馬鹿と無能の交差点。『スクランブル』感想。バレあり。
珍しく日本版の方がお洒落。
しかしどちらも売りは同じく製作陣の名前。
そんな低めのハードルをくぐりにくぐる。
映画界のブラック企業「96時間」スタッフ!
「全国公開」にだまされるな。
全国が「後悔」する。
失策失速失笑カーアクション!!!
映画界にはしばしば革命が起きる。
『タイタニック』『ターミネーター2』『アバター』などのキャメロンによる映像革命。
全てを塗り替えた『マトリックス』革命。
もはや存在自体が革命家なノーラン作品。
などがよく話題にあがる。
しかしその革命は稀にB級映画が起こすこともある。
それが『96時間』革命だ。昇天しかねない上記台詞。親父、大暴れ。
俺のオールタイムベスト3には入る。
ちなみに本作公開は2008年。『ダークナイト』や『アイアンマン』といい化け物級な当たり年だ。
「引退したヤバいやつが現場復帰する」というB級映画御用達の筋書きを奇跡的なまでに綺麗にまとめ上げた至高の作品である。
ある種のひとつの到達点とも言える。
しかし映画とは商売でもある。
当然2匹目のドジョウ狙いで類似作品が連発された。
具体例は出さないが、やたら出来の悪い劣化作群が。
それもまぁ他社が真似するのは理解できるのだが
困ったことに自社で類似作品連発。
それどころが無意味に続編も連発。
レンタルビデオ店の棚には常にそれっぽい作品が並ぶ事態となった。
そしてそれに箔をつけるかのように書かれている「96時間製作陣」というキャッチコピー。
本作らそんな『96時間』製作陣と『ワイルド・スピード』出演者が手を組んだカーアクション映画。
側だけ見ればこれほど素敵な方程式もない。
正直なところ「製作陣を売りにしている映画にロクなものはない」というのは映画ファンからしたらほぼほぼ常識。
俺も嫌というほど痛い目を見てきただけに経験や覚悟は決めていた。とはいえこの時期他に観たい映画が散々公開されているだけあってDVDでも見るかどうか決めかねていたのだが。
毎度の通りに試写会が当たってしまった。
まぁ嬉しいことは嬉しいし、自分で金払う気が起きないものこそ試写会の意義がある!!
と自らを奮い立たせた。
やたら試写会を応募していた必死さが多少気になったものの「全国ロードショー決定 & MX4Dなどの特殊上映もある」という状況からしてまぁまぁな佳作だろうと踏んでいた。
それでも用心に越したことはないとかなりハードルを下げて観賞した。
…上映後。90分という観賞時間が10倍に感じるほどの苦痛に襲われた俺は翌日若干体調を崩した。
しかし映画は褒めちぎるのが俺のポリシー。
書くべきか迷ったのだが被害者を1人でも減らそうと今回の記事に踏み切った次第だ。
というわけで『スクランブル』が気に入った方はこの先からは一切読まない方がいい。
俺がズレてるだけかもしれんし。
そんな交通事故のようなあらすじ。
主人公フォスター兄弟は世界を股にかける高級クラシックカー専門の強盗。兄。左。アンドリュー。頭脳担当。
弟。右。ギャレット。メカニック担当。
異母だか異父兄弟。
ちなみに話には全く絡んでこない死に設定。
今日もワイスピに触発されたかのような手口であっさりと車を盗み出すのであった。
しかしその車はマフィアのものだった。
あえなく捕まってしまった2人は「敵対するマフィアの車を盗んでくるから命はマジ勘弁」との条件を出す。そしてなんなくおっけーを出すマフィアであった。それを鵜呑みにするマフィアってどうなのか。
とりあえずこの作戦は2人じゃ無理だ、とのことで劣化オーシャンズ11なメンバー集めを開始する兄弟。
大抵メンバー集め描写は盛り上がるものだが本作では特に見せ場ないので省略します。
しかしド派手さだけを取り柄にやってきた兄弟。
あえなくインターポールに目をつけられてしまう。
果たして兄弟は助かるのか?
2つのマフィアはどうなるのか?
4つの無能な勢力の交差点がここに完成。
「大方全て計算通りなんだろ…結局」という観客の声もそこそこに
まるで茶番な計画が幕を開ける!!なかなかシュールな1枚。
…というもの。
なんか書いてて頭痛くなってきたな!
話はありきたりで単純だがそれは俺からすれば評価点だ。
本作で数少ないひとつの!
この手の映画に複雑さは求めていない。
わかりやすくアクションを絡めて派手にやってくれればオールオッケー…なのだが
軽くあらすじでも触れた通り本作では既視感のオンパレード。
まぁジャンルが被れば似たような場面が出てくるのは致し方ないところではある。
しかし本作ではあまりにもオリジナリティが皆無。
代わりに「こんなもんで満足するだろ感」が満載だ。
一言で言えば「ワイスピとオーシャンズ11を足して雑味成分を盛りに盛った挙句に×0.1」したような出来。正直お粗末だ。
序盤の車泥棒のシーンや中盤の見せ場のつもりの飛行場のシーンはワイスピから熱気と金遣いを抜いたようなもの。
キャッチコピーからして同じようなものを期待しているとはいえあまりにもおざなりすぎる。
制作費云々を抜きにしても手抜き感がありありと見て取れる。
それが顕著なのが主人公チームのメンバーの構成だ。
兄弟を筆頭にまずは兄の恋人。ステファニー。
プロスリ師な女。弟の恋人候補。デビン。そんな4人の集合図。
髪型くらい変えろ!!
見分けつかん!!!!
他には爆破担当のデブ。
とってつけたような無能。可愛げ一切なし。
命に関わってるんだから真面目にやれ!
あとはえーっと、名もなきドライバーが5人くらい。背後にいるやつら。マジで名前出てきません。
もう判を押したありきたりさ以下だ。
この部分はアイデアと見せ方次第でどうとなるだけに擁護は不可能。
それでもアクションが派手ならまだなんとかなるのがこの手の映画だが。
全く本気さが見られないどうしようもなさ。
人を殴るにしても車を走らせるにしてもそこにはキャラとのリンクが必要不可欠。
「これこれこういう理由があってこいつはこれをやっている」という流れがあって然るべきだと思う。
しかし本作にはそれが全くない。
アクションに感情が乗ってないとでも言おうか。
ここでも「これでいいんだろ」感が透けて見えてくる。
一応車が走ったり跳んだりはするのだが見ていても「あぁ…そう…」としか言えない。
そして犯罪サスペンスとして必須な伏線に至っては目を当てられない雑さ。
作戦名「行き当たりばったり」というのはよく見る描写だが、それにしても酷すぎる、
そもそもキャラが薄すぎて「流石」と思えない。
序盤に言われていた「なんちゃら走法」やら「プロポーズ」も終盤で雑に処理する始末。
本来無条件で熱くなるはずの場面で失笑しか漏れないしょうもなさ。
とにかく有名作から良いところどりしようとしたらそれらが全て裏目に出てしまった失敗作。
ストーリーは悪い意味で雑。
キャラの描き分けどころか性格づけすら出来てないおざなりさ。無駄な多さ。
気持ちが伴わないアクション。
もう悪い部分を煮詰めたような状態。
トータルで「茶番」と言うしかない出来だ。
確かに世の中にはもっと酷いB級映画は山ほどある。
準新作の棚にいつの間にか出現するようなものとさほど変わりはないだろう。
それでもここまで全国で大々的に公開されるようなことはなかなかない。
休日に酒でも飲みながら観た分にはなにも思わなかっただろうが、このハードルの高さでは粗が目につきすぎる。
まぁクラシックカーマニアなら多少は耐えうるかもしれんが。ここはさすがに豪華。
そこと西川貴教の主題歌だけは良かった。
Takanori Nishikawa feat.Shuta Sueyoshi (AAA) 9/19配信リリース『BIRI x BIRI』(movie ver.) - YouTube
日本限定の主題歌は毎度賛否ある中でも
今回はポスターと同様に圧倒的「賛」だ。
余談だが本作観賞後に思ったことは
「存命なら間違いなく主演はポール・ウォーカーだっただろうな」だった。公私ともに車好きな彼ならノリノリで出演していたことだろう。
それならスター性でまた違った作品になっていたであろうことは想像に難くない。
製作陣の力の入れ方も違っていたかもしれない。
いろいろと哀しくなる作品でもあった。
というか主演のスコット・イーストウッド。
親父は伝説の西部劇役者「クリント・イーストウッド」ワイスピでは「ポール・ウォーカー」の代替キャラ。全てが、BREAKする。『ワイルド・スピード ICE BREAK』ネタバレ特盛り感想文。 - 高速回転する方舟の片隅で。
いろいろと比較されることが多そうだが
まぁなんだ、頑張ってほしいな!
こんな記事書いておいてなんだが!
俺は応援してるぞ!!
悪いのは脚本家と監督だ!!
ドンマイ!!スコット!
ありきたりな予告↓
『スクランブル』予告編 9月22日(金)公開 - YouTube
ありきたりなtwitter↓
邦画の意地。最先端一直線。『亜人』ネタバレあり感想。
不死身vs不死身の極限バトル。
漫画原作は今年何度目なのか。
それでも素晴らしい出来。
脚本の荒さはスタイリッシュさと「リセット」でうやむやにしろ!!
MVさながらなハイテンションジェットコースタームービー!!
さて。
「ありがたいことに試写会当たった → 観に行った」という今年何度目かの幸運が巡ってきた。
もはや慣れたものだったが、今回向かったのは初の東京国際フォーラム。
その雰囲気は普段の試写会と全く違った。
会場のキャパの大きさもそうだが、観客はほぼ女性。男との割合は1:99以上。
どうやら本編上映の前にはキャスト登壇の他に、主題歌を担当したバンドの生演奏もあるという話だった。キャストとバンド。全員いました。
この完全アウェイな状況。そして「芸能人は別世界にいるからこそ面白い」という持論。
しかしここでシケたツラはしていられない。
「アウェイだろうが楽しめるものは楽しめ」と頭の中のデッカード・ショウに囁かれた俺はとにかくハシャギ倒した。『ワイルド・スピード SKY MISSION』感想なのか?これは!バレ増し増し。 - 高速回転する方舟の片隅で。
世界を股にかける極悪ファミリーをたった1人でシバきあげる漢の中の漢。
とにかく上映開始前までにここまで盛り上がったのは初体験。
「なかなかいい経験だったなぁ…」とかボンヤリ考える中、いよいよ本編が始まった。
今度は煽り抜きで俺が盛り上がる番だった。
とにかくアクションに次ぐアクションの連続。
さらにクオリティも「佐藤健×るろ剣チーム」なだけあってそこそこ期待はしていたのだが
全く裏切られることはなかった。
というか邦画の新たな可能性を見たくらいだった。
ちなみに俺は原作未見なので設定のズレなどは全くわからん!!
それでも「いいものを見たなぁ!!」と景気の良い気分にはなれた。
ある意味では映画から入ったのが功を奏したのかもわからんが
そんな加速しっぱなしのあらすじ。
主人公。我らが佐藤健。
交通事故に巻き込まれた際に「亜人」であることが判明。
それにより現在、政府機関にて囚われていた。
ここで一つの不安でもあった「かったるい日常パート」はすっ飛ばされていることも判明。
テンポの良さに心を躍らせつつも話を聞いてみると「亜人」とは人類の希少種。
「何度死んでも生き返り、決して死なない」というチートにも程がある体質を持っているため人間からは畏怖の対象となっているようだった。
さらに政府機関はその特異性から人道無視の人体実験を行っている様子だった。
「まぁそらそうだろ…」としか言えない状況にワイスピのような電撃訪問者が現れる。綾野剛。同じく「亜人」
不敵な笑みを浮かべつつも正面突破で研究所に遊びにくる。
どうやら亜人集団のリーダーでもあるらしく仲間集めをしている、とのこと。
当然なんとか対処しようとするものの相手は「亜人」という無茶苦茶な存在。
言ってみればHPゲージが無限にある相手とのエンカウント。ゲームなら確実に負けイベだが
それだけではなくヤル気も戦闘力も桁違いな綾野剛が相手ということもあり、僅か数分でほぼ全滅してしまう政府関係者達であった。
そして「我らが亜人サークルに加入しないか」との誘いを受ける佐藤健。
こんな酷い目に遭わせた政府を憎んでいるために一度はノリそうになってしまうものの「そこまで残忍な倍返しはちょっと…」と勧誘を蹴る。
それに腹を立てた綾野剛は当然大人しく帰るわけにはいかなかった。
かくして開始早々、「亜人」vs「亜人」の異次元バトルが開幕する。
さらにそれだけでは留まらず、亜人の隠された能力が明らかにもなる。まさかのスタンド、発現!!
おそらく精神力が具現化したような存在だが、一般人には不可視なところもほぼほぼスタンドだ。
その力に戸惑いながらもなんとか使いこなし、命からがら逃亡に成功する佐藤健であった。「やべぇって!!これ!!」
さて。この見るからにヤバい綾野剛。
ただの戦闘狂の綾野剛ではない。
その真の目的とは「虐げられた亜人と共に神経ガスを東京上空から散布し人間に復讐する」という物騒極まりないものだった。
手始めにそのガスを所持している会社に飛行機を突っ込ませる。
この地下鉄サリンと9.11の暗黒即死コンボ。
都民を震え上がらせるには十分だった。
まぁヒカキンはネタにして再生回数稼いでいたが!ついに銀幕デビュー。
一方、佐藤健。
こちらの人生プランは「病弱な妹と共に穏やかに暮らしたい」という至極真っ当なもの。
その病気の妹を治すために医者を目指し、現在は研修医というところまできた。
しかしそんな平穏が「亜人」によって壊されてしまった。
やりようのない哀しみと怒り。
ここで頭の中のなにかがキレた。
「やられっぱなしは気に食わん」とばかりに片田舎にて修行を開始する。少年漫画の鉄則。
もうこれ以上、綾野剛率いる亜人サークルの極悪非道な企みを知らんぷりは出来ない。
なにより妹にも魔の手が忍び寄っている始末。
もう綾野剛を殺す他なかった。
承太郎を彷彿とさせる「お前は俺を怒らせた」モードに入った佐藤健は勢いそのままに、敵でもあったはずの政府関係者の元にアポなし突撃する。亜人対策チームの長。玉山鉄二。
挨拶もそこそこに
「協力してやるから成功した暁には俺と妹を自由にしろ」
「承知しなかったり約束を反故にすればお前の家族を皆殺しにする」
という主人公とは思えない悪夢の一通協定を強引に結ぶ。
そんな脅しに頷くしかない玉山鉄二であった。
かくして「敵の敵は敵」理論でアンチ綾野剛サークルを結成した佐藤健とSAT。
果たして佐藤健はミッションを完遂し
妹との平穏な日常を取り戻せるのか?
後退のネジをハズした研修医が、今!!殺る気満載の不死身な殺戮マシーンと化す!!
…いいなぁ!!わかりやすくて!!
上記したが『亜人』に触れるのは本映画が初。
正直意識高めだと高を括っていたが、その実は良い意味でB級だった。
いや、原作は違うのかもしれんが少なくとも本作は俺の大好物だ。
ドラマは二の次三の次。
終始アクションでゴリ押す豪腕っぷり。
舞台挨拶では黄色い歓声を上げていた会場の女性客も本編が始まるやいなや黙る他なかったのも無理はない。
とにかくストーリーの都合上、一言で言えば鬼ごっこ(殺しあり)な本作。
表向きの主人公は佐藤健だが衆目の視線は全て鬼役の綾野剛に持っていかれる。とにかく一から十までふざけ倒したエキセントリックなハイテンションさ。
作中の笑いの80%は綾野剛発信だ。
正直この手の悪役はジョーカー以降腐るほど目にしてきたが致し方ない。あれ以降増えた気がする悪人自らの手による自撮り。
そもそも悪役顔と思っていただけにこの大騒ぎっぷりは嬉しい限りだ。
そして佐藤健も負けてばかりではない。
作中では基本逃げてばかりな普通の研修医のはずだが、時間を追うごとに何故か身体能力がメキメキアップグレードされていく。
やたら現場慣れした作戦を立ててみたり、取り扱ったことがない拳銃をぶっつけ本番で使いこなしたりすっかり特殊工作員。
もう目を見張る成長速度だ。
作中時間では数日のはずだが、これはこれでオールオッケーだ。
思えば共に身体能力は折り紙つきの若手俳優。
それを包み込むのは邦画最高アクションチームの「るろ剣製作陣」という完璧さ。
そして一度「るろうに剣心」にて相見えた両者が再び決戦するこの豪華さ。実写『るろうに剣心』1作目より。
本作ではそのクオリティを保ちつつ、舞台を現代に。「よっ、久しぶり!」
さらにそこにスタンドバトルも加わってその迫力は無限大。
ラストバトルは佐藤健&スタンドvs綾野剛&スタンドという素晴らしさ。脳が処理落ちするぞ!!
それぞれが別々に同時進行で闘いながらもそれを利用したりする整理された乱雑さ。
『るろうに剣心 伝説の最期篇』のラストバトルは1vs4だったが本作では戦況に応じて変化していく贅沢さ。この感動、再び。
もうどこを切っても褒め言葉しか出ない。
綾野剛vsSATチームの雑魚戦もただの徒手空拳ではなく、どこか『ジョン・ウィック』を彷彿とさせるスタイリッシュさを見せる。マガジンチェンジの仕方などを見るに明らかに意識している気がしなくもない。
「不死身vs不死身の闘いだと下手したら茶番になりかねない」とは舞台挨拶時の佐藤健の言葉だが、キチンと緊迫感を保ちつつ走り抜けているのは流石だ。
ちなみにラスト。
「不死身vs不死身の決着はどうするのかなぁ…」とか思っていたが
「上から特殊部隊が強襲し、2人まとめて液体窒素にて瞬間凍結させたのちに炸裂弾で粉々にする」
という勢いしかない作戦にて終結する。
一応、佐藤健発案の作戦らしいが明らかに「面倒だから2人まとめて殺そう」作戦にしか見えない。
事実、玉山鉄二も「2人共処分するのが上からの命令だ」と言っていた。
しかし「そりゃあんまりだろ…」という観客の声が届いたのか、なんと戦闘中に切り落とされた片腕から…佐藤健、復活。全裸で!!
周りが唖然とする中、一緒に殺されたことにご立腹な眼差しを玉山鉄二にトバす。
大殺戮開始か…と思いきやそこは我らが佐藤健。
ひと通りガンを飛ばした後に窓ガラスより逃亡を図る。
そのまま亜人と一体化しつつ消えゆくのであった。
全裸で!!!そして完!!!
この潔さ。
邦画でも稀に見るアッサリっぷりだ。
エンディングでぐだぐだやりがちな昨今の風潮を一刀両断する清々しさ。最高だ。
そういえばこの逃走劇を見て「ルパンっぽいなぁ」とか考えて気づいたのだが。
玉山鉄二と綾野剛は実写版「次元」と「五ェ門」だった。懐かしいなぁ!!
当時から進化したな。いろいろと!!
今回は思えば剣心vs五ェ門だったわけだ。
素晴らしい!!
ちなみにエンドロール。
なんと綾野剛が生きていたらしき演出が。
どこまで無能なんだ日本政府は!
続編も楽しみだ。
あればの話だが!!!
余談。
同時期に「TAKAHIROと武井咲が結婚!!」とのニュースが入ってきた。
どっちも好きなだけに「雨宮次男と薫殿が結婚か…めでたいな!!」などと思っていた…のだが!!
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170904-00000018-dal-ent
(以下引用)
新たな映画の出演を控えていることも判明した。12、14年に公開された映画「るろうに剣心」シリーズの新作が予定されており、武井が演じたヒロインの神谷薫は外せない重要な役だ。
…るろ剣新作!?マジかよ?!!
目がチカチカする予告↓
映画『亜人』予告【2017年9月30日公開】 - YouTube
頭がクラクラするtwitter↓
本気の傑作。『ダンケルク』感想。
珍しくネタバレなし。
というかまともにレビューが書けない衝撃。
今回も本気(ガチ)ノーラン。
一切の躊躇&手加減なし。
そして清々しいまでの緊張感。
観賞前にはブドウ糖を大量摂取しよう!
全篇クライマックスとは、こういうことだ。
クリストファー・ノーラン。この世界的不況時代にも関わらず右肩上がりの映画産業のトップをひた走る超凄腕映画監督である。
毎回意識が高いのか低いのかもはや感覚が麻痺してくるほどに「面白い」を通り越す傑作しか生み出さないヒットメーカーでもある。
その緻密とも言える作風から狂信的なファンや盲信的なアンチを一手に抱え込むある種のスターでもある。
個人的にはほぼ全ての作品を追いかけているくらいには好きだ。
ハマったのは「ダークナイト・トリロジー」から。豪華だなぁ!!
しかしその頃から変わらないたった一つの難点がある。
観終わった後の虚無感。
そして後日に引きずる疲労感だ。
まぁそれほど凄い映画をつくってくれるのは嬉しいったらないのだが
初見の際はかなり気を引き締めてかからないと比喩抜きで死にかねない。
さて、今回は『インターステラー』以来3年ぶりの新作。
そしてなんとノーラン初の史実映画。
さらには戦争もの。
一応心の準備はしたものの
こんなの精神もってかれないはずがない。
上映時間が106分と短めなのがまだ幸いと思っていた…が。
結果、いつも以上にノーラン節全開。
それどころか史実の戦争ものということで一切の手加減なし。
短めの上映時間も「緊張感を終始引っ張れる限界ギリギリの時間だからじゃないか…?」ということに気づいてからは
ただただ自身のメンタルが削られていく音を聞くしかなかった。
しかしその残酷とも言える作風がテーマとこれ以上ないほどにシンクロしていた。
世の中には「ノーラン監督作」というだけで褒めたり貶したりする人もいるみたいだが
俺には全く関係ない。
まぁ無条件でステイサムを褒めまくりの俺が言えたことではないが!!
ストーリーとしては
第二次世界大戦初期の1940年5月26日から6月4日。イギリス、ベルギー、カナダ、フランスから成る連合軍兵はダンケルク海岸でドイツ軍に包囲され、ダイナモ作戦による撤退を余儀なくされる。(Wikipedia参照)
…というもの。
まぁ、エンタメ作ではないためにわかりやすい起承転結はない。
しかし史実とは得てしてそういうもの。
その代わりに全篇、切れることない緊張感で走り抜ける。
物語の構成としては陸海空と3つの視点で話が進む群像劇。
それぞれの主人公としてトミー。陸担当。
英国二等兵。新人兵。
闘いには消極的だが仲間の命は尊ぶ気高さも。
生きて帰ることにも恥じらいはない。
ピーター。(左)海担当。
自国の援助に民間船で海を渡る祖父を手伝う勇気ある少年。
割とヤンチャな節がある。
中盤、海のど真ん中で被弾した英国兵(右)を救助するが…
ファリア。空担当。
空軍のエースパイロット。相当な凄腕。
仲間が倒れていく中でも不屈の闘志を見せる。
演じるは現在出演作にハズレなしのホームランスラッガー。トム・ハーディ。
余談だがマスク着用時にはベイン風味。
同監督作より。
…がいることにはいるが
作中では名前が呼ばれることはほぼない。
それどころか台詞も最低限を超えたごく僅かなもの。
実際ベラベラ喋るやつはそういないだろうが
もはや映画としての体を成すギリギリのラインだ。
というか一から十までわかりやすさは皆無なために
観賞中は自分が驚くほどに低偏差値になった気分になる。
初見だけでは全容を把握しづらいのはノーランの特徴とも言えるが、本作ではそれがあまりにも顕著。
それでも観客を飽きさせることなく最後まで手を抜かずに描き切るのは天晴れとしか言えない。
上記したように上映時間が短めなのは「緊張感が保てるギリギリのライン」ということもあるだろうが
「3時間はかかりそうな題材を圧縮した」
「ほぼ説明に終始しかねない映画の前半を削ってクライマックスだけにした」
ともとれる。
さらにノーラン御用達な音楽家ハンス・ジマーが今回も当然のように参加。
予告編でもあるような焦燥を煽りに煽る音楽も手伝ってこちらまで嫌な汗かきっぱなし。
下手に本編が長いと慣れてしまいかねないだけに素晴らしい采配だ。
とにかく言えることは「ノーラン×戦争もの=マジでヤバい」ということだけだ。
徹底した実物志向でも知られるノーラン監督が史実を取り上げれば「そりゃヤバいよな!!!」以外の言葉が出てこない。
というか毎度のことだがノーラン映画の観賞直後は頭の中の整理がつかない。
向こう一週間は脳が酸欠になる。
もう「とにかく見てくれ!!!」としか言えない本作。
まぁブロガーとしては失格だが!!
珍しく画像少なめな記事になってしまったが
逆説的に察してくれるとありがたい。
そのうち整理ついたら追記でもしよう。
今回は映画同様に短めでまとめた、ということで許していただきたい。
とにかくノーラン好きはもちろん、映画ファンや普段映画をあまり見ない人にもぜひ見て欲しい超傑作だ。
観賞後はHPもMPも根こそぎもってかれるが
満足することだけは保証できる。
ちなみに今回も最近よくある試写会での観賞だったのだがなんと初のIMAX。
もう「圧巻」の一言だった。
スクリーンがデカさが作品と相まって失神直前。
もう凄いわ!!ノーラン!!!
傑作感が垣間見える予告↓
映画『ダンケルク』本予告【HD】2017年9月9日(土)公開 - YouTube
いろいろと失格なtwitter↓
守るか殺すか、生き残るか。『ヒットマンズ・ボディガード』バレあり。感想。
禁断の組み合わせ、実現。
悪人を守る漢×悪人を殺す漢。
Fワードと銃弾まみれな男2人旅。
命の値段、プライスカット!!
さて。Netflixに登録して早数ヶ月が経った。
最強米軍vs最凶幽霊群。『スペクトル』感想。バレあり。 - 高速回転する方舟の片隅で。
しかしプリペイドカードでの契約だったために気がついたら残高ゼロ。
それでも8月はNetflixの勝負月。
大目玉の『ディフェンダーズ』もそうだがMCUのNetflix勢大集合。
名実共に「裏アベンジャーズ」だ。
ハリウッド版『DEATH NOTE』という隠し球も潜んでいる。米国リメイク。純粋に楽しみ。
「そろそろ再登録しないとなぁ…」とかベッドに寝そべりながら考えていたところ、ネットニュースにてとんでもない記事が目に飛び込んできた。『ヒットマンズ・ボディガード』
「Netflixにて8/18にて独占配信」
「…え!!???」
物理の法則ガン無視で飛び起きた俺はそのままタバコを8本吸った。
それでも冷静に処理できなかった。
この映画、原題『The Hitman's Bodyguard』は俺が今年一番期待していた映画でもある。
旬すぎる俳優「ライアン・レイノルズ」と
ずっと旬な俳優「サミュエル・L・ジャクソン」によるバディ映画というだけで垂涎ものだが予告でのFワード連呼。
The Hitman’s Bodyguard (2017) Restricted Teaser Trailer – Ryan Reynolds, Samuel L. Jackson - YouTube
さらには真っ向からふざける気満々なポスター。この2人の使い方をよくわかってる、としか言えない。
しかし本国での公開目処はついているものの日本ではさっぱり。Googleの力をもってしても詳しい状況が把握できないほどであった。
それが久方ぶりに目にしたと思ったら全米公開と同時に配信という奇跡。しかもNetflix限定で!
これほどまでに神様を信じた瞬間もなかった。
実際は諸事情により配信は1週間後の8/25となったのだが、奇しくもこの情報を知ったのが8/25。
もう画面に齧りついて観賞した次第だ。
正直今でも青天の霹靂な気分だが
とにかくそんな寝耳に水なあらすじ。
主人公マイケル・ブライスは要人警護のエキスパート。元々凄腕のボディガードであったが、過去のある失敗をきっかけに失落。
一応要人警護の仕事は続けているもののおそらく無認可。 あらかじめ敵を全て排除するなど仕事の腕は相変わらずだが、恋人にも愛想を尽かされて無味乾燥な日々を過ごしていた。
一方。ベラルーシ。
一言で言えばやべぇ独裁者が1人。あっ!!ゲイリー・オールドマンだ!!
ヴラディスラフ。
そのヤバさゆえに法的に裁こうという動きがあるもののそこはヤバい独裁者。
証人を片っ端から暗殺するというやりたい放題な現状であった。
業を煮やした国連は最後の切り札としてある人物を証人喚問することにする。あっ!!サミュエルだ!!
ダリウス・キンケイド。
現在塀の中の凄腕の殺し屋。
これを引っ張り出すのは容易ではないと考えた国連が出した条件は「無実の罪で同じくブチこまれているダリウスの恋人であるソニアを釈放する」というもの。ソニア。スタイル抜群美熟女。
ダリウスの嫁なだけあって傍若無人だがイイ女感満載。土下座してお願いしたいレベル。
しかめっ面なダリウスだったが条件が出るや否や即効でサイン。
裁判所へ証人として出向くことを同意するのであった。
そこでインターポールは護送チームを結成。アメリア捜査官がリーダーに任命される。アメリア。キャリアウーマン。
土下座その2。
とりあえず一通りダリウスにディスられた後に護送を開始するも…1分と経たずに襲撃を受ける。
テンポ、良し!!!
どうやら内通者がいたようだ。
とりあえずなんなく死体の山を築き上げたダリウス。アメリアを連れてセイフハウスへ逃亡を図ることにする。
内通者がいる現状、職場の人間に頼るわけにもいかない。
そこでアメリアが電話したのは…あっ!!ライアン・レイノルズだ!!
そう、アメリアはマイケルの元カノだったのだ。
携帯の登録名を「悪魔」としているくらいには良い思い出がないマイケルは適当にあしらうものの下心があるのもまた事実。
下半身には逆らえない哀しき男の性により協力を承諾するのであった。
そしてセイフハウス。
マイケルとダリウスが対面。穏やかに挨拶を交わす…かと思いきや。「てめぇかよ!!!」×2
目が合うなり、殺し合いを演じる2人であった。
立場は真逆と言えども互いに命を扱うプロフェッショナル。どうやら顔見知りだったらしい。
というかマイケル曰く「こいつには27回殺されかけたんだぞ!いや、最近プラハで28回目あったわ!」な仲らしい。
しかし元カノアメリアの軽い脅迫の成果もあり、本日2度目の渋々な承諾をするマイケルであった。さらに間の悪いことにアメリアは報告のためにインターポールへ帰る、とのこと。
最悪な雰囲気。期限は数時間。全力で殺しにくる追っ手の集団。そしてヘラヘラしているサミュエル。
果たしてマイケルは無事ミッションを終えることができるのか??
元カノとヨリを戻せるのか!??
なによりサミュエルと仲良くできるのか!!??悪態と銃弾だらけの男2人旅が今、幕を開ける!!!
…まぁ、もう見始めたら最後までがっつり観るしかないストーリーではある。
話としてはシンプルイズベストなのだが要所要所のアクションの堅実さ、滲み出るスマートさによって飽きを感じさせない。それをどこか斬新なカメラワークで包みこみ近年ならではのスタイリッシュさも兼ね備えている。
かと思えば急に生々しいハードコアな描写もありダラけない。
役者陣の安定感もあり映画ファンならずとも楽しめる作品だ。
…と真面目に語ってはみたもののやはり一番の見所であるキャストに触れずにはいられない。
とにかく主演2人を見ると脊髄反射的に浮かぶものがある。
「MARVEL映画」だ。
かたやX-MENの革命児、デップー。演:ライアン・レイノルズ。
かたやアベンジャーズのエンドロール御用達眼帯おじさん、フューリー。演:サミュエル・L・ジャクソン。
現在MARVEL映画筆頭の二大勢力を代表すると言っても過言ではないこの2人。
映画シリーズでは大人の事情という高すぎる壁によって共演不可な2人でもある。映画制作会社が別、という残念さ。
まぁ『デッドプール』ではエンドロール後に散々イジってたが!そんな2人が夢の共演。
さらにアメリアを演じるエロディ・ユンはNetflix版『デアデビル』の女傑エレクトラ。『デアデビル 』シーズン2より。
おまけにゲイリー・オールドマンは「ノーラン・バットマントリロジー」のゴードン警部。肥溜めの中のオアシス。
これでテンション上がらないアメコミ映画ファンはいない。
しかも主演2人はどちらも口の悪さでいえばハリウッドで一二を争う問題児。
おそらくFワードを言った回数では群を抜いてるはずだ。
それだけでは収まらず本作の監督は『エクスペンダブルズ3』を担当したパトリック・ヒューズ。
役者は揃った!!!
さて、見所…といきたいところだが「とりあえず期待したものは出てくる」と太鼓判を押すことしかできない。
なにせあまりにジェットコースタームービーすぎて語るに語れない。
いやあることにはあるのだが
やれ「男とは〜」やら「女は〜」やら中身スカスカな武勇伝自慢やら与太話が多すぎる。
そして困ったらFワード連呼。
ぶっちゃけ本筋だけなら半分の上映時間で済むほどだ。
しかしこの男子校の放課後感。
『エクスペンダブルズ』や『マグニフィセント・セブン』に通ずる漢の美学が満載だ。
「中身がないことこそが中身」精神。
それをしょうもないと笑い飛ばすのは簡単だが、言わせてもらえばこれこそが男の本質でもある。
一応マイケルの成長譚という側面もあるのだがそれは隠し味程度に終始する。
とにかく主演2人の魅力が大爆発してることが本作の特長だ。
ライアンは半分デップーな不真面目さ。サミュエルに至っては「悪サミュエル」まんま。終盤では鬱憤大爆発。ただの日常サミュエル。
まぁ予想したものがその通りに出てくる安堵感。
まるで実家のような居心地の良さだ。
ちなみにライアン・レイノルズ主演の成長譚、悪人護送もの、黒人とのバディロードムービーといえば『デンジャラス・ラン』を思い出す。一言でいえば「闇堕ちしたジェイソン・ボーンをライアンが護送する」というサスペンスアクション。なかなかな佳作。
こちらのバディはデンゼル・ワシントンだ。無敵キャラの軌道にノリ始め。
しかしこれはあくまで徹頭徹尾真面目でシリアスなつくり。
面白いことには面白いが近年のライアン・レイノルズを知ってしまっていると物足りないのも事実だ。
思えばこの頃はライアンの暗黒期。
『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』では黒歴史としかいえないデップー…ではないなにか役。「なんや、こいつ…」なウルヴィー。
心機一転、他社のアメコミ映画に出演するものの『グリーン・ランタン』『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』合わせて200億以上の赤字。どちらもそこそこに面白い。ほんとにそこそこ。
『テッド』では台詞なしのいじられモブ。同性愛者役。何も言うまい。
さらに私生活ではブラック・ウィドウことスカーレット・ヨハンソンに「片方だけが仕事順調だとちょっとね」と離婚を突きつけられる。直帰一択な嫁さん。
ちなみに時期的には『アイアンマン2』くらい。スカヨハはブラック・ウィドウにて活躍の兆しがひしひしと。
もう心身共にボコボコだったはずだ。
しかしご存知の通り2016年。
『デッドプール』にて自他共に認める不死鳥のごとき大復活を遂げる。
『デッドプール』いろいろバレあり感想!最高にCoolでCrazyな映画だ!!! - 高速回転する方舟の片隅で。
以前ブログにも書かせてもらったが正直劇場でちょっと泣いた。
全方位に自虐交じりの喧嘩を吹っかけて笑い飛ばす圧倒的な不真面目さ。役者とキャラがこれまでにない程にシンクロした瞬間だった。
デッドプールはアメコミの中でも一番好きなキャラなのだがその知名度から歯痒い時期もあった。
それが数年ぶりに最高の形でスクリーンの中を飛び跳ねてくれた。
いちファンではあるがライアンの言葉を借りれば「自分の子どもが産まれた」ような嬉しさだった。深い一枚。
そういった点を顧みると本作は「デンゼルに喰われっぱなしだったあの頃とは違う」というライアンの意思表示が透けて見えてくるようだ。
もう他人をおちょくれる程にまで心の余裕もできた。
実際、本作のタイトルとポスターは『ボディガード』のパロディだし。比較。バカでもわかる。
まぁ過去との決別というよりは「映画同様に俺もここまで成長したんだ!!」ということなのかもしれない。
深読みと言われようが俺はそう感じた!
ということでライアン・レイノルズのファンなら絶対に見逃せない本作。
確かに明らかに依怙贔屓分の面白さは乗っかってるかもしれない。
それでもアクションは満載、しっかりと笑いもとってくれる愉快さもある。
マイケルの元所属会社が「トリプルA」というのは笑ったが!!
「トリプルX」おじさんがそれを茶化すの込みで。『トリプルX:再起動』より。
こちらでもエンディング要員だ。
かと思えば油断した際にハッとさせられる台詞もあり、キチンと締めるところは締める大人な作品でもある。
R指定なだけあってお子様厳禁ではあるが、過激で愉快なコメディアクションが好きな方には問答無用でおすすめだ。観よう!!
気の許せる友人とでも!!
不死鳥を目指すtwitter↓
対悪人専用人型最終決戦兵器。『パニッシャー:ウォー・ゾーン』バレあり感想。
カラーなのにモノクロな矛盾。
検索結果はキャラ通り白黒ハッキリ。
間違えてもデート向きではないぞ!!
アメコミバブル。
もう何度言ってるかわからんが。
とにかくアメコミ映画が市民権を得てから随分と経った。
次々と新たに登場してくるヒーロー達。
さらに昨今ではそれだけじゃ飽きたらず、キャラクターとテーマを残してリブートされることも増えてきた。
例えばスパイダーマン。ここ10年程度で2回の仕切り直し。
さらにバットマン。ここ数年でも数回、映画にドラマに大忙し。
果たしてベン叔父さんとウェイン夫妻は何回強盗に殺されるのか!!『バットマン vs スーパーマン』より。
冒頭でどれだけのファンが「またか…」と思ったことか。まぁ大事なシーンだけど!!!
さらに他の映画との差別化。
原作の特性を活かし、R15指定にするのが近年のトレンドになりつつあったりもする。
『デッドプール』『デッドプール』いろいろバレあり感想!最高にCoolでCrazyな映画だ!!! - 高速回転する方舟の片隅で。
R15指定史上最高の大ヒット。
「俺ちゃんなら当然だよな!!」
『ローガン』ヒュー・ジャックマンの引退作にしてようやくウルヴァリンの本質をフルに活かした傑作。
武器と性質上&本人の性格上、これが大正解。
…などなど、とにかくアメコミ映画と一口に言っても多様化が激しくなっている。
しかしそんなことなどとうの昔に通過していたヒーローが1人。
それが「パニッシャー」だ。
現在までに3度の映画化。
しかもそのどれもが繋がりなし。
リセットに次ぐリセットの被害者でもある。
さらに今回書き殴る『パニッシャー:ウォー・ゾーン』は3回目の実写化にしてR15指定を食らった、というデップーちゃんの8年前にやらかしている奇跡。
時代を先取りしすぎたアダルトヒーローであることは確実だ。
ちなみに本作の公開年は2008年。
DC映画史上最高傑作との呼び声高い『ダークナイト』
さらに現在敵なしの最強シリーズMCUのトップバッター『アイアンマン』
がそれぞれ公開された年でもある。
その中での本作。
同年公開のアメコミ映画の中では「最も浅い」と言われがちだ。
事実『ダークナイト』では「ヒーローの是非」を
『アイアンマン』では「戦争」を
それぞれテーマにしていた。
ひきかえ本作は
「悪人、殺しまくり!」
と行儀の悪さだけは一丁前な有様。
リセット回数といい、公開時期といい不遇に次ぐ不遇だが
「そんなことは知らん!やりたいようにやろう!」
という監督の漢気が見てとれる傑作だ。
ちなみに監督は女性。漢気に性別は関係ない!
とりあえずあらすじの前に「パニッシャー」とはどのようなヒーローか軽く紹介させてもらおう。
「地獄の断頭台」パニッシャー。
本名フランク・キャッスル。
元海兵隊員にして家族を愛する普通の男。
善良な市民として平和に暮らしていたとある日。
家族とピクニックに出かけるも
そこで突然ギャングの抗争が勃発。
フランクの命は助かるものの、巻き添えになった最愛の妻と2人の子供は死亡してしまう。
絶望のドン底に叩き落とされたフランクは悪そのものを恨むようになる。
失うものはもうなにもない。
心にあるのは憎しみと怒り。
かくしてフランクは軍隊仕込みの殺人術を使いこなし、街の悪人達を無慈悲にサーチアンドデストロイする処刑人(パニッシャー)となるのであった。
…というもの。
ヒーローにしては珍しい完全殺戮型な戦闘スタイル。
そして髑髏が描かれたTシャツを着こなすファッションセンス。
さらに素顔を隠すことすらない。
もう漢気の体現者としかいえない。
ちなみに上記にて挙げたヒーローとは妙な縁があったりする。
パニッシャーの初出は『スパイダーマン』のコミックにて。悪人サイドとして初登場するも
その過激なスタイルから人気に火がついて…というパターンだ。
そして「バットマン」とは会社が違うものの
「共に家族を殺されたために立ち上がった」という共通点があるためか『パニッシャー vs バットマン』というコミックが出版されている。ジョーカー嬉しそうだなぁ!!
両者とも原動力は「家族を失った哀しみ」という共通点。
しかしバットマンは「悪人でも絶対に殺さない」
対してパニッシャーは「悪人なら絶対に殺す」
という決定的な違いが浮き彫りになる名作。
殺意を押し殺すバットマンと殺意を奮い立たせるパニッシャーの対比が見事だ。
さらにデップーやウルヴァリンとはそれぞれ
「殺しを厭わないヒーロー」として交流がある。
絶対敵に回したくないなぁ!!
とにかくその過激さとは裏腹に、いやその過激さゆえにかなりの人気ヒーローである。
そのため短いスパンで幾度も実写化されているわけだが
1度目。主演はドルフ・ラングレン。もはやプライベートスタイル。
2度目。相手にジョン・トラボルタ。主役を差し置いてポスターに!!
…とまぁ作品の性質上、エクスペンダブルズな俳優たちを活かすための土台にしかなっていなかった側面がある。
しかし待望の3度目となる本作。
2作目の続編という話を蹴る!
さらに設定もコミックに忠実に!
興行収入も気にせず「R15指定」に!
そこにはまさに「シンプルイズベスト」な圧倒的暴力の権化がいた!!
三度目の正直とはよく言ったものだ!!
前置きが長くなったがそんな本作。
無慈悲で爽快なあらすじ。
今日も今日とていきなりマフィアの談合を襲うパニッシャー。
お年寄りでも容赦なく皆殺しにするサバサバしたヒーロー活動に勤しんでいた。まさに血のサプライズパーティ。
さらには活きのいい若頭“男前”ビリーを工場の粉砕機に突っ込む始末。「そこまでしますかぁ?!」
間違ってもアベンジャーズでは見られないジャスティス感溢れるヒーロー活動を見せつける。
そして「よし、今日も殺したわ」と住所:下水道な我が家に帰るも
実は先ほどのヒーロー活動にて1人の若者潜入捜査官を勢いで殺してしまっていたことが判明。
順風満帆だった悪即斬生活に影が灯り出す。
一方。粉砕機にブチ込まれたビリー。
その自慢の顔面がズタズタになりながらも生きていた。
当然こんな目に遭わせてくれたパニッシャーを恨みに恨みにまくる。
そこで精神病棟に隔離されていた人喰いが趣味の弟「ジミー」を解き放つ。
かくして名前を「ジグソウ」と改め、狂暴にも程がある弟とパニッシャー殺害を企てるのであった。
顔がパズルみたいだからジグソウ。
なかなかお茶目な面もある。
そしてなにより弟想い。
その弟。変人ジミー。
イカれすぎているため非常に危険。
しかし兄には素直。兄弟愛は見所だ!!
その頃。パニッシャー。
「ミスもしちゃったし処刑人辞めよっかなぁ…」とか一瞬悩むものの
件の潜入捜査官の家族に魔の手が忍び寄っている、との噂を耳にする。
さすがにここでなんの罪もない母娘を見捨てるのは漢じゃない。
自分でやらかした失敗。
自分で尻拭いしてこそ大人だ。
地獄のベビーシッター誕生。
追っ手を秒殺し、その影に暗躍するジグソウのことも知る。
「もうこれジグソウの一味皆殺しにしてカタをつけよう!」とパニッシャー継続を即決。
途中でいつの間にか仲間になっていた刑事と共に廃ビルのアジトに真っ向から殴り込む。
「作戦は?」
「アジトに入って皆殺しだ」
文字通りの「血祭り」開催!!
…というもの。
前知識がなければアメコミ映画とは思えないほどの殺伐感。
間違ってもデートムービーには向いてないであろう本作。
しかし他のヒーロー映画とは一線を画すポイントが多々ある。
前述した通り「R15指定」ならではのハードさはもちろんだが
例えば通常アメコミ映画の一作目ではその誕生となる「オリジン」が描かれることが多い。
『アイアンマン』にしろ『スパイダーマン』にしろ
「平和な日常があり、それを脅かすなにかがあり、そしてヒーローとして立ち上がる」という黄金パターンだ。
しかしこれは「早くヒーローが見たい」というせっかちさんからしたら悩ましいポイントでもある。
「日常があるからこそヒーローパートが輝く」ともいえるが、個人的には五分といえよう。
しかし本作。
パニッシャーとなった経緯はオープニングでダイジェストばりのタイト編集で説明される。
もう本編始まったら即!パニッシャー!という潔さ。
なかなか真似できる芸当ではない。
さらに「正義とはなにか」という点においても。
ヒーローとは「善悪」の物語である。
しかし「パニッシャー」においてはそれが非常に曖昧だ。
あくまで悪人限定だが躊躇なく殺している時点で自身も凶悪な犯罪者。
実際、作中でも警察に追われまくってる背景がある。
さらにそのポリシーゆえ、正義の立場であった潜入捜査官も死んでしまう悲劇。
もしこれが他のヒーローだったら。
例えば『シビル・ウォー』では
正義感の違いでヒーロー達が対立してしまった。
それによって悲劇も起きた。
ことメンタル面では俺らとおなじくなにかと弱いこともある。
もし彼らが同じミスを犯したら即引退だろう。
しかしパニッシャーは違う。
「善悪は関係ない」
「所詮俺も犯罪者だ」
「悩んでる暇はない」
ともう開き直りな境地の意志の強さ。
「潜入捜査官とその家族には申し訳ない」
「しかしそれはそれ!これはこれ!」
という精神ですぐに立ち上がる潔さ。
ヒーローに有給休暇は存在しないのだ。
「うだうだ悩んでる暇があるなら引き金を引け!」
この圧倒的な強メンタル。
観ているこっちからすれば
これほど気持ちの良いアクティブさもない。
とにかくどこを切ってもアメコミ映画とは思えない漢気満載な本作。
観賞後の後味はむしろステイサム作品に近いほどだ。
アメコミに詳しくない人はMARVEL出身とは思えないだろう。
個人的には「一切文句なしの完璧な実写化」であると信じて疑わないのだが
「ライバル達の影響」「R15指定」という絞った客層の影響もあり興行収入は振るわなかった本作。
哀しいことに続編もつくられてない現状だ。
しかし天下はアメコミバブル。
そんな状態でMARVELがこんな人気キャラを放っておくわけもなかった。
なんと近年、Netflixにて復活を果たした。
『デアデビル』シーズン2より。
リブートされキャストや細かい設定は変わっているものの、その漢気は相変わらず。
晴れて当時ライバルであった『アベンジャーズ』シリーズの一員となった。
つまりは「スパイダーマン」と同世界上に存在する奇跡。
蜘蛛坊やには荷が重いだろうが!
さらにNetflixの性質上、これ以上ないほどハードでダークにシリアスに。
加えてその人気さゆえに今秋には単独ドラマ化が決定。
本家を喰らうほどのスピンオフを期待してるぞ!
処刑人の休まる日は当分来なさそうだ!!
アガる他ない予告↓
うだつのアガらないtwitter↓
暴力刑事vsエセサイコ野郎。『ブリッツ』バレあり。感想。
「この刑事、凶暴。ゆえに天職。」
「全てを知ったとき、刑事は一線を越える。」
120点満点なキャッチコピー!
今度のステイサム、不良警官。
ちなみに全てを知るかなり前から一線は超えてるぞ!!
俺が洋画ファンになってから久しい。
思い起こせばそのきっかけとなった作品はいくつかあるが、その中でも最も大きなファクターを占めるのが『ダークナイト』だ。
『バットマン・ビギンズ』から続くシリーズ2作目。
前作から引き続いて「現代社会にヒーローがいたら」を地で行くスタイル。
「ヒーローとはなにか、善悪とはなにか」に鋭く深く切り込んだ、ヒーロー映画の枠組みを超えた超傑作である。
さらに昨今のアメコミヒーローの作風が徹底的にシリアスになった原因ともいえる、まさに革命作でもある。
まぁいまさら詳細を語るまでもないだろがそのうち当ブログでも書こう。
思い入れが強すぎてめちゃくちゃな長文になりそうな気もするが!!
その「とにかくヤバい」映画である『ダークナイト』を傑作たらしめている背景には確実にこのキャラクターがいるだろう。
「ジョーカー」
通称、「犯罪界の道化王子」
究極の劇場型犯罪者にして、なにをしでかすか誰にも読めない徹底されたやべぇやつ。
バットマンを「愉快なおもちゃ」と称し、この上なく愛してやまない最凶のメンヘラサイコストーカー。
「世の中が混沌に陥るのを最前列で見る」ためには自らの命も顧みない究極の絶対悪。
この一から十まで完徹された触れてはならないオーラ。
ときには主人公であるバットマンを食ってしまうほどの存在感。
これ以上ない程に強烈に惹きこまれたのを今でもハッキリ覚えている。
映画を観たのは高校生の頃だったが
一足遅ければ一生を棒に振りかねないレベルで感化されていたであろうことは想像に難くない。
さて。話は変わって本作。
「もしもそんな「ジョーカー」に凡人が憧れてしまった挙句、サイコ犯罪者を気取ってしまったらどうなるか」
そんなことを教えてくれる道徳の教科書的作品だ。
とある事件から刑事を憎むようになった男。
東京を勘違いした大学デビューのようなファッションに身を包み、コードネームを「ブリッツ」と名乗る。
そして卑劣にも刑事を標的に連続殺人を繰り広げる。
相手は映画あるあるの「無能警察」ということもあり次々に殺人を敢行するが…
彼にはたったひとつの誤算があった。
それも誤算というにはあまりにも愚かすぎるミスだった。
なんとそこの所轄にはステイサムがいた。
それも暴力を一切厭わない最強で最凶な刑事として君臨していた。
バットマンと同じく路地裏でエンカウントしたくない漢、No.1。
むしろ躊躇がないだけステイサムの方が厄介な気もする。
当然、凡人がステイサムを「愉快なおもちゃ」として扱えるわけもない。
それどころか無情にも生きたサンドバッグとして心身共にボコボコにされるのであった。
というわけで今回は
「もしもジョーカーが凡人だったら」
「そしてバットマンがステイサムだったら」
という逆ダークナイトこと『ブリッツ』を紹介させてもらいます。
そんな愉快極まりない、そしてあまりにも無慈悲なあらすじ。
イギリスの下町。
やいのやいの騒ぎながら車上荒らしをする若者たち。
しかしそんな間違った野外活動は今夜までだった。
そこにゆったりとホッケースティックを持って近づいてくる漢が1人。
あっ!!ステイサム(武器あり)だ!!
人間というより即死トラップ。
もうこの時点で結果は火を見るより明らか。
全観客の思惑そのままに10秒足らずで若者たちを瞬殺するのであった。
「俺とやるなら武器を選ぶんだな…」
今作のステイサムは現役バリバリの暴力刑事ということを有無を言わせず理解させる最高のオープニングだ。
ちなみにステイサム主演映画で暴力発動までの時間が最も速いのは本作らしい。
そんな寝覚めバッチリなオープニングが明けるとカウンセリングに呼ばれているステイサム。
そりゃそうだ!!
しかしそこで「君の暴力性は刑事に向いていない」と言われようものなら
「これが俺の天職だ」
「クビにしたらなにしでかすかわからんぞ」
そうタバコを吸いながら吐き捨てる。
黙る他ないセラピストであった。
そんな中、件の連続殺人事件が起こる。
悲痛ステイサム。
被害者は全員刑事。
当然、身内には甘い警察は総力を挙げて事件解決に奔走するも、普通の聞き込みでわかれば苦労はしない。
そこでステイサムは独自の方法で捜査することにする。
・開店前のBARに押し入り酒を飲む。
代金を請求されようものなら「開店前なんだろ?」と踏み倒す!!
・情報屋にビール代をたかる。
例え相手が金に困っていたとしても!
・メモすらとらずにビールを飲む。得意げに!
というただの本音のハシゴ酒とも言いたくなる捜査方法だった。
その甲斐もあったのかわからんが、見事犯人を解明。
上記した「ブリッツ」ことただの凡人。
「変わってるね」と言われたらめちゃくちゃ喜ぶ残念な大学生のようなハシャギっぷりを見せている。
こんなカスはステイサム1人で十分だが
ここで倍プッシュ的に相方となる刑事が登場する。
ポーター。
同性愛者ということで周囲から浮いている。
しかし過去に「性犯罪者の急所をバットで潰した」というとんでもない武勇伝を持つ。
その漢気からステイサムと意気投合。
かくしてまさに電撃タッグを組んだ2人。
こんな漢気コンビに凡人は太刀打ちできるのか?
ラストまで命がもてばいい方じゃないのか!?
はみ出し者タッグによる究極の私刑が今、幕を開ける!!
意外にも本作ではステイサム主演映画ながらアクションは少なめだ。
暴力最速記録は打ち立てているが!!
しかし、本編では描かれてないだけで普段から暴れまわっていることは容易に想像ができる。
中盤にてステイサムがブリッツを街中で追いかけるシーンがある。
文字通り命がけのドロケイ。
そこで警察無線で流された命令が
「ステイサムに捕まえさせるな!」
「なにしでかすかわからんから!!」
という物騒さ。
身内を殺しまくりの被害者に同情してしまうほどの焦りっぷり。
日頃の大暴れが目に見えるような良い描写だ。
このようにアクションが少ないからと言って安易に駄作認定はできない。
本作はまた違った面からステイサムの魅力が引き出されているからだ。
それはやたら軽妙で深い軽口だ。
まぁ他作品でもブリティッシュジョークが炸裂しまくっていることは否定できないが
それに輪をかけて本作のステイサムは口を開けば冗句しか言わない。
10言われたら迫力のある1で返す。
まさに漢の中の漢だ。
それが如実に現れるのが終盤。
やっとの思いでなんとかブリッツを捕らえた警察。
取調室にて尋問を行う。ステイサムが。
もうこの時点で嫌な予感しかないが
そこでブリッツが警察相手に連続殺人を行なっていた理由が明かされる。
それはなんと
「過去にステイサムにボコボコにされたから」
というしょうもない理由だった。
逆恨みにしてはあまりに破滅的すぎるが
そんなブリッツを言葉の暴力で取り調べるステイサム。
「お前のことなんざ今の今まで忘れてた」
「お前が俺にボコられてる監視映像見てみんなでチビるほど笑ったぜ」
「ブリッツって名乗ってるらしいな?」
なにも言い返せずに項垂れるしかないブリッツであった。
しかしなんとブリッツは証拠不十分で釈放となってしまう。
それでもそんなことでへこたれるステイサムじゃない。
というか法が通じる優等生じゃない。
逆恨みでも喧嘩売ってきた相手を放置しておくほど草食系でもない。
ここで一休さんも真っ青な規格外なトンチを繰り出すことにする。
保釈されたブリッツ。
あんなにステイサムに煽られたら後には引けない。
そもそもの理由は「ステイサムを殺したい」から始まったこの連続殺人計画。
夜道を1人で歩くステイサムを尾行して殺すことにする。
まぁどう考えても自殺への直行便だが
案の定、ビルの屋上までおびき出されたブリッツ。
当然一対一で敵う相手ではない。
徹底的にボコられにボコられる。
「いや…もう…」
さらにステイサムはそれだけでは飽き足らずブリッツを軽く射殺してしまうのであった。
この場面で引き金を引く刑事。前代未聞だ!
一応、作戦としては「ブリッツを新たな連続殺人の被害者として殺す」とのことだが
側から見れば腹立つから殺したようにしか見えない。
それでもこの裁判所判断を逆手にとった圧倒的俺流ジャッジメント。
「犯人が犯人によって殺される」という刑事自ら事件を迷宮入りに追い込むスタイル。
爽快を超えて納得するしかないオチだ。
ステイサムか承太郎か!!な名シーン。
世の中には絶対的に怒らせてはならない人がいる、という教育的側面も見せてくれる。
とにかく普段のステイサムとはアクションとジョークの割合が逆な本作。
ステイサム好きな友人と語るときもあまり話題に上らない日陰の作品だ。
それでも他では見られない殺意満載の一休さんステイサムが見られるのはここだけだ。
意外にも現職の刑事役を演じているのは本作だけだったりもする。
密かに続編を期待していたりもするのだがまぁ無理だな!!興行収入的に!!
とにかくモヤモヤした夜にでも独りでひっそりと見てほしい名作だ。
調子に乗ったアイツをブリッツに反映させながら!!!
余談ではあるが本作。
この後ワイスピにてステイサムの兄弟役を演じることになるルーク・エヴァンスも出演している。
ちょい役だけど!!!
なんとか取り繕っている予告↓
語れる武勇伝などなにもないtwitter↓
ステイサム、一般人に出会う。『SPY/スパイ』バレあり感想。
お気楽コメディアクション。
…かと思えば全力スパイアクション!!
配役完璧のんびりゆるふわムービー!!
当ブログを開設してから早4ヶ月。
ありがたいことにちょっとずつPV数が増えてきた。
嬉しいったらないのだが、一体どんな層の方が見てくれてるのかは全くわからん今日この頃だ。
ページ別解析によればワイスピが上位という時点で推して知るべしかもしれんが!
全てが、BREAKする。『ワイルド・スピード ICE BREAK』ネタバレ特盛り感想文。 - 高速回転する方舟の片隅で。
兎にも角にもPV数を伸ばすには需要に乗っかるのが最も手っ取り早い。
ひとまずここでとある人物を見てもらいたい。
…またステイサムじゃねぇか!
とにかくこの御仁を見て抱く感想はどう言った類のものだろうか。
腕っ節が強そう。皮肉が上手そう。運転上手そう。敵にまわしたくない。元飛び込みの選手。歩く大量破壊兵器。いつも似たような役。ハゲ。など様々な偏った意見が出るだろう。
この出演作のほとんどで共通しているかのようなステイサム像。
その積み重ねで上記のようなパブリックイメージが固まってしまうのも致し方ないところだ。
個人的に言わせてもらえればどれも似ているようで違うのだが
まぁ共通している箇所は多々あることは認めざるを得ない。
しかしそのイメージを逆手にとって大成功を収めたのが『ワイルド・スピード』シリーズだ。
『ワイルド・スピード SKY MISSION』感想なのか?これは!バレ増し増し。 - 高速回転する方舟の片隅で。
そこにいたステイサムはまさにパブリックイメージの極致、権化だった。
極限までアップグレードされた「いつものステイサム」の集大成でもあった。
もはや「いつも以上なステイサム」がファミリー相手に大暴れする。
言うまでもなく『ワイルド・スピード』シリーズはアクション映画。
当然のように最高の相性を見せつけてくれた。
シリーズに参戦した当初、というか現在進行形で各方面には感謝しかないのだが
ある意味ではステイサムの到達点とも言えてしまうだけに一抹の寂しさを感じてしまうこともある。
「芸術とは完成しないからこそ美しい」とは誰かが言っていた名言だが、その通りだと思う。
しかしそんなことで前に進むのを諦めるのは漢じゃない。
今までも様々な変化球を交えながらも俺のストライクゾーンに数々の豪速球を放ってくれたのがステイサムだ。
そんなことをぼんやり考えていた2015年。
衝撃のニュースが世界を駆け巡る。
「ステイサム、アクションコメディ参戦!」
それが今回紹介する『SPY/スパイ』だ。
脇役ながら眼光の鋭さは平常運転。
ワイスピのステイサムが「160km/hのド真ん中ストレート」だとしたら
本作のステイサムは「高速チェンジアップ」とも言える。
「コメディアクション」と「アクションコメディ」という絶妙に違うジャンルだが
そこにはワイスピと同じく「いつも以上なステイサム」が君臨していた。
そんな以上で異常なあらすじ。
主人公「スーザン」はCIAのデスクワーカー。
今日も相棒である「ブラッドリー」に本部から献身的なサポートをしているのであった。
「スーザン・クーパー」主人公。
CIAに入ったはいいものの刺激さとは無縁。
退屈とも言える日々の唯一の楽しみといえば片想い相手でもある相棒「ブラッドリー」へのサポート。
「ブラッドリー・ファイン」その相棒。
バリバリやり手な現場エージェント。
「もしもジュード・ロウがボンドだったら」まんまな八面六臂の大活躍を遂げるCIAのエース。
今日も今日とてバリバリ働く2人。
しかし目覚ましい活躍も束の間、敵の罠にかかってブラッドリーが殺されてしまう。
当然、復讐に燃えるスーザンは現場エージェントに電源志願!
今までモニター越しにしか見ていなかった危険で刺激的な世界に飛び込むことになる!
「やったるわ!!!」
いわゆる「凡人がいきなりアクシデンタルな世界に」系の作品。
その普遍的なストーリーを軸に、キチンとしたつくりで正統派コメディ映画としてかなり楽しめる。
主演と監督は『デンジャラス・バディ』や『ブライズメイズ』など良作コメディを手掛けてきたタッグ。
どちらも傑作。オススメ。
ちなみにこの後『ゴースト・バスターズ(2016年版)』でも手腕を発揮する。
いろいろ騒動もあったけど蓋を開ければ良作。
この媚びゼロなメンバー見れば納得せざるを得ない。
本作でも笑いはもちろんアクション面も意外にしっかりしていたりする。
キッチンファイトは一見の価値あり。
だがまぁそれだけだったらある種、よくあるB級映画として終わっていたかもしれない。
少なくとも俺は当分観ることはなかっただろう。
しかしここで例のあの漢の参戦が効いてくる。
あらすじには書かなかったが、この映画が俺の心を突き動かしたのは間違いなくステイサムの参戦だ。
「リック・フォード」
今回の役どころとしてはブラッドリーの同期にして孤高の一匹狼なエージェント。
相変わらずな眼光と口の悪さ。
そしてかつてない多表情さ。
もう登場からしてヤバいやつ感満載ではある。
ちなみにスーザンはもちろんCIA全職員に煙たがれている。
しかし演じるはステイサム。
当然ただのエージェントなわけがなかった。
設定もさながら明らかに意図された場違い感。
ブラッドリーを殺した犯人はかなりの大物らしくステイサムも現場に出張ってくるのだが
その登場方法が一癖ある。
現地のホテルに到着したスーザン。
部屋の電気を点けると
そこにはステイサムが何食わぬ顔で座っているというサプライズ。
驚きもそこそこに自己紹介代わりの驚愕の武勇伝の数々がステイサム自身の口から語られる。
「自分の心臓を電気マッサージして蘇生した」
「ガラスの破片を目から引き抜いた」
「レインコートをパラシュート代わりに高層ビルからダイブした」
「パーツを一旦飲み込んだのちにケツから出してコンピューターを組み上げた」
「切断された片腕をもうひとつの腕でくっつけた」
「車で列車に燃え盛りながら飛び移った。車じゃなくて俺が、だ」
「オバマに成り替わった」
このあまりにもデンジャラスで平常運転な経歴。
デッカードと肩を並べてしまうレベルだ。
そしてこれらを真顔で語るキャラクター性。
もはや隠し切れていない刺激的すぎるスパイスとして物語を大いに盛り上げてくれる。
思えばこの後に制作された『〜ICE BREAK』ではコメディエンヌっぷりを遺憾なく発揮していた。
もはやアクションの大元が本作に寄せてきたかのごとく!
それは本作にてコメディもいけることを明らかにしたためではなかろうか。
思えばどちらのステイサムもやっていることは意外にも大して変わらなかったりする。
さらに表情や演技プランもほとんど同じといえるかもしれない。
それでもよく考えてみればこんな漢が現実社会に存在したらたまったものじゃない。
『ワイルド・スピード』では基本的にどこを切っても超人だらけだからこそ何事もなく馴染めたものの
本作の主人公は等身大の独身女性。
凡人目線ではただの危ないやつにしか映らない。
このとんでもない落差のギャップをそのまま笑いに繋げるハイセンスさ。
目線と環境が違うだけでもここまでの差が出るとは驚嘆するほかない。
さらに油断した頃に見せる口先だけ感。
ドアノブにコートを引っ掛けてコケるステイサム。
王道だが堂々とやられたら笑う他ない。
それでも時たま、ハッとさせられる動きを見せたりもする。
雑魚共を得意の体術で瞬殺。
この奇妙ともいえる感情の揺さぶり方もワイスピにも通ずるところがある。
とにかくハリウッドによる全力パロディと言える本作。
トータルで見ると一般的な観客からしたら良作。
ファンの中には「こんなステイサム見たくなかった」という意見もあるかもしれない。
それでも自ら型にハマりにいった挙句にその枠組みを破壊するというのはこれ以上ない「いつものステイサム」といえるだろう。
ちなみにそんな常識外れっぷりが炸裂するのは観客が油断しきったエンドロール後。
ここからはぜひご自分の目で!!
そんな過激さはないので老若男女にオススメできる傑作。
デートでも友人同士でも気軽に観られる。
なんとなく面白いものが観たい日に是非!
雰囲気を捉えた良予告↓
Movie Express 映画『spy』日本語予告編 - YouTube
余談だが、そんなステイサム。
待望の次回作はなんと「vs巨大サメ」だ。
『刃牙外伝』より。
こんなん見たいなぁ!!
まだまだ型にハマる気はなさそうだな!!
さすがだ!!ステイサム!!!
型を気にしっぱなしなtwitter↓