画語ってく枠 - Radiotalk(ラジオトーク)
20代になってからしばらく経った。
世間からすればまだまだ子供ではあるだろうが
近年やはり体力の衰えを感じることも多い。
同年代と再会するたびに、やれ「徹夜ができなくなった」だの「大盛りが食えなくなった」だの「性欲より睡眠欲優先」だの
なにかと景気の悪い話をする割合も増えてきた。
昔はそんな歳上を軽蔑していた嫌いすらあった。
「遠回しに大人になった自慢してんじゃねえぞ」
「斜に構えてればカッコつくと思ってんのか」
「俺はあんなつまらない大人にはならないようにしよう」
そう堅く誓った日のことは忘れていない。
それでも時の流れは残酷。
元来、瞳の奥が濁っていることに定評のある俺だが
ふとした瞬間には自分でもゾッとするほどに目が死んでいることも多くなってきた。
「みんなこうやってなりたくなかった大人になっていくのかもな…」
三連休を三連勤で潰すことにも慣れた帰り道にはそんなことすら考えるようになった。
翌日。
何もなくても朝起きる身体になっている自分に絶望しながらも
外に出てみるとそこには雲ひとつない青空。
このまま部屋で腐っていても仕方ない。
「映画でも観るか。平日で空いてるだろうし」
それにサービスデイ以外の映画もたまには悪くない。
3回無料鑑賞してもおつりがくるほどポイントが貯まっていた自分の暇さ加減に呆れながらも
ちょうど劇場に着いたタイミングで上映していた作品。
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
すっかり疲れ果てていた俺は
「トム主演のハリウッドエンタメ映画」くらいの認識で席についた。
俺はこのとき忘れていた。
彼が右肩上がりに無茶をする、自らの命の尊さすらを無視できるド級の漢であることを。
本作は世界を股にかけるスパイ映画シリーズ最新作。
映画に疎い方でも「ミッション・インポッシブル」というタイトルとメインテーマは聞いたことがあるだろう。
今回で通算6作目になるが、これまでの作品群には紆余曲折があった。
王道スパイサスペンスな1作目。
監督は「ブライアン・デ・パルマ」
新たな時代の幕開けを感じさせる作品。
元々「スパイ大作戦」というテレビシリーズのリメイクだっただけに期待は大きかった。
原作ファンを失望させる展開もなくはないが
後世に残るような名シーンが目白押し。
『M:i:II』
ケレン味全部乗せな2作目。
監督は「ジョン・ウー」
まさかの香港映画界の至宝にバトンタッチ。
前作では一切使用しなかった銃火器に始まり
爆発、バイクチェイス、サングラス、ドロップキック…この世の男が震える要素を詰め込んだ傑作。
続編というよりはひたすらに叩きつけられるジョン・ウー節にシビれるための作品。
否よりの賛否が溢れるが俺は好き。
ラスボスに対してこの芸術的ドロップキック。
雲ひとつない青空が似合うなぁ!
『M:i:III』
骨太シリアスアクションな3作目。
監督は「J・J・エイブラムス」
職人気質な続編ヒットメーカーでもあり
スピルバーグと作風と顔がソックリなエイブラムスへ。
これまた前作とガラッと変わり、王道スパイサスペンスアクションに生まれ変わった。
おそらく「ハリウッド大作」のイメージに最も近い。
良い意味でのテンプレをつくりあげた傑作。
『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』
傑作チームものになった4作目。
監督は「ブラッド・バード」
今まで「俺様、トム様!」だったシリーズを急遽方向転換。
流行りを取り入れてチームものに。
皆がそれぞれ長所を活かしてミッションに取り組む。
作品としてのまとまりが2ランクほど上になる。
ぐうの音も出ないほどにとにかく面白い。
誰が観ても楽しめるスパイエンタメ大作へ。
この辺りからトムが死に近づいていく。
『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』
それらを全て内包した5作目。
監督は「クリストファー・マッカリー」
前作の流れを汲んだ傑作チームスパイアクション。
エンタメと骨太さ、王道を逆手に取ったような展開。
『2』を彷彿とさせるケレン味も。
なによりラストバトルをヒロインに譲る暴挙。
代わりにオープニングで飛び立つ旅客機に素手で掴まったが!!
ここで完全にジャッキー化する。
これらを受けた本作。
シリーズ初の監督&ヒロイン続投。
さらに全ての流れを踏襲し、キャラも総出演。
なにより身体の張りっぷりが異次元を超える。
シリーズの良さ全てを内包した前作を過剰なまでにアップグレードしたド級エンタメとなった。
そしてそれは疲れ切った大人たちを活性化する劇薬に仕上がっていた。
言ってしまえば本作はむしろ「ワイルド・スピード」シリーズに近い。
それぞれ異なった作風の「1」「2」「3」
それを受けて各キャラクターを集めた「4」があり
アクションを特盛にした「5」
それらを全てアップグレードした「6」
最新作では互いにジャンルを大幅にはみ出したお祭り騒ぎ。
というか現場の状況を見る限りは四捨五入すればほぼ同じとも言える。
そんなワイルドを超越したあらすじ。
毎度のことながら依頼を受けるトム。
「イーサン・ハント」
四捨五入したらトム・クルーズ。
オープニングで「当組織は一切関与しない」「まぁ頑張ってな」と言われるのもいい加減慣れてきた。
今回のインポッシブルなミッションは世界に3つあるお手軽核兵器製造アイテム「プルトニウム」を奪還せよ、というもの。
まぁ言ってしまえばいつもの仕事だった。
それでもいつもと違うことがあった。
毎度のことながら仕事は完遂するものの、納期がギリギリなことに定評のあるトム。
いよいよ各方面からブチ切れられ「実はこいつこそが裏切り者なんじゃないか」と疑われ始めてしまう。
一応反論してみるものの
「毎回組織に使い捨てられてる割には過酷なミッションをこなしすぎ」というブラック企業特有の難癖をつけられる。
しかし考えてみれば50代、無職なトム。
「俺にはこれしかないんや…」と思ったかどうかは定かではないが
ひとまず周りの反対を押し切り、ミッションへの参加を強引に引き受ける。
それでIMFは納得しても天下のCIAは無理だった。
条件として若手捜査官の「オーガスト・ウォーカー」を監査役としてミッションに連れていけ、と言う。
そこらの若手なら門前払いするところではあったが
漂うオーラ、眼光の鋭さは只者ではない。
有能すぎるスーパーなマンっぽさがあった。
「明らかに裏切りそうだなこいつ」と観客、引いてはチームのメンバーも察するが、そこはトム。
「それで現場に出れるなら」とそれを承諾!
かくしてミッションの幕が上がるが
やはりウォーカーは只者ではなかった。
堅物かと思いきや、やたらと軽口を叩きながらも張り合ってくる。
口先だけかと思いきや、戦闘では敵なし。
「有能なのか?」と思ってみれば上空10000mで気絶。
完全にキャラが掴めなかった。
飲みに誘うべきか迷う先輩と後輩の図。
やきもきしていたら前作から引き続き、MI6からの刺客「エルザ」が電撃参戦してくる。
ひとまず怪しくない程度に車でアクセル全開気味に跳ね飛ばすトムであったが
彼女の狙いもプルトニウム。
自らの濡れ衣を晴らすために必要なのだという。
いつもは目的のために一直線。
それでなんとかしてきた。
しかしここにきて IMF、CIA、MI6、影の武器商人、裏切り者…なんだか話がやたらややこしくなってきた。
最新スマホの説明を受けているおっさんばりに混乱してきたトム。
ひとまず高層ビルの屋上からジャンプしてみるものの特に気は晴れない。
しかも今度の敵も前回から引き続いた「ソロモン・レーン」
シリーズらしくないほど頭が切れる悪人だった。
間に入ってきた「ホワイト・ウィドウ」もどう考えても只者なわけもない。
ちなみに1作目に出てきたマックスの一人娘。
シリーズあるある「女子がみんな強い」も魅せるぞ!
おまけにプルトニウムのひとつは元嫁の「ジュリア」の近くにあるらしい。
最近のトレンド悪夢でもある「元嫁との結婚式が台無しになる」はこれを暗示していたのか、と勝手に合点がいったトム。
こうなればもう完全にヤケだった。
「横文字はなんだかわからん!」
「俺に出来ることは現場で身体を張ることだけだ!!」
50代にして自分の長所であり最大の武器を完全に理解した瞬間だった。
「作戦は?」と聞かれれば「今考えてる!!」と逆ギレするほど追い詰められたが
ここまできたらもう引き下がれない。
世界を救ってやる!!今回も!!
やるかやらないかで言えば完全にやり切る漢、トム。
残機が100あっても足りないほどの一世一代の極限ミッションへ猪突猛進するのであった…
最前線で!!
シリーズが更新するほどに命をオールインするような破滅博打に挑んできたトム。
本作ではいよいよ異次元へ突入する。
・手始めに成層圏からスカイダイビング
撮影のために120回飛んだらしい。
・ビル群をSASUKEファイナルステージばりの障害物競争し、着地時に右足を骨折。
完治に半年かかる大怪我を気合いで2週間で治す。
そして直後に全力疾走する。
渋滞だろうが車間距離は関係なし!
ラストは普通に車と追突して終わるぞ!!
本当にただの事故映像でした。
・クライマックスのド派手アクションの連鎖っぷり。
ぶっつけ本番でヘリを操縦 → 敵を止めるためにヘリにヘリで体当たり → 崖っぷちに墜落 → 目を覚ましたら崖上から敵機が転がってくる → 無情にも激突 → 崖にヘリごと挟まる → もう一度墜落
という映画5本分の大局面がまさに雪崩のように襲いかかる。
さらにこの後、立ち上がって崖上でタイマン。
それだけに留まらずオーバー・ザ・スタローンなクリフハンガー決戦がまだ待ち構えている。
地獄のサービス残業。
この「ヤバい」などとうに超えた「ヤバさ」
キャッチコピーの「不可能が、連鎖する。」は伊達ではなかった。
それはもうぷよぷよばりに連鎖する。
今まで数多くのアクション映画を観てきたが
ここまでこちらの胃もたれをガン無視して食後にフルコースを提供してきた映画を俺は知らない。
「『マッドマックス2』のクライマックスチェイスで一本撮れば面白いんじゃない?」という規模だったが
本作は「過去のクライマックスミッション繋げれば面白いんじゃない?」というレベルだった。
舞台背景が違うだけの兄弟作。
というか今回のトム。
全編、一秒たりとも休まずになにかしらと真っ向から激突しまくっている。
「vsブラック企業」「vs核テロリスト」「vs交通事故」「vsスーパーマン」「vs重力」…
今回は加えて一番の敵でもある「vs加齢」も容赦なく襲いかかってくる。
トムも気がつけば56歳。
もちろんもう若いとは言い難い年齢。
それでも決して弱音を吐かず、ボロボロになりながらも消えそうな希望の光を追いかけ続ける。
心が折れそうな怒涛の畳み掛けを最終的には意地と気合い、そして絆で乗り切る。
これが泣かずにいられるか!というものだ!!
まぁそれに付き合わされるレギュラーメンバーはたまったもんじゃないだろうが
リーダーが最前線で命を賭けまくっている以上、それを無下にはできない。
「ベンジー&ルーサー」
たとえ表情が死ぬしても、だ!!
本作はシリーズの御多分に洩れず、世界を股にかけるスパイアクション映画だが
その本質は非常に身近なところにある。
人間、苦境に立たされると弱気になりがちだ。
むしろ生きているうちの半数以上は苦境かもしれない。
皆それぞれ大なり小なりインポッシブルなミッションに立ち向かう日々だろう。
日々の勉強がツラい、仕事が終わらない、人間関係のストレス、恋愛のあれこれ、金銭問題…
人生そう上手くはいかないかもしれない。
それでも決して諦めずアドリブ満載でもひたすら前に突き進む。
そこをいじられようものなら
「笑わせるな」と笑ってみせる。
トムが何故若々しく第一線を走り続けていられるか、少しわかった気がする。
スパイを夢見る映画好きはもちろんだが
ブラック企業に勤めている方々にこそ観てほしい。
驚いたことに本作ではスパイの華々しさよりもむしろ現場の厳しさにフォーカスしている。
労働基準法が存在しない現場でしのぎを削っている点はほぼほぼイコールと言えるかもしれない。
加えて映画内の世界ではイーサンの活躍が大々的に報じられることもない。
それでもその「誰か」のため、伝わるかもわからんミッションに全力を捧げる。
老若男女問わず何かを気づかせられるはずだ。
とにかく「歳をとったな…」なんてうわごとは成層圏から三桁ダイブしてから言おう!
そう思わせてくれる素晴らしい映画でしたよ。
きっと!!
腹八分目になりかねない予告↓
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期待は、超えるためにこそある。『銀魂2 掟は破るためにこそある』感想。ネタバレあり。
ブチ破れ!!不安とジンクスを!
ブチ壊せ!!常識と予定調和を!
素直に笑って熱くなるエンタメ大作!!
見よう! 原作&役者ファンは!!
…と驚いたのも早いもので2年ほど前。
あれよあれよという間に公開された前作。
正しくも美しい、宇宙一のバカ映画。『銀魂(実写)』感想。バレあり。 - 高速回転する方舟の片隅で。
そこには紛うことなき「銀魂」があった。
原作ファンの様々な不安、なにより原作者の揶揄を乗り越えて大ヒットしたのも記憶に新しい。
あれから1年。
愉快な面々が新たな要素を引っさげて帰ってきた。
意外に早く!!
…ということで観てきました。だいぶ前に!
どうやら原作も最終章に突入…どころか残り数回で完結するらしい。
俺の拙い青春時代を散々盛り上げてくれたことも手伝って感慨深いものがある。
アニメ初お披露目となった2005年のジャンプフェスタにお邪魔したのも今となっては懐かしい。
そんな若干しんみりとしかねない雰囲気。
その中「稼げるうちに稼いでおけ」とばかりに公開された本作。
そこには何一つ変わらない、それどころかある意味パワーアップした「銀魂」があった。
そんなわけで相変わらずなあらすじ。
オープニングはもはやお得意の「BGオンリー」
日本アカデミー賞主演男優賞を獲った菅田将暉とかいう俳優に嫌味を吐く、いつも通りの日常が始まる。
「坂田銀時」
伝説の侍にして現在は万屋屋のリーダー。
天パで死んだ目、甘党のダメ人間だがやる時はやる。
「志村新八」
ツッコミメガネ。凡キャ。
「神楽」
戦闘民族「夜兎族」にして大飯食らいのチャイナ娘。
そんな面々による万屋屋は今日も閑古鳥。
金もなければ仕事もない。
だらだらしながら愚痴るしかなかった。
言ってしまえば平常運転な「万屋屋」だった。
とはいえこのままでは明日の飯もままならない。
なにより大家による家賃の取立てもある。
そんなこんなでようやく見つけた仕事はキャバクラ嬢のヘルプ。
まんま佐藤二朗な店長とのぐだぐだ面接、ストーカー女忍者「猿飛あやめ」の猛アタックを躱しながらも平穏無事に済ませるつもりだった。
ほぼ演技を放棄したいつもの佐藤二朗。
銀時に惚れ込んでいる女忍者。ドM。
しかしそこに訪れた客は予想をはるかに上回る大物だった。
「「将軍かよォォォォ!!」」
命からがらやりすごして床屋のヘルプに来てみれば
何故かそこにも将軍が訪れる。
「「「やっぱり将軍かよォォォォォ!!!」」」
まぁロクでもない日常ではあった。
しかし警察組織「真選組」は違った。
いつものメンバーで今日も変わらぬ仕事、とはいかなかった。
新参者でもある「伊東鴨太郎」が組に出戻りしてきていた。
只ならぬオーラを醸すこの男。
幼少期から神童と謳われ、文武両道を極めし強者だった。
剣の腕は免許皆伝、頭の切れは局長である「近藤勲」からも「先生」と呼ばれるほど。
局長。ゴリラ。
その腕を見込まれ、入所1年目にして真選組参謀のポストに就いていた。
そんな出世頭、局内で疎まれないわけがない。
鬼の中間管理職。
ニコチン&マヨネーズ中毒者。
伊東とは自他共に認める犬猿の仲。
「嫌いどころか殺したい」ほどにいがみ合っていた。
「「いずれ殺してやるよ…」」
それでも最も尊敬する近藤がたらし込まれていては歯痒い日々を過ごす他なかった。
そんなある日。
テロリストの「攘夷浪士」達に絡まれる。
一対多。数の利はあちらにあった。
それでも鬼の副長の名は伊達ではない。
むしろこの苛々を発散させるのに丁度良かった。
そう思いながら刀に手をかけたときだった。
首筋に違和感を覚える。
疑問に思う間もなく襲いかかる攘夷浪士達。
次の瞬間。
土方は土下座をしていた。
それどころか財布を差し出していた。
普段の土方ならありえない事態。
原因もわからないまま暴行を受けてしまう。
それでも刀は抜けない。
完全にどうかしてしまっていた。
しかもその窮地を救ってくれたのはよりにもよって宿敵の伊東だった。
一番見られたくない場面を一番見られたくない相手に見られた。
それでもヘタレた性格は治らない。
それどころか悪化する一方。
背に腹は変えられない、と部下でもある「沖田総悟」に相談してみても状況は進捗しない。
ドSの若き天才。性格に難しかない。
それはむしろ好都合とばかりにパシリにされてしまう。
自身が定めた鉄の掟、局中法度も守れない。
組員達も異変に気付き始める。
このままでは処断されるのも時間の問題だった。
そんな現場の混乱はどこ吹く風の男。
キャバ狂いの「江戸の親父」
今日もその立場を利用して時の征夷大将軍をキャバクラや床屋に連れ回す無茶をしでかしていた。
行く先々で某万事屋らしき面々に出くわしもするが、そんな細かいことは気にせず遊び呆ける日々。
しかし最近は怪しい噂があった。
「過激な攘夷浪士が将軍暗殺を企てている」と。
その筆頭が
「河上万斉」
通称「千人斬りの万斉」と呼ばれる男。
そして自らを「攘夷志士」と名乗る絶対なる過激派。
「高杉晋助」その人だった。
しかしそんなシリアスさなど知ったこっちゃない万事屋筆頭、坂田銀時。
それでもとある男が訪ねてくるまでだった。
「トッシー」こと変わり果てた土方だった。
討論番組で新八とオタク論を熱く展開できるほどまでになってしまっていた。
一言で言えばヘタレたオタクに成り下がっていた。
そんな彼が絞り出した言葉は
「正気を保てるのもこれが最後」
「気が進まねぇが、お前らに頼むしかない」
「真選組を…俺たちの仲間を守ってくれ」
その豹変ぶりに違和感しかない万事屋。
「何言ってんだこいつ」と思いながらも
正気を取り戻させようとあれこれ手を尽くす。
しかし江戸一番の発明家「平賀源外」の力をもってしてもそれには及ばない。
スーパームロタイム。
八方塞がり気味になりながらも更に事態は悪化。
何故か仲間であったはずの真選組連中が土方を始末すべく迫ってくる。
ひとまず全員殴って一等賞にするが
すっかり違和感は確信に変わる。
「なんかヤバくない?!」
ここまでくるともう腐れ縁でもなんでも見捨てるわけにはいかなくなってきた。
それにまぁ今なら派手に暴れても特にお咎めはなさそうだ。
「「「やったんで!!!」」」
かくして国を揺るがす大騒動の幕が上がったのであった…
原作ファンならお馴染み「真選組動乱篇」がベースとなっている本作。
序盤のキャラ紹介に「将軍ギャグ回」を挟みつつもしっかりと一本の映画になっている。
…というか脚本はファンから見てもほぼ満点。
9割原作に忠実に、1割オリジナル要素を入れつつも複数の話を同時進行する。
近年右肩上がりな漫画実写化映画でも頭ひとつ抜け出てた完璧さ。
もはや唸るしかなかった。
なにより声を大にして言いたいのはその再現度。
可能な限り原作と全く同じ台詞、画作りもそうだが
それを忘れるほどのクオリティが本作にはある。
【役者の怪演度】
前作の記事でも触れたが、基本的にハマリ役しかいない本シリーズ。
「新しくこの中に入っていくのは並大抵のことじゃないぞ」と無粋ながら心配していた。
それも観るまでの杞憂に終わった。
その筆頭が以下の2人。
「伊東鴨太郎」as.三浦春馬
本作の影の主役にしてMVP。
凄すぎて驚くほどに「伊東」その人。
ビジュアル。声。冷徹で皮肉たっぷりな喋り方。存在感。新参者オーラ。身のこなし。
これ以上ないほどにぴったりとハマっていた。
本当にそのまますぎて軽く引いた。
役者陣の色に合わせた配役なのかもしれないが
それにしても底力を見た。マジで凄い。
話の内容的にも影の主役ではあるが、それ以上。
ラストの「ありがとう…」には感涙必至。
正直、想像を遥かに超えてきた。120点。
「河上万斉」as.窪田正孝
鑑賞前は「佐藤健」一択だった俺のイメージを一発で覆してくれた。
その折り紙つきの演技力はもちろん、妖しい雰囲気、存在感は「さすが」の一言。
なかなかレアな悪役も新鮮で最高。
なにより見所は終盤。
『HiGH&LOW』シリーズで開花した身体能力が大爆発する。
本作のオリジナル要素でもある江戸城に単騎で突入して有象無象を斬りまくるアクションシーンには見惚れる他なかった。
ダンス万能説、ここに極まれり!
とにかく観終わった後にはこの2人の感想しか出てこないほどに映画を喰っている。
それも引くほどに!!
もちろんそれ以外の新キャラ。
堤真一は最高に飄々としつつもラストにはしっかりとした策略家としてシメてくれるし
将軍はこれ以上ないほどまでに将軍。
紛うことなきハマリ役と言える。
じゃあ前作のレギュラー陣はおざなりにされているのか、と問われれば否。
レギュラーはレギュラーでもはや1クールドラマをやってきたかのような安定感がある。
万事屋はもはや彼ら以外ありえないし
コメディリリーフのお妙や桂、源外も堂々たるもの。
オープニングから全開だ!
本作の主役の真選組の面々に至っては完璧と思えた前作以上に地に足が着いている始末。
真選組ver.ポスター。堂々たるもの!!
そしてまさかの堂本剛続投。
…最高だな!!
【銀魂ならではのアクション】
前作記事でも書かせてもらったが
ガチ時代劇をやるにはノウハウ不足。
かといって派手さを組み込んだ『るろうに剣心』方式ではあちらに勝てない。
以上の問題点を
「集中線を入れたような特殊効果」
「剣筋をCG加工」
「さらにとにかく非現実的なまでにブッとぶ」
ことにより難なく克服。
新たに「漫画的殺陣」とも言える手法を編み出した。
これは本作でも共通している。
それどころか圧倒的に進化していた。
・電車内で沖田が大暴れする場面
局内の裏切り者を多数相手取る珍しくシリアスな沖田が拝める名シーンだが
本作では無双をしつつも数の利に押され気味になる。
しかしそこへ急遽、神楽が助っ人にくるという夢のオリジナル展開。
かくして軽口や皮肉を叩きながらも人間やめてる超人タッグが電撃結成!!
それぞれお構いなしに、それでいて信頼しつつも
自分のスタイルを出して大立ち回りするのだが
まさかこんな画が実写で観られるとは!!
ひとつひとつのアクションにキチンと「犬猿の仲だけど相手を認めている」それぞれの感情が込められていてもう失神寸前だった。
最高だ!!
・終盤の万斉無双から引き続くvs銀時
「CG」「ワイヤー」「スローモーション」を派手に駆使しながらお互いの戦い方を忠実に再現。
特に銀時の「酔っ払いの鼻唄」とも揶揄される我流喧嘩殺法はあまりにも素晴らしい。
飄々としながらある種の狂気を秘めた強さを終始魅せつける。
「やっぱり銀さんって強いな」というより
「いや、こんな強かったっけ?」と驚くほどに!!
カッコよかったなぁ!!!
【原作そのままのギャグ】
ギャグを文字にするのも無粋なので軽めに。
これは見たまま、原作通り。
顔芸に始まり、台詞回し、そして躊躇ない下ネタ。
原作の持ち味を殺さずに実写化されている。
なにより一番の特長。
「危ない」ネタは本作でも健在だった。
「某モビルスーツ」や「某悪魔の実」が出てくる前作までとはいかないが
オープニングの「某映画泥棒」に始まり
「某無免許医師」「某動物バス」「某汎用人型決戦兵器」
エンディングは「某大捜査線」で〆るなど相変わらず各所に喧嘩を売りっぱなしのやりたい放題さ。
ここは本作オリジナルのネタもいくつかあるために賛否分かれるだろうが、とりあえず一定の期待には応えてはいる。
個人的には「これやっておけば満足でしょ?」感はあまり好きじゃないが、まぁそれが監督の持ち味でもあるし野暮な意見しれない。
とにかく予告であった「無駄遣いの極致」はある意味半分当たって半分間違ってもいる。
確かに無駄とも言える豪華キャスト、の数々。
しかしそれらがこれ以上なくピッタリとハマっている。
最高に贅沢、そして無駄がない。
もはや言うことはほぼない。
まさか『銀魂』の記事でここまで真面目に語ることになろうとは思ってもみなかったが
事実、最高だったから致し方ないな!!
不満点といえば
・せっかく菅田将暉使ってるんだからなにかしらのタイアップ曲がほしかった
・山田孝之不在
くらいなもの。
それ以外は本当に完璧。
原作ファン、役者ファン、初見の方、笑いたい方…老若男女全てにオススメだ!!
本作も紛うことなき「銀魂」!
観よう!!誰とでも!!!
最後は原作スピンオフ『銀八先生』の一言で。
「「エイリアン」って1と2は最高だけど3は微妙だったなアレ」
「あ、あと「ターミネーター2」も良かったな」
「泣いたもんシュワちゃんが沈んでく時…3は覚えてねーけど」
「大体世の中のことはな、3で失敗するようになってんだ」
「『調子に乗るのも2まで』」
続編タイトルは決まったな!
期待してるぞ!!
予想を超えてくる予告↓
映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』本予告【HD】2018年8月17日(金)公開 - YouTube
期待値ゼロなTwitter↓
ばーさーくん (@bebebeberserkun) | Twitter
偏差値ゼロなラジオ↓
ステイサム、人類やめるってよ。『MEG ザ・モンスター』感想。ネタバレあり。
食物連鎖、頂上決戦!!
古代の災害vs現代の人外!!
喰らってきた数はほぼほぼ互角!
両者、相手に不足は一切なし!!
真のモンスターはどちらなのか。
世界よ、これがステイサムだ。
ネタバレ記事となるので要注意を。
とにかく面白いので観ましょう!!
1人10回は!!
本作に限ったことではありませんが
BPHB様の記事がとてつもなく面白いのでオススメです。
超古代生物メガロドンVS超人類ステイサム!!生き残るのはどっちだ!?MEGザ・モンスター – Be Power Hard Boiled
元々影響されて始めた当ブログ。
直リンク許可してくださり、本当にありがとうございます!
勝手ながら「見習い」目指して頑張ります。
さて、夏もそろそろ終わりな昨今。
涼しい日も増えてきましたが
皆様いかがお過ごしでしょうか。
俺はというと平成最後の夏を大いに無駄使いしている最中ではありますが
世間的には「海」が持て囃される季節。
まぁ俺の人生には1mmも掠らない場所ではあるが
そんな意見を代弁してくれているかのような映画。
通称「サメ映画」のファンでもある俺。
「『ジョーズ』の二匹目のドジョウ…ならぬサメのおこぼれを得よう!」とばかりに景気良く連発されているアレですな。
最近では王道はやりつくされたのか
「巨大化する」「陸に出現する」「雪山にも出る」「幽霊化する」「タコと融合する」「頭が増える」「ネットの海を泳ぐ」「竜巻と共に天から降ってくる」
など文字通り世界各所で大暴れしている。
そのうちカテゴリ設けて詳しく語りたいところだが
そんなサメ映画。
あれは数年前だろうか。
我が目を疑うようなニュースがある日、急に飛び込んできた。
「ジェイソン・ステイサムの最新出演作、サメ映画。」
日付を確認してみても4月1日じゃない。
「どこかのサイトがフェイクニュースでも流してるのか?!」とも思ったが
ときたま現れる鋭意撮影中の続報。
見様によってはただのバカンスにも見えたが
どうやらこれは現実の出来事らしい。
しかも詳しく見てみれば今回の敵はただのサメじゃない。
「メガロドン」だと。
いよいよ人間を相手取るのに飽きたばかりか
その相手は太古に絶滅した超巨大な「海の殺し屋」
完全にどうかしていた。
それと同時に嬉しくもあった。
思えばどちらも大量殺戮兵器としての実績がある。
言ってしまえば食物連鎖の頂点同士。
完全捕食者としての矜持を持つ二頭の獣。
それが正面からぶつかり合う。
そんなジョーカーカードvsワイルドカードを面白がる、俺と同じような考えの持ち主が海の向こうにもいた。
そして公開された予告。
映画『MEG ザ・モンスター』本予告【HD】2018年9月7日(金)公開 - YouTube
堂々と登場するメガロドン。
それに一切動じないステイサム。
「これステイサム勝つよなぁ…」
「いや、今度ばかりは難しいか?」
「むしろステイサムが秒で捕食されたらそれはとんでもない絶望なのでは?」
様々な意見が飛び交ったのも記憶に新しい。
それでも意見の大半はステイサムよりメガロドンの身を案じているものだった。
無論、この対決を見逃す手はない。
夏休み終わりの9月7日公開という強気さも最高だ。
全ての用事を放り投げて劇場へ駆け込んだ。
「花金ならぬステ金(©︎BPHB様)」をキメた俺。
そして鑑賞中。
自然とガッツポーズが10回は出た。
そこには予想を遥かに上回る「漢」がいた。
全編、笑ってしまうほどの漢気が溢れ出ていた。
聞けばいち早く公開された米国では興行収入が右肩上がり。
なんと世紀の名作『ジョーズ』すら抜いたらしい。
世界がステイサムに追いついた。
そんな漢をずっと追いかけてこれたことを心から誇らしく思えた。
そんな「YEAH!!!!」が止まらないあらすじ。
上海近郊の海。
調査隊が今日ものんびり海底探査をしていた。
どうやら今まで海底と思っていたものはただの境目。
その下には「新世界」が拡がっているという。
それを証明できれば研究者として鼻が高い。
なによりスポンサー的には金になる。
ウキウキ気分で新世界へ突入する調査ポッド。
しかしそこは常識が通用しない世界でもあった。
「何か」に襲われる調査団。
海底11000mに閉じ込められてしまう。
当然救助へ動くも、そこは未知の領域。
誰もが未経験の危機だった。
こんな窮地に頼れる人間はいない。
たった一人を除いては。
「ジョナス・テイラー」
…というかステイサムはロハスに暮らしていた。
そこへ訪れる調査団体の面々。
どうやら今回のステイサムの役どころは「凄腕の海の漢」らしい。
しかしその面々の顔を見るや否や
「金を積まれても俺はやらん」
「情に訴えても無駄だ」
「俺はもう引退した」
の一点張り。
それでも事情を聞いてみれば
「閉じ込められた調査員の中に元嫁がいる」らしい。
そうなっているのであれば話は別。
ステイサムあるあるのひとつ「オープニングで身内が不幸な目に合う」がクリアされたところで
一も二もなく現場に急行するステイサムであった。
とりあえずやいのやいの言いがかりをつけてくる現場の人間をオーラで黙らせた後に
「全てのエネルギーを動力変換する」という完全自己流操作テクで救助へ向かう。
ちなみに本作のステイサムだが、感じてから行動に移すまでが異常に早い。
そのフットワークの軽さでさっさと救おうと意気込むも
そこには想像を絶する怪物がいた。
古代に絶滅したはずの超巨大鮫が姿を見せる。
とりあえず乗組員2人を救出するも
どさくさ紛れに最後の1人、マシオカが死んでしまう。
船上に戻って報告をするが
寝起きのメガロドンは超元気だった。
ステイサムを追って海上付近へ出没。
船は転覆させられ乗組員たちも一人、また一人と喰われていく。
有能と無能がくっきり分かれている面々。
こうなってしまっては完全に話は別だった。
実はステイサムには過去にメガロドンとの因縁があった。
深海調達中に遭遇し、仲間を2人失っていた。
その責任を現場を知らないお偉いさんに問われて
ブン殴った勢いそのままに隠居をしていたらまたもや件のメガロドン。
現場に舞い戻ってみれば元嫁がいる。
足手まとい気味のクルーもいる。
さらに船は使い物にならない。
おまけにまた仲間を何人も失ってしまった。
放っておけば満員のビーチにも被害が出かねない。
ここまでくればステイサムの脳内もお祭り騒ぎ。
もうガチギレの役満状態だった。
『ジョーズ』から40余年。
奴らに捕食される恐怖を叩き込む時がきた。
浮かぶは「殺るしかない」の一言。
他の誰でもない。この俺が。
人間を辞めに辞めたステイサムの一人エクスペンダブルズの幕が上がるのであった…
Wikipediaによれば本作のジャンルは「SF・アクション・ホラー」とのこと。
なるほど、観ていて納得だ。
メガロドンにSF(ステイサム・ファンタジー)をアクションに変換してホラーレベルで叩き込む。
しばしば話題に上がる「副題の"ザ・モンスター"はどちらを指しているか」問題。
本編を観れば嫌というほど理解させられる。
それは「ステイサム」の方だということが!
(『ワイルド・スピード SKY MISSION』より)
結論を言ってしまえばステイサムがサメ公に完全勝利を果たす本作。
思えば今まで様々な相手を潰してきた。
やれ国際的人身売買組織だの
(『トランスポーター』シリーズ)
サイコな連続警官殺しだの
(『BLITZ』)
暴力刑事vsエセサイコ野郎。『ブリッツ』バレあり。感想。 - 高速回転する方舟の片隅で。
ロシアンマフィア、チャイニーズマフィア、悪徳警官達の三つ巴戦線に単騎で乱入して壊滅させたこともある。
(『SAFE』)
面倒だから全員殺せ!『SAFE』バレあり。感想。 - 高速回転する方舟の片隅で。
世界を股にかける最強ファミリーを「最凶の独り身」という全力のアンチテーゼで迎え討ったこともあった。
(『ワイルド・スピード』シリーズ)
そんなステイサムがいよいよ正真正銘の人外を殺しにかかる。
『メカニック』シリーズでは「用意周到な準備が成功を呼ぶ」と語っていたステイサム。
腰にくる名言が乱発される傑作。
実際、続編でさらに強化された地獄のピタゴラスイッチばりのロジックは同時期公開の「シン・ゴジラ」さえどうにかできそうな雰囲気を秘めていた。
(『メカニック:ワールドミッション』)
しかし本作でステイサムは証明した。
「その場のアドリブでもなんとかなる」ことを。
今回はメガロドンというゴジラ並みに想定外な相手が唐突に出現するわけで
そりゃあ現場の対応は後手後手に回ってしまう。
おかげで被害も甚大になりつつあるが
ステイサムは一切動じない。
それどころか「殺そう」と即決した後の動きは狩りをこなす肉食動物なみに速い。
普通なら見て見ぬ振りをするしかない惨劇に向かって堂々と正面突破していく。
具体的には
・ハズレくじは自分から引きにいく
・生身で海に放り出されてもクロールで逃げ切る
・小型の潜水艦でハンソロばりに海中チェイスする
・潜水艦のローター、通称「ステイサムカッター(©︎BPHB様)」でメガロドンを切り刻む
・最後は生身でメガロドンを仕留める
そのどれもが完全アドリブだが
そんな中、最終的には比喩抜きの「漢、一本釣り!」をかましてくれる本作。
驚くなかれ、作中の8割は生身だ!!
以前に異色のアクションコメディ作『SPY/スパイ』の記事にて
ステイサム、一般人に出会う。『SPY/スパイ』バレあり感想。 - 高速回転する方舟の片隅で。
余談だが、そんなステイサム。
待望の次回作はなんと「vs巨大サメ」だ。
『刃牙外伝』より。
こんなん見たいなぁ!!
ということを書いたが
ラストは本当にこのままだった。
おそらく漫画好きのマシ・オカが進言してくれたことは想像に難くない。
結果、「ステイサムに任せたらなんとかしてくれた」としか言えなくなる本作。
心なしか劇場を出る観客はそれぞれ笑顔を携えていた。
何処からか聞こえてきた「なんとかしたなぁ…今回も」という声には激しく同意せざるを得なかった。
まぁ確かに予告を見ただけでも予想はできるオチではある。
それでも「人類の代表」が「一種の災害」にパーフェクト勝ちしたことは誇らしく思える。
むしろ「平常運転なステイサム」こそ「災害」に匹敵することを打ち出してくれた。
とはいえ絶妙に違うゾーンにボールを放ってくることに定評のあるステイサム。
本作にはヒロインの一人娘が出てくるのだが
その対応が今までにない柔らかさだった。
穏やかステイサム。
「息子が生まれたからかなぁ…」と少しシンミリもしてしまった。
祝!結婚!&息子誕生!!
久々の超大作ということで本作が初ステイサムな方もいらっしゃるでしょうが
きっと満足していただけたはずだ。
とにかく老若男女問わずオススメできる傑作。
徹底された人間賛歌に打ち震えよう!!
観た後はなんだかわからないやる気が出てくるぞ!
頑張りましょう!!何かを!!
余談。
本作には俺がハリウッド女優の中で一番好きな
「ルビー・ローズ」が出ている。
カッコいいなぁ!!好きだ!
主な出演作は
ヴィン、ドニーさん、キアヌ、ミラ・ジョボビッチと錚々たるスターと共演してきた凄い経歴の持ち主。
今回は控えめながらもステイサムに一目おかれるメカニック役を演じていた。
その存在感は抜群。大好きだ!!
そのうち女性版『エクスペンダブルズ』か『ワイルド・スピード』シリーズに出てほしいところ。
なんと次回作はドラマ『Batwoman』
DCドラマ×ルビー!!最高だ!!
ちなみにステイサムの次回作。
『Hobbs and Shaw』
至高のワイスピスピンオフ。
まさかのロック様との異次元タッグ!!
猛獣、巨獣、怪獣、ロック様。『ランペイジ 巨獣大乱闘』感想。ネタバレあり。 - 高速回転する方舟の片隅で。
お互い今年は怪獣を相手取ったが
いよいよゴジラでもシバくつもりか?!
楽しみだなぁ!!
何かを頑張るTwitter↓
ばーさーくん (@bebebeberserkun) | Twitter
ラジオも撮ったから聴いてくれな↓
掟は、護るためにこそある。『BLEACH』感想。ネタバレあり。
ハイスピードバトル、ここに極まれり。
極限進化した剣戟を見逃すな!!
ドラマパートには期待するな!!
ネタバレなし感想。
有象無象の実写化の中では及第点。
雑に総括すれば「普通に面白い」
原作好きなら一見の価値あり。
原作未読の方は予告で雰囲気掴んでから。
用語がゾロゾロ出てきますが解説もキチンと入るのでご安心を。
夏休みの暇つぶしにはうってつけです。
注釈。
諸事情により本記事は鑑賞1ヶ月後に執筆しているせいかいつもより熱気がありません。
決して本作の出来が悪いわけではないのでご容赦を。
夏ですね。
この時期になると騒がしくなるのは10代、カップル、セミ、幽霊と相場が決まってますな。
その中でも風物詩と言われる幽霊。
個人的にはホラー大好きっ子なのだが
どうも最近は心霊番組が減ってる気がしてならない。
噂では「クレームがすごい」「この時代に流行らない」「誰でも心霊写真つくれちゃう」などの理由からブームも下火らしい。
まぁ一理あるかもしれないが
そんな細かいこと言い出したら人間終わりだ。
…とは思ったものの、とっくに人間性が終わってる俺が言っても説得力はないな!!
それでも寂しい気持ちは変わらない。
しかしそんな少数派の意見を汲み取ってくれたのか
今夏は霊が劇場に現れた!結構前に!!
『BLEACH』
週刊少年ジャンプで少し前まで連載されていた人気漫画の実写化。
まぁファンからすれば心霊よりもゾッとしかねない「実写化」という鬼門。
「また実写化か…」と項垂れる気持ちもわかる。
「三次元であのセンスを描けるの?」と不安になるのもわかる。
それでも俺はちょっとだけ期待していた。
大体今のご時世、実写化は70点取れれば上出来。
原作が連載終了している&主演が成宮寛貴と堀北真希じゃない時点で時期を逃しすぎたことは明白だが
そうは言っても今の邦画界も腑抜けではない。
CGもアクションも発達し続けている。
だから大丈夫だろう!!
そう言い聞かせて俺は夏休みで賑わう劇場へと赴いたのであった。1人で!!
先に結論を言ってしまえば「まぁ面白い」
常に平均点、ときどき高得点。
四捨五入すれば大成功、と言って差し支えない。
そんな雑になるあらすじ。
主人公「黒崎 一護」は髪色と「幽霊が見えること」を除けば普通の高校生。
ぱっと見は今どきのクールな学生だが
事故現場をスケボーで荒らした不遜な輩をシバき倒す課外活動を行う程度には熱血心も持ち合わせていた。
まぁ俗に言う「いいヤツ」であった。
今日も親友の「茶渡 泰虎(チャド)」や
一護に想いを寄せるクラスメイト「井上 織姫」らと
平和な学生生活を送っていた。
しかしそんな平穏なときは突如終わりを告げる。
いつものように自室に帰ると
澄ました顔で不法侵入していた女がいた。
「朽木 ルキア」
その様子からイカれたヤバいヤツかと思いきや
話を聞いてみると彼女は「死神」らしい。
「何言ってんだこいつ…」と思うのも束の間。
外から轟音が聞こえてくる。
そこには怪物がいた。
大型の悪霊。通称「虚(ホロウ)」
そんなものが襲い掛かってきていた。
そして彼女は「この手の悪霊を叩き斬るのが死神の仕事」だと言う。
事情は全く飲み込めないものの、虚の追撃の手は止まない。
一護の家や家族、なにより本人に甚大な被害が及ぶ。
それを護ろうと奮起するルキアであったが
不覚を取って戦えないほどの負傷をしてしまう。
迫り来る絶体絶命。
しかしそんな事態を黙って見過ごせないのが一護だった。
「なんだか知らんが、手はねえのか?」
「ひとつだけある…貴様が死神になれ」
実はあの虚の狙いは一護だった。
彼は人一倍「霊圧」が高い。
それを食糧としている虚には絶好の獲物だった。
「それだけの霊圧なら貴様が倒せる」
一も二もなくそう言い放ち、一護の胸に死神の刀「斬魄刀」を突き立てる。
刹那、虚が一刀両断される。
黒崎一護のプロフィールに「死神代行」の文字が加わった瞬間だった。
かくしてなんとか困難は乗り切れた。
しかし一難去ってまた一難。
今の一護の霊圧では死神の力をルキアに返した瞬間に即死らしい。
そして現世に行く場所のないルキア。
霊圧上げの修行がてら奇妙な同居生活がスタートしてしまうのであった。
「マジかよ…」な一護。
ひとまず転校してきたルキアと共に二重学園生活を送る一護。
面倒事が大嫌いな一護からすればもう勘弁な現状だったが
そんなうんざりは留まることを知らなかった。
実は死神の力を他人に譲渡することは大罪であった。
そんな罪人であるルキアを奪還しようと
死神界「ソウル・ソサエティ」から追っ手2人が現世へと君臨する。
一見すると赤髪のチンピラとNo.1ホスト風の輩だが
その力は「本物」だった。
後手後手になってしまう一護とルキア。
そんな窮地に1人の男が電撃参戦してくる。
一護のクラスメイト「石田 雨竜」だった。
クラスでは冴えない男子。
中心人物である一護との接点は皆無だったが
彼の本性は「滅却師」だという。
「死神」と同じく虚を滅する、しかし大昔に死神に絶滅させられた種族だった。
何度目かになる「なんかわからん」現状だが
とりあえずピンチは覆った。
こうなってきてはクールぶってもいられない。
「もう知らん!!俺がなんとかする!!」マインドに火がついた一護。
なにより売られた喧嘩は買わねばならない。
かくして陽キャ高校生の逆転劇の幕が上がるのであった。
「よーし!!やったるで!!」
言えることは本作は予想よりもずっと原作基準。
おそらくは7巻程度?までをざっとまとめている。
テンポの良し悪しには非常にバラつきがあるものの
内容はほぼほぼ平均以上。
キャラビジュアルも『銀魂』『斉木楠雄のΨ難』のときのような「これだ!」感はないものの
正しくも美しい、宇宙一のバカ映画。『銀魂(実写)』感想。バレあり。 - 高速回転する方舟の片隅で。
考え得るΨ高の実写化。『斉木楠雄のΨ難(実写)』感想。バレなし。 - 高速回転する方舟の片隅で。
普通に可もなく不可もなく、といったところ。
「まぁこんなもんかな…」という予想がことごとく当たる。
かと言って決して駄作なわけではない。
ときたま大当たりの箇所もあるから気が抜けない。
・全般的なアクション
やはり特筆すべきはこれ。
一番最初のvs虚戦では多少違和感があったが
荒削りなオープニングマッチ。
終盤に進むにつれて次第に洗練されていく。
それがちょうど一護が死神の力に慣れ、扱えるようになるまでを追っているようでもある。
狙っているのかはわからんが、これが素晴らしい。
それが極まるラストバトルのvs恋次戦。
「地に足のついた剣戟」「縦横無尽なアクロバティックさ」「有効的なCGI」が見事にミックスされて
非常に見応えのある戦いになっていた。
同じくソードアクションの邦画化『るろうに剣心』とは微妙に違ったベクトルの、それでいて新たな可能性を感じるアクション。
街中を跳ね回りながら「死神」ならではの戦い方を存分に堪能できる。
現代の達人とは全く異なった洗練のされ方。
さらにはその中にも「斬魄刀解放」というファンが観たいものも詰め込む。
「これぞ実写化だ!」と劇場では狂喜した。
このパートだけでも十分お釣りがくるが
前後するクライマックスの
vsグランドフィッシャー(すごい強い虚)戦。
宣伝でもよく使われていた印象だが
ここは邦画の限界を超えたと言っても過言ではない。
大きさは建物3階建て分ほどの悪霊。
それが街中を暴れ回る。
その迫力はさながら「怪獣映画」でもあり「ディザスター映画」でもある。
その対象に追われる一護。
原作通りその霊圧に充てられて能力が顔を見せ始める織姫とチャド。
そして最悪のピンチに駆けつける雨竜。
そこから巻き返すあらゆる意味での陰陽タッグマッチは最高の盛り上がりだ。
わかってはいても燃えずにはいられないライバル同士の共闘。最高だな!!
・ベテラン組の演技力。
物語の性質上、主軸になるのは若手が多いが
一護の両親役に「黒崎 一心」as.江口洋介
「黒崎 真咲」as.長澤まさみ
作中屈指の強キャラな彼は「浦原 喜助」as.田辺誠一
とベテラン勢が揃っている。
同時にそれぞれ実写化の立役者でもある。
すごいな!いろいろと!!
総括すると
邦画あるあるな「喋りすぎ」シーンもなくはないが
基本的に平均点、たまに満点な本作。
この手のキメ画はさすがのセンス。
ハードル下げて観る分には大満足できる出来だ。
…ただまぁ『銀魂2 掟は破るためにこそある』がやってる現状、今さら観に行く奇特な方がいらっしゃるかどうかはわからん!!
今夏観たい邦画&実写化No.1。
前作が良かっただけに期待は大!!
余談。
いろいろとありがちな「実写化映画」だが
本作の監督「佐藤信介」の職歴。
『GANTZ』
『デスノート Light up the NEW world』
『いぬやしき』
…とこちらも隠れた実写化御用達監督。
一概に名作揃いとは言い難いが
新世代の実写化製造機となりそうな予感。
ただ個人的に佐藤監督のフィルモグラフィーで一番のおすすめは
『修羅雪姫』
見所は多々あるものの最も注目すべきは
右上のアクション監督の欄。
「ドニー・イェン」
…すごい人脈だ!!
次回作アクション監督にぜひ!!
↓及第点以上の予告
映画『BLEACH』本予告【HD】2018年7月20日(金)公開 - YouTube
↓及第点以下のTwitter
強者どもの、夢の跡。『SPL 狼たちの処刑台』感想。ネタバレあり。
「全員殺して、救い出す。」
「殺せ、生き残れ。全面戦争勃発。」
シリーズ最新作は最重量傑作!!
現実以上に非情な「狼」の生き様を見よ!
本記事はネタバレありなのでシリーズファンの方はブラバ推奨です。
出来るだけ前情報なしでどうぞ。
Filmarksにはガッツリネタバレ載ってるんで閲覧注意です。俺は食らいました。
お久しぶりです。
約1ヶ月ぶりの更新となりましたが
皆様いかがお過ごしでしょうか。
俺はというとここ最近泥水を啜りながら砂利を喰らうような生活をしていました。
まぁそんなわけでしばらく趣味の映画鑑賞からも遠ざかっていたわけですが
今夏は話題作が目白押し。
劇場になだれ込むタイミングを見計らっていたのだが
久方ぶり、それも唐突に試写会が当たった。
普段なら疎かになりがちなメールBOX。
しかしそれは見逃すはずもなかった。
なぜなら迷惑メールだらけの受信箱に舞い降りたその招待状からは並々ならぬ殺気が放たれていた。
『SPL 狼たちの処刑台』
夏バテを吹き飛ばすには十分だった。
タイトルの「SPL」といえばこのお方。
そう、ドニーさんですね。
この時点でピンときてない不埒な方々に説明すると
「香港のラストドラゴン」にして
「宇宙最強の男」なわけですが
そんな彼の傑作のひとつ。
『SPL/狼よ静かに死ね』
Googleの予想検索に出てこないほどに物騒極まりない邦題だが、その内容は輪をかけて物騒。
パンチ一発で凶悪犯を廃人にした過去を持つ「ド級暴力刑事」ドニーさんと
絶対に喧嘩売っちゃダメな風貌をしている「元祖動けるデブ」サモハンが
男の意地とプライドを全賭けしてシノギを削る、というもの。
そこに「派手を極めた殺し屋」ウー・ジンまで絡んでくるもんだからまぁ見逃せない。
ひと昔前の女子高生並みにドスをデコり、ファッションは夏休み明けのよう。
しかしその実力はガチ中のガチ。
中盤、路地裏にて電撃披露されるドニーさんとの「特殊警棒vsデコドス」戦は比喩抜きで武器格闘劇の金字塔。
マジでひくほどすごいぞ!!見ろ!!
…とまぁこれらを見れば一目瞭然だが
台風並みに襲いかかってくる殺意。
ふと漂う哀愁。どうしようもなさ。
そんな男が惚れる男…否、「漢」のことを本作では〈殺破狼〉(Sha Po Lang)というわけです。つまりは「SPL」ですね。
まぁ中学時代に見たら生き方を間違えかねないほどの依存性がある傑作なわけですが
そんな名作。続編の話が出ないわけもない。
香港映画あるあるな紆余曲折ありながらも無事、前作から10年ほど経った2017年に続編が公開された。
『ドラゴン×マッハ!』
「おい!!SPLは!?」
とファン(俺含む)は憤った。
前作と話の繋がりは一切なし。
主演2人は(一般的に)知名度があまり高くない。
「ウー・ジン」出るから「ドラゴン」
「トニー・ジャー」出るから「マッハ!」
そんな投げやりの極致ではあったが
内容はそんな不満を遥かに吹き飛ばす〈殺破狼〉ぶりだった。
〈ネクスト「ジェット・リー」〉と言われてしばらく経つウー・ジンが跳び!!
〈10年に一度のアクション俳優〉と呼ばれてしばらく沈黙していたトニー・ジャーが跳ねる!!
カンフーとムエタイがシバき合った挙句に
ラストでは手を組む!!
異次元タッグマッチ。
さらに相手はスーツを着こなす「獄長」
「マックス・チャン」
主役2人を涼しい顔で相手する強さ。
ちなみに『イップ・マン 継承』ではドニーさんと達人組手を演じたお方。
こちらも引くほどの名作。観よう!
前述した通りに前作とはストーリーの繋がりなし。
共通する出演者もいるが別人設定。
シリーズな所以は〈殺破狼〉な漢達の生き様を描く、ということくらいだが
文句なしの大傑作だった。
連続する脳の処理落ち必至なアクション。
苦くて重い哀愁漂うドラマ。
鑑賞後にはお腹いっぱいになりながらも
「いろいろと継承されたな…」と感慨深くなった。
前置きが長くなりましたが
そんな「SPL」が帰ってくる。
それも予想外に早く!!
興奮せざるを得なかった。
今作も前作同様に話の繋がりはなし。
一部出演者が共通するも別人設定。
そして予告から滲み出る殺気と哀愁。
紛うことなき〈殺破狼〉シリーズだった。
映画鑑賞のリハビリには十分すぎた。
ウキウキ気分で会場へお邪魔したのだった。
鑑賞後。
そこには映画に圧し殺された観客達がいた。
無論、俺もその中の1人だった。
つまらなかったわけではない。
想像の上をいく〈殺破狼〉ぶりに殺された。
あまりの重厚感に胸をエグられた。
復帰戦のつもりがオリンピックだったかのような
そんな重さの10種競技なあらすじ。
主人公リーは娘を愛する普通の刑事。
しかし微笑ましい日常を過ごしていたのも今は昔。
立派に育った一人娘からある日、折り入って喫茶店に呼ばれる。
赴いてみれば娘の隣には若い男がいた。
もう嫌な予感しかしないが
「この人と結婚したい。この人の子供を産みたい」と一世一代の告白される。
もちろん祝福するべきだろうが、父親としては複雑。
なにより彼は昔に不慮の事故で妻を亡くしてからも男手一つで必死に娘を育ててきた過去がある。
「そうか、わかった」とは問屋が卸さない。
それどころか間髪入れずに部下に通報。
娘が連れてきた男を未成年との淫行犯として逮捕させるのであった。
明らかに「やりすぎだよ!」と思わざるを得ないオープニングだが
それは娘も同じだった。
そのショックから身籠もっていた子供を中絶。
行き先を告げずに自分探しの旅。
友人にタトゥーを入れてもらう。
とにかくグレにグレた。
そんなときに怪しい一台の車が近寄ってくる。
女性の力では抵抗もままならなかった。
なにより心身ともにズタボロだった。
あえなく攫われてしまうのであった。
当然、その悲劇はリーに伝わる。
娘の友人から「連絡がとれない」と相談されたリーは一も二もなく現地へと急行。
職業柄、なにより父親としての責任として自ら捜査を進めることにする。
もちろん現地の警察もそんな大事件を放っておくはずはなかった。
チュイ。優しくも熱血な刑事。
最近警察のお偉いさんの一人娘と婚約。
リーの熱意に押されたのか持ち前の正義感からか合同捜査に乗り出す。
ひとまず街中の防犯カメラの映像を洗い流す2人。
娘を見つけるも背後には怪しい男がいた。
さっそく居場所を突き止め急行する。
もれなく全員殴って一等賞の暴力捜査の末に、市中引き回し人力チェイスで捕らえる。
しかしその男はただの盗撮犯だった。
もうありとあらゆる怒りに身を任せて再びブン殴るしかないリーであった。
そんな中でも捜査は進む。
しかし平穏無事には済まない。
それどころかただの誘拐事件では終わらなさそうな雰囲気すら出てくる。
どうにも影で臓器売買組織が絡んでいる様子。
なんとか尻尾を掴み末端の人間の居場所を突き止めるも
相手は海千山千の相手。
そこらのチンピラより手強かった。
数の劣勢もあり押され気味な2人。
ようやく得た出掛かりもここまでか…
そのときだった。
アジトのマンションの下にたまたま居合わせた漢。
彼はチュイの同僚の警察官。
なによりムエタイの神でもあった。
名はタク…というかトニー・ジャーだった。
さらにいつもより頭の回転が上乗せされていた。
なんなく状況を察したトニーはリーとチュイの応援を即決!!素手で!!
一応装備していた拳銃もなぜか早々に弾切れ!
この後あっさり拳銃は捨てます。
映画の事情?需要と供給だ!!
かくして「神」のご加護を得た2人。
ここから壮絶なリベンジマッチの幕が上がる!!
映画のジャンル、急遽変更!!
勢いそのままに何故か出張ってきていた親玉とタイマンを張るトニー・ジャー。
主人公を差し置いて!
それもまさかの超優勢。
己に臓器移植が必要なほどに蹴られて殴られて蹴られまくる親玉。
「おいおい、これ映画終わるんじゃねぇか…?」との観客の思いもそこそこに
死ぬほど神の蹴りをキメるトニー・ジャー。
ドニーさん印のソバットもお目見え。神様!
しかしそんなご加護もここまでだった。
相手は臓器売買組織の親玉。無論、ド級の悪人。
近くにいた子供を人質に取る。
こうなっては手は出せない。
しかもそれだけでは終わらない。
なんと無慈悲にもその子供を屋上から突き落とす。
もちろん見過ごせないトニーは救いに自らも屋上から跳ぶ。
おかげでなんとか子供は助けることができた。
しかし己の命までは無理だった。
地面に激突。命を落としてしまう。
まさかのトニー・ジャー、途中退場。
目の前が真っ暗になるとはこのことだった。
それはチュイも同じだった。
哀しみと怒りにくれてしまう。
かくして「もうあいつら絶対に許せん」モードに突入した漢×2。
その瞳は間違いなく〈狼〉だった。
愛する者のため。亡き仲間のため。
無慈悲で無謀な最終戦争が始まるのであった…
どけ!!漢の意地が通るぞ!!
…というもの。
まず言いたいこと。
とにかく全編通して重い。
主人公はシングルファーザー。
愛する1人娘は攫われる。
相手は国際的な臓器売買組織。
トニー・ジャーが死ぬ。
ラストに見つけた娘は還らぬ人。
仇を討ったリーも拳銃で自殺。
軽い気持ちでアクション映画を観にきた一見さんは間違いなく奈落のドン底に突き落とされるだろう。
チョコを食べようと思ったらまるごとカカオ豆が出てきたような苦さがある。
かと言って不味いのか、と問われれば断じてそんなことはない。
世の中、カカオを丸かじりしなければわからないこともある。
なんだ、普段のチョコのありがたみとか!
本作では多々ある「最強」の代名詞の内のひとつ
「トニー・ジャー」を殺すという禁じ手が用いられる。
良い顔だなぁ!!
思えば彼は今まで無謀な行いを有言実行してきた。
やれ「仏像を返せ!」だの「象を返せ!」だのひとつ覚えに叫びながら
その身一つで国際的シンジケートを潰してきた過去がある。
それも一度や二度ではない。
専属cv.浪川大輔という無駄な豪華さ。
結果的にハッピーエンドが多い彼の顔を見て観客はおそらく「今回もなんとかなるな」と思ったに違いない。
しかしその期待はあっさり打ち破られることになる。
普段あんなに強い男が死ぬ。
今回の敵のヤバさ、そしていつも死なずに奮闘してきた彼の懸命さが引き立つ。
彼も人の子。重力には勝てなかった。
まぁ実際にはスケジュール調整やら様々な事情があるのかもしれんが
それでも『マッハ!!!!!!』公開から15年。
身体能力は重力を超える!!
そんな彼をずっと追ってきた身としては涙を禁じ得なかった。
というか基本的に人が死に散らかす本作。
ガワだけ見ればよくあるアジアンアクションだが
その本質はもはや戦争映画に近い。
ここでキャッチコピーの「全面戦争勃発」が効いてくる。
思えば主人公リーが娘のために孤軍奮闘する様はあの世紀の名作『96時間』を彷彿とさせる。
人身売買組織に攫われた娘を救うべく
元CIA特殊工作員リーアムが異国で大暴れ。
必要ならエッフェル塔すら潰すその気概に全国のパパは涙した。
しかしそこはさすがのウィルソン・イップ監督。
終幕を劇的なバッドエンドにすることで一線を画すことに成功した。
後味は苦味一色だが、それを引くほどハードなアクションで包み込む。
おかげでストーリーに散々引き込まれた挙句、観客は心底打ちのめされる。
現実は決して甘くない。
それでも最後に生き残ったチュイだけは悪に屈さず家庭と未来を護り通す。
これが男泣きせずにいられるか!というもの。
いろいろな意味で間違ってもデートには向いてないが
観終わった後には様々な愛の形が浮き彫りになるロールシャッハテストのような作品。
逆に言えばこれを観た後にイチャつければ本物かもしれない。
どうなっても責任はとらないが!
以上、3作目となった〈殺破狼〉シリーズ。
演者が共通しつつも別役という『仁義なる戦い』を思い出すスターシステムを採用しているだけあって
さすがに信頼できる金字塔になりつつある。
おかげでどこかで死んだキャラでも新作で再配置できる強みも得た。
気兼ねなく殺せ、気兼ねなく再登場できる。
そんな最高の「狼」たち。
是非劇場で観ていただきたい。
大ヒットしてくれればドニーさんがカムバックしてくるやもしれないし!!
最大手アメコミに対抗してつくってくれ!!
『殺破狼ユニバース(SPLU)』を!!
そんな希望を抱かせてくれる傑作アクション。
刻め!!網膜と心の自由帳に!!
ある意味詐欺的な予告↓
希望を捨てないTwitter↓
I have a “BEST” feeling about this.『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』感想。ネタバレあり。
遠い昔、銀河の果てで…
今、明かされる波乱の武勇伝!!
ロクでもないメンツが奮起する!
割と自分達のために!!
この映画、イイ予感しかしない。
ネタバレなし感想。
面白いです。
興行収入の悪さは関係なし。
純粋なエンタメ映画として満点。ぜひ劇場へ。
とくにシリーズおさらいは必要ありません。
むしろ入門編として最適。
気軽にアクションを楽しめる傑作です。オススメ。
本記事。
シリーズ全体のネタバレあり。
シリーズの熱狂的なファンではないので
その目線からの記事になります。
今回、スターウォーズファンの方はイラっとするかもしれません。
ファンの方はブラバ推奨です。
『スター・ウォーズ』
説明不要なSF映画の金字塔である。
映画好きなら必ず通る義務教育的シリーズでもあるが
正直なところ思い入れはほぼない。
当ブログを読んでいただければお分かりになるだろうが
個人的には「ビームよりも鉛玉」「宇宙船より改造車」「ライトセーバーより日本刀」「フォースより筋肉」が好きな俺。
なにより「遠い昔の銀河の果てで起こったことなんざ知ったこっちゃない!!」という気持ちも少なからずある。
まぁ見ようによってはワイスピやエクスペンダブルズも十分にSF(すごいファンタジー)ではあるのだが
あちらは現実が舞台。一応。
まぁ銀河まで行ってしまうと「現実離れしすぎて感情移入ができない」というのが本音だ。
しかしそんなわがままが言ってられるのも2年前の12月までだった。
「スター・ウォーズ」史上初となる実写スピンオフ映画が封切られたからだ。
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』
その中に異様なオーラを放っている漢がいた。
"香港のラストドラゴン"
「ドニー・イェン」である。
「いよいよ宇宙大戦争に"宇宙最強の男"が参戦するのか!!」
これを見逃す理由などなかった。
公開日前日に丸一日かけてシリーズを公開順に予習した後に4DXへ駆け込んだのであった。
結論を言えば最高だった。
その「スター」より「ウォーズ」をクローズアップしたような内容。
皆がそれぞれ漢気を発揮しては散っていく。
むしろ銀河を舞台に移しただけの『孫文の義士団』な有様だった。
・前半1時間がアレ
・名もなき戦士達が大義の為に漢気を連鎖爆発させる
四捨五入したら全く同類な大傑作アクション。
観よう!今こそ!
そんな目当てのドニーさんは銀河でも負けじとサブキャラを超えた大暴れを果たしていた。
・ブラスターを文字通りノールックで躱す。
・ストームトルーパーを棍と素手でシバき倒す。
・盲目ジョークで場を暖める。
・終いにはタイファイターすら撃ち落とす。
どう考えてもそこらのジェダイを凌駕する強さに
ドニーさんを知らないスターウォーズファンの友人は目を丸くしていた。同時に虜にもなっていた。
それも含めて俺は大満足した覚えがある。
おかげでシリーズにも逆説的にハマることができた。
その流れで翌年に公開された
こちらも劇場へと駆け込んだ。
シリーズに思い入れがあるファンからすると受け入れ難いことも多いみたいだが
個人的には引き続き最高だった。
・禁じ手のワープ特攻をかます漢気おばさん
・レイ&レンの善悪異次元タッグマッチ
・大型戦闘機の集中砲火を食らいながらも涼しい顔で肩を払う"銀河の伝説"ルーク
・思い出したように登場するヨーダ
・やたらケレン味のあるフィンの倍返し
・悪いベニチオ・デル・トロ
俺が映画に求めているものがダース単位で押し寄せる様には面食らいながらも興奮した。
ただ世の中、俺のような意見は少数派なのか
反比例して落ち込んでいくスターウォーズ熱。
そして半年後に公開された本作。
ネガティブな意見が影響してかオープニング興行収入はシリーズ最低。
なんと『デッドプール2』の半分以下の売り上げという厳しいスタートになっているという。
最高。最高。最高。最高。『デッドプール2』感想。ネタバレあり。 - 高速回転する方舟の片隅で。
「まさか全年齢対象のスターウォーズがR指定映画に負ける日が来るとは…」と思うものの
そんな逆風が吹いている映画こそ応援したくなるのが俺の性。
むしろ「そんな荒波の中でこそ"宇宙一のアウトロー"は輝くだろ!!」と俄然興味が湧いてきた。
ムビチケを購入してまで心待ちにしていた鑑賞日。
オープニングで地震が発生するというリアル4Dなハプニングがありつつも、そこには過去最高クラスの「ウォーズ」があった。
『ローグ・ワン』が「戦争映画」なら
本作は真っ当な「西部劇」だった。
スクリーンには間違いなく未来のアウトローがいた。
そんな孤高のあらすじ。
はるか昔、遠い銀河の果てで…
がむしゃらに走っている2人の男女がいた。
ご存知、宇宙のアウトロー「ハン」
その幼馴染「キーラ」
共に駆け落ちすべく希少な金属燃料「コアクシウム」を盗み出していた。
その手口の雑さから地域のギャング達に追われるもののそこは孤高のアウトロー。
無重力装置を活かした天地無用カーチェイスで煙に巻くのであった。
ひとまず景気は良し!なオープニング。
その足で空港までなんとか辿り着いた2人。
入場ゲートに未来を夢見て歩み出すが、そう簡単にはいかなかった。
不法侵入もアダとなり、引き裂かれてしまう2人。
いつか迎えに行くことを堅く誓うハン。
こうなった漢の行動力はズバ抜けていた。
手続きをガン無視し帝国軍へ立候補。
自由とキーラを夢見て成り上がるのであった。
しかし現実は厳しかった。
新米は歩兵として使い捨てられるのが世の常。
今日も泥まみれになりながらプライベート・ライアンな1日。
しかしそんな戦争の最中でもアウトロー魂だけは衰えていなかった。
むしろ上下関係よりも己の意見を押し通すライフスタイルに磨きがかかっていた。
まぁそんな新卒は良く思われるわけもなかった。
「出る杭は早めに打っておけ!」と言わんばかりに戦場の牢獄にブチ込まれるハン。
そこは生きて出たものはいない地獄の檻。
一体の怪物がいるからであった。
後に相棒となる「チューバッカ」だった。
ひとまず檻の脆さをコナン君ばりに見抜いたハン。
容赦なく殴りかかってくるチューバッカを鳴き声のモノマネで回避!!
共に脱出しようと説得するべく「ミスったら即、死亡!」なジェスチャーゲームを緊急開催!
人智を超えた怪力を奮う猛獣、チューバッカ。
それをフル活用する猛獣使い、ハン。
後世まで語り継がれる伝説バディが電撃結成!
さすがになんなく逃亡に成功する2人。
そして目の前には幸運なことに戦闘機に乗り込んでいたヤツらがいた。
「ベケット」率いる3人の集団。
またもやアウトロー独特の嗅覚から「こいつら軍人じゃねえ、盗賊だ」と見抜いていたハン。
得意の口先交渉術で仲間入りを果たすのであった。
そんな彼らが2人を仲間に引き入れたのは
「これからの任務には人出が必要」だったから。
狙いはコアクシウム。標的は貨物車両。
居場所がない。金もない。なによりやることもない2人にはまさに渡りに船だった。
早速その足で運搬中の貨物車両へと向かう面々。
文字通りの縦横無尽さを誇る車両。
とはいえそれ簡単なミッション…のはずだった。
そこには正体不明の商売敵がいた。
予想外の展開に戸惑うベケット達。
獲物を逃すまいと奮起するものの相手は手練れ集団。
不運なことに仲間2人は戦死。
さらに獲物のコアクシウムも失ってしまう。
落ち込むハンとチューイに冷静に現状のヤバさを伝えるベケット。
「この任務は依頼だった。とあるヤバい男のな」
その依頼主の名は「ドライデン・ヴォス」…まぁ見るからにヤバいオーラが漂っていた。
とりあえず任務失敗と代替案を伝えにドライデンの元へ訪問する3人。
必死に弁明するベケットをよそにハンの視線は違った場所へ向いていた。
そこにはずっと思い焦がれていた「キーラ」がいた。
彼女は彼女でこの激動の時代をドライデンの側近となることで生き抜いていた。
それを見てわかりやすく奮起するハン。
「もっと大量のコアクシウムを盗んできてやるよ」
と若さゆえの無謀な代替案を提示。
引き換えに「失敗したら今度こそ命はないぞ」と脅しをかけられるが、今のハンにはキーラしか見えていなかった。
まぁ、なにはともあれ首の皮は繋がった。
お目付役としてキーラも同行することとなる。
もう有頂天だった。
ひとまず「宇宙船とパイロットを仲間にしよう」と向かった先。
それは全観客の予想通りの場所だった。
「ランド・カルリジアン」
至高のギャンブラーで自由人。
そのド派手な隠れ家で賭ケグルイしている様を見てとある策を思いつくハン。
それは「賭けで船をいただこう」というもの。
元カノを前にわかりやすくカッコつけて得意の口車で勝ち進むが、そこはランド。
袖口にカードを隠すという銀河共通のイカサマでハンを降す。
わかりやすく落ち込むハン。
見兼ねたベケットが狂気満載の眼差し&脅しスレスレな交渉術で場をまとめる。
頷く他ないランドであった。
いくら自由人と言えどもまだまだ若い。
かくしてほぼ無理やり連れ出されたランド。
お気に入りのドロイド「L3-37」も仲間入り。
そんなこんなで手を組んだアウトサイダー達。
・"自称宇宙一のアウトロー"「ハン」
・"190歳の怪力モンスター"「チューイ」
・"疲れ切った中間管理職おじさん"「ベケット」
・"オトナになっていた元カノ"「キーラ」
・"賭博自由録"「ランド」
・"声が大きい人権派ドロイド"「L-3」
以上、「宇宙の危機より明日の飯と命」な面々。
繋がりは脆くも儚い「成り行き」だけ!
最後に勝つのは一体誰だ!?
裏切り裏切られ、騙し合いの西部劇の幕が上がる!
銀河の果てで!!
鑑賞後に思ったのは
「これ『スター・ウォーズ』史上最高傑作だ!」という感想だった。
断言できるが興行収入の悪さは『最後のジェダイ』の余波でしかない。
もちろん長年付き添ってきたファンの気持ちもわからなくはない。
あの「ハリソン・フォード」による「伝説のアウトロー」を別人が演じるだけでも拒否反応を起こしてしまう方もいるだろう。
まぁ確かに似ているかどうかで言えば似ていない。
しかしその「無謀に真っ向から立ち向かう」ことこそが本作のテーマとリンクしているとも言える。
終始「俺はアウトローだ!」と他の誰でもない自分に言い聞かせながら無茶をしでかす様には憧れつつも共感できる。
そして「惚れた女には命を賭けろ!無条件で!」とばかりにあらゆる難局を向こう見ずな若さと気力で乗り越えまくる姿には
不思議と未来のハンソロが重なって見えてくる。
有言実行、素晴らしい!!
そんな青臭いとも言えるハンを導く「ベケット」
彼こそ本作における影の主役。
盗賊を生業にしている時点で生半可なアウトローではないが、その姿に浪漫はない。
むしろ疲れ切った悲哀に満ちている。
常に「誰も信じるな」と言い切り
状況が変わればあっさりと仲間を裏切る。
勝つ側につくことになんら疑問を持たないその行動理念。
必要とあらば人を殺すことすら躊躇わない。
それでも「絶対悪」とは言い難い。
将来の夢も「穏やかに楽器をやりたい」というささやかなもの。
そんな絶妙な役を「ウディ・ハレルソン」が演じている。
ラストにはまさに「西部劇」そのままにハンの前に立ちはだかる。
もう100点だろ!この映画!!
そして脇を固めるのはシリーズファンに配慮しつつ世相を反映したキャラの数々。
・強すぎるヒロイン「キーラ」
守られるヒロインではなく自立しているヒロイン。
ファッションを見ればその稼ぎは一目瞭然。
ハンの助けをただ待つだけではなく、生き抜いていた強さがある。
そしてありがちとも言える「悪女」感が満載…というわけでもない。
純粋な少女のような一面、人には言えない一面が絶妙なバランスで同居している。
結果的に「ハンじゃなくても惚れるよなぁ…」と思わざるをえない魅力を持っている。
ラストにはハンのために立ち上がり戦う物理的な強さもある。人を殺める覚悟も持っている。
それでいてハンを裏切る冷酷さも持ち合わせている。
正直、恐ろしいまでの良キャラだ。
…たぶらかされたいなぁ!!
・博打王子「ランド」
ハンの前ではアウトローの先輩ぶる。
ベケットの前では大人しくなる。
L-3の前では彼氏ヅラする。
素晴らしすぎるその人間くささ。
だからこそ海千山千のギャンブラー相手に勝ってきたある種の強みが立体化する。
ラストでは一件落着後にミレニアムファルコンを賭けてハンとリベンジマッチを行う。
まぁ結末はシリーズファンならご存知の通りだが
そこでイカサマを逆に利用されたと察したランドの表情は一見の価値ありだ!!
・饒舌ドロイド「L-3」
シリーズ初の女性型ドロイド(らしい)。
思えば『ローグ・ワン』にはやたら漢気溢れたドロイド「K-2SO」が登場していた。
ロボット三原則の代わりにハリウッド映画をインストールしたような熱気を持つ。
それに続くかのように登場した彼女。
こちらもこちらで振り切れた人間味を持っている。
ランドに惚れられているという設定、なにより中盤コックピットで行われる生々しさ全開の女子会。
そこで振り撒かれる「イイ女」感には最終的に観客も虜になるぞ!!
・プラネットハルク「チューバッカ」
シリーズでも割と大暴れしてきた猛獣ではあるが
本作ではそれ以上に輪をかけて暴れている。
序盤から鉄筋を歪ませる、貨物車両の連結を引きちぎるなど若さゆえの無茶の数々。
さらに中盤では、熱い展開の筆頭である「遅れてきた加勢」の勢いそのままに
上記の怪力をハンと同族のためにフル稼働!
敵をワンパンで沈める、明らかにダメな角度での「オーバー・ザ・ディズニー・パイルドライバー」など
非常に昭和プロレスイズム溢れる活躍を見せてくれる。
加えてラストでは戦闘力のみならず優しさまで魅せる。
頼もしさ、120点!!
こんな愉快な面々が所狭しと暴れ回る。
驚いたのが本作にはシリーズでありがちな会話劇が少ないこと。
主人公達の熱気と比例するかのように終始アクションが連続する。
もうどうにかしてると言いたくなるような場面が次々と押し寄せてくる。
どこぞの映画並みにインポッシブルなミッションの数々。
そんな困難をノリと勢いで解決していく。
スピンオフを含めたら膨大な数がある本シリーズ。
そんな中、予習復習という面倒なこと抜きで楽しめる本作。
舞台を「開拓時代アメリカ」に、コアクシウムを「金塊」に変換すればそのまま「王道西部劇」と言えるようなストーリー。
ファンにはグッとくる場面も多々。
まさに誰でも楽しめる純粋なエンタメだ。
シリーズファンはどう思うかはわからんが
俺のように浅めのファン、そして未見の方には問答無用でオススメできる傑作だ。
なによりどんな難局だろうが
「ハンのように決して諦めずに軽口を叩きながらも希望を捨てなければなんとかなる!」
ということを改めて提示してくれる。
そんな道徳の教科書ムービーでもある。
観よう!!
老若男女、誰とでも!!
ラストのネタバレ。
最後の最後でキーラは帝国軍所属だったことが判明。
結局ドライデンだけではなくハンも利用されていた。
姿を消す直前、とある人物とSkype通話を果たす。
あっ!? ダース・モールだ!!!
生きてたんか! お前!!
良い予感しかしない予告↓
「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」日本版予告 - YouTube
悪い予感しかしないTwitter↓
ゾンビ発|地獄経由|希望行き|最終特急、発車。『新感染 ファイナル・エクスプレス』感想。ネタバレあり。
あらゆる意味で、止まれない。
止まるわけにはいかない!!
ノンストップ漢気爆発ゾンビアクション!
勝つのはウィルスか漢気か。
他のジャンル映画とは一線を画す超傑作。
正しく生きよう!!約束だぞ!
ネタバレなし感想。
これ、めちゃくちゃ面白いです。
ゾンビ映画がお嫌いでなければ是非。
手放しで褒められる傑作です。
意外にもグロさはないので苦手な方でも。
絶対に一見の価値ありです。
大切な人とどうぞ。
一応生存の有無、結末などのネタバレありなので
未見の方はご注意を。
W杯、終わりましたね。
「言われなくても知ってるよ!」と聞こえて来そうなものだが、前回の記事でも書いた通りに我が家にはテレビがない。
しかし日々いろんな意味で熱狂していた日本列島。
時代の流れに取り残された俺でも知らんぷりするわけにはいかない。
なんとか「同じく熱狂したい!」と考えた末に俺は1つの映画をセットした。深夜2時に!!
負け犬達の泥試合、キックオフ。『少林サッカー』感想。ネタバレあり。 - 高速回転する方舟の片隅で。
ここまでは前回と全く同じ書き出しだが、まだ前は「サッカー」という繋がりがあった。かろうじて。
しかし本作。一目瞭然すぎるほどのゾンビ映画。
「なんで?」と聞かれたら「観戦」から「感染」を連想しただけと言う他ない。
なんでも映画に直結してしまう俺の残念さがバレたところでざっとしたあらすじ…といきたいが
軽く言えば本作は非常に真っ当なゾンビ映画。
「パンデミック発生→生き延びよう!」というもの。
しかし本作ならではのオリジナリティとして
「急行列車」を舞台にした「群像劇」ということが挙げれる。
ある意味では『オリエント急行殺人事件』へのアンサーかもしれない。
観てないけど!!
ひとまず登場人物紹介。
右:「ソグ」
仕事人間。割と自己中。
そのせいで嫁さんに逃げられ、娘の心は離れ気味。
しかし多大なる危機を乗り越えていくたびに助け合う大切さを知っていく。
左:「スアン」
心優しき一人娘。両親のことが大好き。
どんなときでも人のことを考えられる非常に良い子。
左:「サンファ」
ガサツなおじさん。ただ心は優しい。
ぶっきらぼうだが悪人ではない。
まぁデリカシーはないです。
右:「ソンギョン」
その奥さん。妊娠中。美人で優しい。
右:「ヨングク」
純粋高校球児。草食気味。絶対良いやつ。
左:「ジニ」
可愛い今どきの女子高生。応援団。
その友人。というか半恋人。告白済み。
「ジョンギル」「インギル」
おばさん姉妹。冷めた妹と優しい姉。仲良し。
「ホームレス」
急遽乗り込んできた謎の男。
そんな彼ら彼女らが相手取るゾンビ。
いわゆるこのジャンルの主人公だが
本作のヤツらは近年のトレンド「走るゾンビ」
暗闇では標的を見失い、音に反応する。
まぁオーソドックスといえばそうだが
今回はなによりその物量がエゲツない。
車内では割と「個」で襲ってくるが一度外に出れば大群というより「塊」で襲いかかってくる。
当然真っ向から太刀打ちはできずに被害者がダース単位で出るのがこの手のお決まり。
しかしそこには他の映画とは段違いの熱気がある。
基本的に登場人物達は大体死んでしまうのだが
ひとりひとり丁寧なキャラ付けが為されているために誰が散っても号泣必至だ。
というか本作。外側はゾンビ映画だが、その内面には少年漫画的熱さが秘められている。
リーマン親子、夫婦、高校生カップル、おばさん姉妹、ホームレス…このどこにでもいそうな面々が
次々と漢気を魅せて散っていく。
これが泣かずにいられるか、というもの。
中盤。孤立したソグ&サンファ&ヨンググの3人。
皆が待つ車両は3両挟んだ先。
そしてそこには当然ヤツらが蠢いている。
俺なら「ここで暮らそう」発言をかましている場面だが、彼らは違った。
なにより途中の車両にはそれぞれのパートナーが助けを求めている状況だった。
誰からともなく戦闘準備をする面々。
プロテクターとバットを手に取る野球青年。
身の回りのもので装備を固めるエリートリーマン。
拳にテーピングを施す粋なおっさん。
己の身よりも弱者を守るために立ち上がった3人。
これぞ「漢」たるものだ。
ここから急遽始まるベルトスクロールアクション。
突破方法も正面突破に始まり頭脳派連携プレイなどとことん気が利いているのもプラスポイント。
まぁ結局サンファの打撃や投げ技にもっていかれるにしても!!
ゾンビを素手で殴り伏せる。これぞ天晴れだ!!
そんなこんなで無傷で安全地帯に辿り着いた3人。
束の間の再会を喜ぶものの、他の乗客は浮かない顔。
ヤツらの言い分としては「ゾンビの中を通ってきたんなら感染してるはず」というもの。
まぁ気持ちはわからなくもないが
英雄視されている主人公達に嫉妬しているようにしか見えない。なによりその決めつけに腹が立つ。
浅はかで最低なヤツら。
「もれなく全員サンファにブン殴られてほしいなぁ!」と思っていたのだが、あくまで彼らは一般人。
なにより相手にする価値もないと判断し先の車両へ移動することにする。
その背中に罵声を浴びせ、挙げ句の果てには戻ってこられないように扉を縛り付けるモブ共。
「どこまでクズなんだこいつら…」と思わずにはいられないが
そんな事態はどこ吹く風な女性がいた。
ジョンギルだった。
彼女だけは違う方向を向いていた。
後方車両から迫ってきていたゾンビの群れの中に見覚えのある顔があったからに他ならない。
なんとそこには姉、インギルがいた。
お節介で優しかった彼女。
いつも自分のことより他人のこと。
口では「バカね…」といいながらその様を見て茫然としないわけがなかった。
当然、黙って見過ごせはしない。
事情を知ってか知らずか敢えてなのか
「死ぬときは一緒よ…」とばかりにゾンビの群れが迫っている扉をフルオープン!!
満足げな姉妹と阿鼻叫喚に包まれるクズ共。
自己犠牲と因果応報が共存した瞬間だった。
カッコいいなぁ!!
その後も
・ゾンビの群れを単騎で押し留めるサンファそれも最初はいがみ合っていたソグに大事な嫁さんを任せる最強の死亡フラグつきだ!!
・ゾンビ化してしまったジニに正面から噛まれるヨンググ保留していた告白に対する最高のアンサー。
足手まといっぽかったホームレスさえ
終盤にスアン&ソンギョンのために身体を張って
「いいから行け!!」をやり出す始末。
最高だ!!!
もはやウィルス以上に漢気がパンデミックしまくっている。
とにかく一から十まで捨て所がない本マグロ的作品なのだが、一番燃えるのがラスト。
仲間達の身を討った助けもあり、なんとかスアンとソンギョンを連れて逃げ延びたソグ。
しかしそこに一番厄介なクズが迫る。
自己保身しか考えていない最悪の自己中野郎。
「隔離しろ!」とか言い出したのもこいつ。
映画史上稀に見るハイレベルクズ。
つまりはめちゃくちゃ名優さん。
まぁありがちにも運だけは良くここまで生き延びていた。
しかしここまでの間にソグは理解していた。
娘の大切さ、そして亡き友人から託された女性。
彼女らだけは絶対に守らなければいけないこと。
そのためには自己犠牲も厭ってはならないことを。
己が噛まれることも躊躇せずに身を投げ討つソグ。その眼差しには序盤の自己中さはカケラもなかった。
もう全身から漢気が漲っていた。
生半可な覚悟では止まらないと判断したソグは
車内で身につけた環境利用闘法を土壇場で発展させる。
具体的にはクソ野郎を鎖で巻きつけた後に
電撃バックドロップを披露!!
半分感染しながらも未来への希望を守りきったソグであった。
その後、自らの命が長くないことを考え
娘を力一杯抱きしめた後にソンギョンに託す。
最期は薄れいく自我の中で幸せなときを想い返しながら電車から身を投げるのであった…
こんなん泣くだろ!!
事実、俺は泣いた!!
その後、序盤で言われていた「ソグがいなかったから学芸会で歌えなかった」伏線を最高の形で回収するスアン。
それにより助かるソンギョン。
泣くよな!!ここでも!!
とにかく一から十までハラハラドキドキ、ときに熱く、ときに灼熱、そして最後は泣ける。
ホラーが苦手な方でも観てほしい大傑作だ。
思えば近年、日本でも『アイアムアヒーロー』という傑作ゾンビ映画がつくられた。
軽い気持ちで観に来たライト層を恐怖のドン底に突き落としたガチ作。
間違っても初デートには向いていない。
しかし本作はそれに勝るとも劣らない。
というか瞬間最大風速は超えている。
観た方に伝わるように言えば
ラストの孤軍奮闘が終始続くような熱さがある。
総括。
ゾンビ映画好きはもちろん、熱い展開が好きな方、ヒューマンドラマが好きな方も。
主人公の成長譚、ラストの相手は「もしかしたらこうなっていたかもしれないコインの裏側」ということでヒーローものとしても優秀。
直接的なグロさはそこまでなので
もはや老若男女問わずオススメできる。
登場人物もそれぞれ配置されてるので
誰かしらには絶対に感情移入できる鉄壁さもある。
括りとしてはホラーだが
観終わった後は「誰かに優しくしよう」という気持ちになる。
観客にはゾンビウィルス並みに優しさと漢気を感染させる後世に残したくなる映画だ。
オススメだ! 観よう!!
1人でも大切な人とでも!!
いろんな意味で圧倒的な予告↓
『新感染 ファイナル・エクスプレス』予告編 - YouTube
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